1995年
昨秋の日向キャンプでテストを受け、合格した助っ人左腕。低めにコントロールされた速球と、コーナーに投げ分ける変化球は日本球界で通用することまちがいなしだ。鈴木監督もこの貴重な左腕に「左の先発としてがんばってほしい」と期待する。まずは日本の水に慣れることが先決。日向ですでにハシの使い方をマスターするなど、パウエル自身もヤル気十分だ。ノルマは2ケタ勝利。助っ人左腕が活躍すれば、牛投の未来は明るい。
かたや年棒4億5000万円というダイエー・ミッチェルが開幕2試合で2ホーマーと働けば、こなた近鉄・パウエルはわずか3500万円という薄給ながら、来日初登板を1失点完投勝利で飾って掘り出し物を印象づけた。同じ助っ人のグロスとの投げ合いになった4月2日の日本ハム戦(藤井寺)。パウエルは左腕から繰り出す「七色の変化球」を低めに集め、テンポのいいピッチングを展開。一番からズラリ右打者を並べた日本ハム打線に、12個もの内野ゴロの山を築かせた。しかも、そのうち10個までが投手から左方向。ほとんどが、相手打者に緩いボールを引っかけさせた結果だった。外国人投手にありがちなコントロールへの不安を微塵も感じさせず、与えた四球はわずか一つ。一方のグロスも4点を失ったものの、無四球で完投したため、1時間56分という超スピード試合になった。「いきなり完投だなんて、夢のようだよ」と殊勝なパウエル。それもそのはず、米国ではここ数年、マイナーでさえもショート・リリーフ専門で、127球も投げた経験はなかったのだ。近鉄としても、外国人投手の勝ち星は63年のミケンズ以来、実に32年ぶりのこと。まさに異例尽くめの快投で、鈴木近鉄はうれしい連勝となった。
昨秋の日向キャンプでテストを受け、合格した助っ人左腕。低めにコントロールされた速球と、コーナーに投げ分ける変化球は日本球界で通用することまちがいなしだ。鈴木監督もこの貴重な左腕に「左の先発としてがんばってほしい」と期待する。まずは日本の水に慣れることが先決。日向ですでにハシの使い方をマスターするなど、パウエル自身もヤル気十分だ。ノルマは2ケタ勝利。助っ人左腕が活躍すれば、牛投の未来は明るい。
かたや年棒4億5000万円というダイエー・ミッチェルが開幕2試合で2ホーマーと働けば、こなた近鉄・パウエルはわずか3500万円という薄給ながら、来日初登板を1失点完投勝利で飾って掘り出し物を印象づけた。同じ助っ人のグロスとの投げ合いになった4月2日の日本ハム戦(藤井寺)。パウエルは左腕から繰り出す「七色の変化球」を低めに集め、テンポのいいピッチングを展開。一番からズラリ右打者を並べた日本ハム打線に、12個もの内野ゴロの山を築かせた。しかも、そのうち10個までが投手から左方向。ほとんどが、相手打者に緩いボールを引っかけさせた結果だった。外国人投手にありがちなコントロールへの不安を微塵も感じさせず、与えた四球はわずか一つ。一方のグロスも4点を失ったものの、無四球で完投したため、1時間56分という超スピード試合になった。「いきなり完投だなんて、夢のようだよ」と殊勝なパウエル。それもそのはず、米国ではここ数年、マイナーでさえもショート・リリーフ専門で、127球も投げた経験はなかったのだ。近鉄としても、外国人投手の勝ち星は63年のミケンズ以来、実に32年ぶりのこと。まさに異例尽くめの快投で、鈴木近鉄はうれしい連勝となった。