そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

「イノベーションの知恵」 野中郁次郎、勝見 明

2011-07-22 23:53:09 | Books
イノベーションの知恵
野中 郁次郎,勝見 明
日経BP社



類稀なリーダーにより奇跡的な成功を実現した「イノベーション」の実例を紹介しつつ、経営学的見地からの解釈を差し挟む構成。

本著で紹介されているイノベーションのケースは以下の通りです。
旭山動物園
京都市立堀川高校
・JR東日本・エキュート
・トヨタ自動車・iQ
・霞ヶ浦・アサザプロジェクト
社会福祉法人むそう
再春館製薬所
・徳島県上勝町・いろどり
銀座ミツバチプロジェクト

どのケースも、読んでいるだけで元気になってくるような魅力にあふれており、それだけでも一読の価値があると思います。

特に強く印象に残ったのは再春館製薬所の4500平米・1200人収容のワンフロア・オフィスですね。
ちょっとこれは普通の会社では真似できないな、という感じです。
その他、”アサザプロジェクト”や”いろどり”のような地域活性化系のケースも、地道な活動が大輪を咲かせた感が感動的です。

で、差し挟まれる野中郁次郎氏の解釈編ですが、これがまた分かるような分からないような(笑)。
・「理論的三段論法」から「実践的三段論法」へ
・「モノ的発想」から「コト的発想」へ
・「考えて動く」から「動きながら考え抜く」へ
・「名詞」ベースでなく「動詞」ベースで発想する
・「見えない文脈」を見抜く眼力をつける
・偶然を必然化する

例えば「実践的三段論法」とは、「目指すべき目的がある」「目的を実現するにはこんな手段がある」「ならば、実現に向け行動を起こすべきである」と結論を導き出すこと。
正直、これを「論法」と言ってしまっていいのか?という感じではありますが、要するに大切なのは「行動する」ことであると。
当たり前だけど、なかなかこれができないのですよね。

「まとめ」の章では、リーダーに必要なのは「場のマネジメント」である、ということが提唱されます。
これは納得です。
いくら机上でうんうん唸っていてもイノベーションなど生まれない、綺麗にまとめようとしているうちはダメ、ってことですかね。

あと、これからのリーダーに求められるのは「ジャッジメント」ではなく「ディシジョン」だとも。
「ジャッジメント」と「ディシジョン」の定義の違いが明確に説明されていないんですが、基準による「判定」よりも行動をベースにした「判断」が重要、というようなイメージでしょうか。

コメント
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