秋の夜ことりと置きしルームキー 高山きく代
心に深く沈む句ですね。
私の愛する「増幅する俳句歳時記」の10月15日の句です。
私は、独身のときアパートの部屋の鍵はかけていなかった。
友だちが来たときにいつでも入れるようにしておきたかった。
部屋に盗られて惜しい物は何もなかった。
現在、私は家の鍵をジーパンの右ポケットに入れている。
車のキーと一緒にしているのだが、
家の鍵を開けるとまたジーパンのポケットに戻すので、
“ことり”という音とは無縁です。
なのでこの句の環境とは違う。
しかし、句の情景は理解する。
パソコンの電源入れし秋の夜 九想
私とすればこんなところですね。
家に帰ってパソコンの電源を入れてから、私の時間が始まる。
アパートの部屋の鍵をかけないことで後悔していることがある。
私が独身の最後の頃、ひとりの女に振られた。
彼女と付き合っていたときに、毎日のように手紙を書いていた。
彼女からも頻繁に来ていた。
しかし、あるときから手紙が来なくなった。
そして振られた。
ある日、アパートに帰ると誰かが部屋に来ていた雰囲気があった。
机の引き出しが1センチほど開いていた。
そこは彼女からの手紙を入れていたところだった。
引いて見ると、100通近い手紙があとかたもなかった。