事故、自殺、早逝…誰かの不慮の死の報せに触れたとき、人は全く関わりがなく関心もなかったはずの他人の人生に思いを馳せたくなる。
誰もが思い当たるこの心情に踏み込むニッチな語り口。
この小説は、2011年の大震災で多くの生命が失われたことを契機にしている。2024年の元旦、能登でまた大きな地震があり予期せず失われた生命が多くあったことを報じる様子を聴きながら、このレビューを書いている。
巻末に「本作に登場する主な死者と死因」のリストが掲載されている。殆んどは現実に起きた(2014年以前のものだが)有名・無名の人の死ではあるが、明確に憶えているものもあれば、すっかり忘れかけていたものもある。
人は自分の生き方を選ぶことはできても、自分の死に方を選ぶことは難しい。
ましてや自分の死が他者にどのような思いを抱かされるのかなど制御のしようもない。
そんな儚い普遍に改めて気づかされる。
久々に長嶋有を読んだが、登場人物の境遇や心情の機微を拾う視点のユニークさは相変わらず。
そのディテールの綿密さを、書くほうも読むほうも楽しむという面がある。
セガサターンへの偏愛は著者の趣味の反映そのものだと思うし、大学講師・布田や蕗山フキ子の造形なんかはちょっと悪ノリを感じる。
#ブクログ
誰もが思い当たるこの心情に踏み込むニッチな語り口。
この小説は、2011年の大震災で多くの生命が失われたことを契機にしている。2024年の元旦、能登でまた大きな地震があり予期せず失われた生命が多くあったことを報じる様子を聴きながら、このレビューを書いている。
巻末に「本作に登場する主な死者と死因」のリストが掲載されている。殆んどは現実に起きた(2014年以前のものだが)有名・無名の人の死ではあるが、明確に憶えているものもあれば、すっかり忘れかけていたものもある。
人は自分の生き方を選ぶことはできても、自分の死に方を選ぶことは難しい。
ましてや自分の死が他者にどのような思いを抱かされるのかなど制御のしようもない。
そんな儚い普遍に改めて気づかされる。
久々に長嶋有を読んだが、登場人物の境遇や心情の機微を拾う視点のユニークさは相変わらず。
そのディテールの綿密さを、書くほうも読むほうも楽しむという面がある。
セガサターンへの偏愛は著者の趣味の反映そのものだと思うし、大学講師・布田や蕗山フキ子の造形なんかはちょっと悪ノリを感じる。
#ブクログ