1970年
ところで、二十四日の柳田選手に自由契約申し渡しは、たまたまベテラン選手ということで注目を集めるわけだが、実力だけがものをいう勝負の世界には、いずれやってくる宿命。たとえ巨人の看板コンビONであろうとも、さけることができない時の流れである。しかし、同じ現役引退でもぜんぶが柳田選手のようなケースとはかぎらない。第二の人生へのはなむけにすることもあれば、すでに引退した十九年選手・山内一弘氏(前広島)のように、コーチや解説者としてひくてあまた、はなやかにスポットライトをあびる例もある。球団関係者の声を集めてみると「選抜会議にリストアップされた選手は、同時に自由契約選手になることを意味する」という。見送られた選手が、こんご、ふつうのトレード交渉のルートにのることは、まず考えられない。これからつづくと思われる自由契約選手のおもなところをあげてみると、実績のある選手では、一時エース的活躍をみせた中日・山中投手。巨人キラーのサウスポー、ヤクルト・渋谷投手。阪神では好守備をみせた広島・朝井三塁手。王二世というふれこみだったヤクルト・奥柿一塁手。堀内と同期で大リーグキャンプに特例参加したこともある巨人・宇佐美投手。四十一年の盗塁王、阪急山本外野手。三十九年に防御率トップのロッテ・妻島投手ら。このなかには新人補強の関係から、たんなる員数選手として再契約となるケースがでてくるかもしれない。だが、給料は大幅ダウンをまぬかれない。なぜならば、いったん不必要ときめた戦力外の選手にムダ金をつぎこみほど、球団は甘くはないからだ。十一月末といえば、サラリーマンにとって、まもなくフトコロにはいってくるボーナスの皮算用にひたれる、年に二度の楽しい時。だが、来シーズンの契約更改が絶望的になったプロ野球選手にとっては、ひときわ寒さが身にしみる時なのである。
ところで、二十四日の柳田選手に自由契約申し渡しは、たまたまベテラン選手ということで注目を集めるわけだが、実力だけがものをいう勝負の世界には、いずれやってくる宿命。たとえ巨人の看板コンビONであろうとも、さけることができない時の流れである。しかし、同じ現役引退でもぜんぶが柳田選手のようなケースとはかぎらない。第二の人生へのはなむけにすることもあれば、すでに引退した十九年選手・山内一弘氏(前広島)のように、コーチや解説者としてひくてあまた、はなやかにスポットライトをあびる例もある。球団関係者の声を集めてみると「選抜会議にリストアップされた選手は、同時に自由契約選手になることを意味する」という。見送られた選手が、こんご、ふつうのトレード交渉のルートにのることは、まず考えられない。これからつづくと思われる自由契約選手のおもなところをあげてみると、実績のある選手では、一時エース的活躍をみせた中日・山中投手。巨人キラーのサウスポー、ヤクルト・渋谷投手。阪神では好守備をみせた広島・朝井三塁手。王二世というふれこみだったヤクルト・奥柿一塁手。堀内と同期で大リーグキャンプに特例参加したこともある巨人・宇佐美投手。四十一年の盗塁王、阪急山本外野手。三十九年に防御率トップのロッテ・妻島投手ら。このなかには新人補強の関係から、たんなる員数選手として再契約となるケースがでてくるかもしれない。だが、給料は大幅ダウンをまぬかれない。なぜならば、いったん不必要ときめた戦力外の選手にムダ金をつぎこみほど、球団は甘くはないからだ。十一月末といえば、サラリーマンにとって、まもなくフトコロにはいってくるボーナスの皮算用にひたれる、年に二度の楽しい時。だが、来シーズンの契約更改が絶望的になったプロ野球選手にとっては、ひときわ寒さが身にしみる時なのである。