昨日の朝、人参の作業を始めようとしているとき、
「今日はボクの誕生日です」
とAくんがテレくさそうに私にいった。
「知ってるよ。おめでとう」
「ハイ。ありがとうございます。今日で38歳になります」
私は、昼休みにでも祝福の言葉をいうつもりだったのに、
朝一番でAくんから催促されてしまった。
ダウン症の彼が38歳になる。
以前、送迎の集合場所にAくんを
送りに来ていたお母さんがいっていた。
「この子は大きくなる前に死んでしまうと医師にいわれていたので、
あまり辛いことイヤなことはさせないで育てよう、
という思いから結果的に甘やかしてしまった。
こんなに大きくなるのならもっと厳しく育てればよかった。
私が死んだあとのことを考えると、夜も眠れません」
Aくんは、お母さんと2人で暮らしていた。
私は何もいえず黙って聞いているしかなかった。
「それじゃ、こんどの20日土曜日はなんの日だ」
そう私がいうと、しばらくAくんは考えていた。
「分かりません」
「おれの誕生日だよ。忘れたの?冷たいなAくん」
「…ハイ。スミマセン」
これまで何回も、
「5月15日はAくんで、20日はおれの誕生日だよ。
同じ5月だから絶対忘れないね」
と2人で話していたのだ。Aくんも、
「ハイ、ボクも忘れません」
といっていたのにな。
作業所の子たちは、誕生日のことを必ず私にいってくる。
自分の誕生日が大好きだ。
私はというと、毎年忸怩たる思いで誕生日をむかえている。
「今日はボクの誕生日です」
とAくんがテレくさそうに私にいった。
「知ってるよ。おめでとう」
「ハイ。ありがとうございます。今日で38歳になります」
私は、昼休みにでも祝福の言葉をいうつもりだったのに、
朝一番でAくんから催促されてしまった。
ダウン症の彼が38歳になる。
以前、送迎の集合場所にAくんを
送りに来ていたお母さんがいっていた。
「この子は大きくなる前に死んでしまうと医師にいわれていたので、
あまり辛いことイヤなことはさせないで育てよう、
という思いから結果的に甘やかしてしまった。
こんなに大きくなるのならもっと厳しく育てればよかった。
私が死んだあとのことを考えると、夜も眠れません」
Aくんは、お母さんと2人で暮らしていた。
私は何もいえず黙って聞いているしかなかった。
「それじゃ、こんどの20日土曜日はなんの日だ」
そう私がいうと、しばらくAくんは考えていた。
「分かりません」
「おれの誕生日だよ。忘れたの?冷たいなAくん」
「…ハイ。スミマセン」
これまで何回も、
「5月15日はAくんで、20日はおれの誕生日だよ。
同じ5月だから絶対忘れないね」
と2人で話していたのだ。Aくんも、
「ハイ、ボクも忘れません」
といっていたのにな。
作業所の子たちは、誕生日のことを必ず私にいってくる。
自分の誕生日が大好きだ。
私はというと、毎年忸怩たる思いで誕生日をむかえている。