そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

コンニャク芋にみるグローバル化の本質

2011-03-09 21:44:37 | Economics
今週号の東洋経済、テーマは「TPP全解明」。

高関税農産物の代表としてコンニャク芋が挙げられています。
日本の農業分野の関税率が単純平均で21%であるところ、コンニャク芋の関税率はなんと1706%と突出しているそうで。
これをして前原・前外相は「(主要産地の)群馬県からたくさんの首相が出ていることに関税率の高さが表れている感じがする」と発言したとか。

コンニャクを巡る内外の環境は以下のような状況だそうです。

・現状は高関税のため輸入量は極めて限定的。
・貿易相手国(輸入元)はミャンマー、ラオス、バングラデシュ。
・日本産がキロあたり約2000円に対し、輸入価格は892円。
・中国の一部の地域を除くと、食用に供するのは日本だけ。
・コメと違って品種や産地で味や品質の差がなく、海外産も国産品もまったく変わらない。

と、ここまで読んで、コンニャク農家が貿易自由化に身構えるは当然に感じる一方、消費者としては品質が変わらないのに不当に高いコンニャクを買わされている、という印象を持ったのですが、加工業者によると…

「コンニャク原料は96%が水分。仮に100円の商品でも製粉原価は1~2円にすぎず、原料がタダになっても店頭での価格はさほど変わらない」

…のだそうです。
これが本当なら関税撤廃したところで消費者にほとんど恩恵はないということですね。

消費者にとって品質も価格も変わらないということであれば、
1)当然、日本の農家を保護すべき
2)ミャンマーやバングラデシュの貧しい農家から買ってあげるべき
のいずれの立場をとるかという問題になりますね。

同じ日本国民なんだから1)を採るのが当たり前だという立場もあるだろうし、人道的見地からすれば群馬県のコンニャク農家よりも明らかに貧しいであろうバングラの農家を助けるためにも2)で行くべきという見解もありうると思います。

このジレンマって、貿易自由化、グローバル化を考える上で、結構本質なところなんじゃないかと。

週刊 東洋経済 2011年 3/12号 [雑誌]
東洋経済新報社
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コメント
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