1959年
阪急は今シーズン初めての左投手吉川(三年目、近大)吉川は六日の東映二十回戦のあとこの試合の先発を戸倉監督にいわれた。どちらかといえば気の弱い吉川はそれ以来めっきり口数が少なくなったとのことだ。半分ぐらいはカーブだ。それがコントロールがよくきまった。バックも吉川をよく盛りたてた。
興国商、近大から阪急入り。入団三年目でプロ入り初勝利を飾った。さる九、十一日の対西鉄戦にも勝ち星こそなかったが好投し注目された。戸倉監督も「梶本が不調なのでぜひ左のエースに育てたい」と期待している。武器はカーブ。1㍍70、72㌔。左投右打、大阪出身。
祓川ー吉川の先発の先発投手は吉川が予想外だった。その吉川は緩いカーブ、シュートで軽く投げる。祓川は調子よくみえるのにときどき凡球を投げては打たれていた。
阪急の左腕吉川の登板は意外だった。吉川はことしはじめての先発だが、シュート、カーブ、ナックルなど変化球を多投して三回までに島原に当りそこねの内野安打を打たれただけ、試合は阪急のペースで中盤に入った。
南海は三回まで吉川のペースに乗せられてわずか1安打しただけ。
(吉川投手)ボクの決め球のフォーク・ボールがよく決まった。内角へ投げたら、力のある打者が揃っているのでガチンといかれそうなので、内角へ投げたのは捨て球ばかり。先発は初めてだが、一昨日から投げるようにいわれていたので、あわてなかった。まあ先発させてもらっただけでも満足です。
それにしても吉川のスピードを殺して低目に投げ分けるフォークボール、曲球、シュート、などの変化球にひねられ、島原の内野安打1本はお粗末、調子がよいとはいうものの、この種投手にはまだまだ甘さが見受けられ、このうえすっかりペースをくずして米田の速球になんらなすところがなかったのがふがいなかった。