日経新聞朝刊「経済教室」、本日は「ソブリンリスクと財政再建 上」、筆者は櫻川昌哉・慶應義塾大学教授。
以下、メモ。
日本のソブリンリスクが取り沙汰されるようになってきている。
日本の政府債務残高は2010年度末には973兆円に達する見通し。
対GDP比は先進国で突出しており、今後の社会保障費増大を考えると、このままでいくとますますの財政悪化は避けられない。
2001年に財政破綻したアルゼンチンは外国債依存が高く(当時、67%)、これに比べると、日本の国債はほとんど(約95%)を国内投資家が保有している。
国債の大半が国内投資家により保有されているメリットとデメリットは以下のようなもの。
<メリット>
・国際金融市場でデフォルトする可能性が低い。
・国内経済では一般に成長率と金利が連動するので、景気悪化で財政赤字が膨らむときに、金利低下の利益を享受できる。
<デメリット>
・市場からの財政規律が働きにくい。放漫財政が続いても国内投資家はなかなか国債を売り始めず国債金利がすぐには上昇せず、放漫財政が断ち切れない。
・いざ破綻が起きたとき、外債なら海外に損失を押し付けることができるが、国内投資家が国債を保有していると損失を被るのは国民になる。国債を大量保有している国内金融機関の損失が甚大で、信用収縮や預金取り付け騒ぎに発展する恐れもある。銀行の国債大量保有により国債金利は低位安定を続けてきたが、その副産物として財政破綻が金融危機に直結するチャネルを作ってしまったといえる。
日本の場合、内国債がほとんどだからアルゼンチンやギリシャのような心配には及ばない、という議論はよく耳にしますが、一方で内国債メインゆえのリスクもあるとの話。
いずれにしても危機は静かに潜行していると言えるのでしょう。