今朝のラジオ文芸館(NHK8:05~8:45)は「胸突坂」(作:北原亞以子)だった。
ここのところあまり私の気に入る作品をやっていなかったので、今日も期待していなかった。
私は、北原亞以子という作家の小説を読んだことがないので、
どんな小説なのか見当もつかなかった。
ところが、石澤典夫アナウンサーの朗読を聴いているうちに、ぐんぐん引き込まれていった。
おるいは老舗菓子屋の娘で新しいお菓子を作り、その評判も良く店は繁盛していた。
幼なじみのおまつは、子どものときに両親を亡くし苦労して育った。
おるいと再会したときは、部屋貸しの汁粉屋を始めていて繁盛していた。
おるいの菓子屋は、父親が死んで売れ行きが悪くなり、店が傾き始めた。
人生の胸突坂にさしかかったおるいは、あちこち金策に走るがどこも貸してくれない。
以前、自分に好意を寄せていた材木屋の主人で戯作者の男を訪ね、借金を頼む。
担保なんて何もないから自分の身体を差しだそうとすると、男はそれを断る。
あとは書くのはよします。
いい小説でした。
いつか読んでみよう。
「花冷え」(講談社文庫)所収