荒神 | |
宮部みゆき | |
朝日新聞出版 |
時代小説であり怪獣小説。
怪奇時代小説なら他にいくらでもあるだろうが、これはオンリーワンのキワモノ作品だろう。
とにかく驚かされるのは、こんな誰も見たことのないような化け物との戦いを、実に生き生きと描写する圧倒的な筆力。
中盤のクライマックスである砦での大破壊シーンなど、まるで眼前に場面が浮かぶようで、登場人物たちが直面する恐怖がありありと伝わってくる。
他の書評では「人間の業が…」みたいな観点で評価されているようだが、その点はイマイチのように感じた。
600頁に迫る大著でありながら、「業」を感じさせるほどの描き込みが不足している。
ちょっと登場人物が多すぎて、キャラクタが被るのも多くて役割が整理しきれていない印象。
映画化するなら観て見たい。
ちょっとグロそうだけど。