そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

「死」への同意

2006-03-29 18:46:10 | Society
「呼吸器外しに同意」患者家族が自宅玄関に張り紙 (朝日新聞) - goo ニュース

人間は、自分自身で下した決断についてすら「100%の確信」を持つことは難しい。
ましてや、家族といえども他人である。
本当に自分たちは同意したのか?同意すべきであったのか?
混乱と苦悩があって当たり前であり、上記ニュースにある証言の翻意についても、単に世間体云々というだけでなく、そのような家族の苦しい心情が現れているのではないか。

尊厳のある死を迎えたい、という気持ちはよく理解できるし、外科部長がとった行動についても心情的には支持したいところもある。
が、「死」は一旦選択してしまったら不可逆なのだ。

同意書の有無という形式要件は本質ではない。
けれども微妙で複雑で不可逆な問題だけに、明確な形で同意の形跡が残っているかいないかには大きな違いがある。

この外科部長はどこまで認識した上で、行為に及んだのか。
同意書が無ければ殺人の罪に問われることを十分自覚していたのか。
それとも、情に流されただけの熟慮を欠いた行為だったのか。

前者であるならば拍手を贈りたい。堂々と胸を張って罪を被って欲しい。情状酌量もあって然るべきだと思う。
が、後者だとしたら、残念ながら客観的には罪が重いといわざるを得ない。
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フランスの大規模スト

2006-03-29 00:10:41 | Society
仏全土で大規模スト 雇用策撤回要求しデモも (共同通信) - goo ニュース

最近気になっているのがこのニュースである。
このCPEという政策、「26歳未満の若者と無期限の雇用契約を結ぶ際、採用から2年間は試用期間として理由を示さずに解雇できる」という文面だけ読むと、どうしてこれが雇用対策になるのか腹に落ちず、反発を招くのも当然ではないかと思える。
が、それには当然背景があるわけで。
ネットでちょっと調べただけなので正確ではないかもしれないが、フランスにおける従来の雇用関係は、企業側にとってかなり厳しいものになっているようだ。
一旦、無期限(終身)雇用契約を結ぶと、どんなスチャラカ従業員でも、ちょっとやそっとじゃ解雇できないことになっているらしい。
で、企業側は新規に無期限雇用契約を結ぶことに慎重になり、自然若年層の失業率が高まっていた。
そこでCPEにより、企業が若者を雇いやすくしようという趣旨。
結局、CPEがあろうが無かろうが、フランスの若者にとっての雇用状況はかなり厳しいということか。

自然に考えると、CPEを新たに設けるのではなく、無期限雇用契約の方を改善して、解雇の要件を緩和すればいいようにも思えるのだが、何故若年層にばかりしわ寄せが来るのか?
若年層ではない労働者の権利を崩すことのハードルの方が高いということなんだろうか。
全土での大規模ストということは、若年層以外のフランスの労働者全般にシンパシーが広がっているみたいだが、ワークシェアリング的な発想が出てくればホンモノ、という気もするけど。
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