![]() | 満州事変から日中戦争へ (岩波新書 新赤版 1046 シリーズ日本近現代史 5)加藤 陽子岩波書店このアイテムの詳細を見る |
岩波新書の「シリーズ日本近現代史」の5巻目。
毎年この時期は先の戦争に関する本を読んだり映画を観たりすることにしてるんですが、今年はこれを読んでみました。
収められているのは、1930年代の満州事変~満州国立国~リットン調査団~国際連盟脱退~盧溝橋事件~日中戦争といったあたりが中心。
こうした一連の流れを辿ることになった日本の政軍による外交政策の中心に常に存在していた「満蒙権益」をキーワードとして概観されています。
そのため、「満蒙権益」のルーツを探る意味で1910年代頃まで遡っての検証も一部されており、日本にとっての「満蒙権益」とはどのような意味を持っていたのか、国際法上における「満蒙権益」の位置づけはどのようなものだったのか、そして、その両者が一致していなかったことがその後の日本外交の歩みに大きな影響を与えたのではないか、といったことが語られます。
この時代については、なんとなく破滅的な戦争に向かって一直線に突き進んでいったようなイメージを持ってしまいますが、こうして日本史の教科書では数ページで語られる歴史が丹念に解説されるのを読むと、けっしてそうではなかったことがわかります。
終末的な危機に至ることを回避するための努力は日中双方に存在し(例えば、かの松岡洋右も国際連盟脱退を回避するために懸命な説得工作を行なっていた事実などが語られています)ており、どこかで歯車が一つ良い方向に回っていたら歴史は変わっていたのではないかという気もします。
でも一方では、それじゃあそのような歯車が回るチャンスが本当にあったのかという疑問もわいてきて、斯様な悲劇的なスパイラルを辿ったことはやはり必然だったのではないかという気もしてきます。
歴史を学ぶことの面白いところは、こうしてある特定の時代を詳細に見ていくと、その時代に繋がる周辺の歴史が知りたくなってくるところ。
それでは「満蒙権益」が存在するそもそもの経緯となった日清・日露戦争とは何だったのか、中国は列強によってどうしてここまでズタズタにされることになったのか、改めて学んでみたくなる。
そういう意味もあり、このシリーズはとても興味深いので、1巻目に遡って読んでいこうと思ってます。