未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる | |
ちきりん | |
文藝春秋 |
40歳を過ぎて、社会人生活、或いは人生そのものの折り返しを過ぎた身からすると、サブタイトルの『人生は二回、生きられる』というフレーズにはついつい敏感に反応してしまう。
この本に書いてある通り、人生80年、65歳定年時代を迎え、大学を出て最初に入った会社に一生をささげれば人並みに幸せな人生を全うできるという高度成長期の名残が完全に潰えようとしているのは事実。
そして、自分自身、今の会社に居続けたとしても現在と同等のポジションで仕事できるのは残りわずか10数年。
正直、人生のオプションを40代のうちにスタートさせたいという想いは常に抱いている。
殆ど、ちきりん女史がいつもブログで書いている内容だが、「ストックからフローへ」という変化に触れている部分は印象的だった。
人はなぜストックに頼ろうとしてしまうのか。
それは、フローで勝負するだけの自信が持てないからだろう。
フローで勝負する、即ち「市場で稼ぐ力」。
結局はそこなのだ。
最終章で呈示される「複数の将来シナリオを持つ」というのは非常によいメソッドだと思うが、ただシナリオを書くだけでなく、それを実現するために自らに市場価値を身につけるための努力を具体的にどのように行うのかが何より大事なのだと思う。
そしてそれはとても難しいこと。
そうは言っても扶養家族や住宅ローンを抱えていると自由にはできないのよ…などと泣きごとをつい言いたくなってしまうけど、可能性を追うことすら怠っているんじゃない?それで本当にいいの?という問いかけだと思う。
「こうしないと本当にヤバイよ」ではなく「こうしたほうが人生楽しいんじゃない?」というトーンで書かれているところは好感を持った。
「恫喝型煽り」ではなく「提唱型煽り」というか。
まあ、結局、煽りではあるのだけれど。