後の先
今日のタイトル「後の先」は「ごのせん」と読みます。
「後の先」とは、剣道の戦法の1つで、相手が仕掛けてきた技に合わせて掛ける技、即ち、相手の動きに応じて打つ技です。
ボクシングで言うところのカウンターに相当します。
この「後の先」と言う言葉を、横綱白鵬がテレビのインタビューなどで度々使っています。
今日はこの言葉について調べました。
この言葉は、白鵬が尊敬していると言う不世出の大横綱双葉山が目指した理想の立ち合いを意味するものといわれています。
双葉山のいう「後の先」とは、双葉山自身が幼い頃吹き矢で傷つけた右目が失明状態にあったことから、目前の取り組み相手から勝ち星を奪い取るための究極的な立ち合いの戦法なのです。
双葉山は仕切り時にしっかり腰を割って重心を下げます。
一方、双葉山の対戦相手は、少しでも自分の有利な体制に持ち込むため 「相手より早く立ちたい」と考えて、重心の下がりきらないまま仕切り線から突っかけることになります。
すると、自ずと脇の甘い立ち合いとなりますから、双葉山は下から差し手を深く入れ、上手は浅い位置で引くことができます。
つまり、双葉山は十分に相手まわしを引き付けるという磐石な形になれるのです。
これが双葉山の目指した「後の先」だと言われています。
即ち、双葉山の目指した「後の先」とは、コンマ数秒でも、相手の動きを長く見ることが本意のようであり、この戦法で双葉山は自らの弱点を克服して69連勝と言う偉業を達成したのだそうです。
では、その双葉山を目指して相撲を取っている白鵬は「後の先」をどのように理解しているのでしょうか?
近年の白鵬の相撲は「後の先」には程遠く、その荒い相撲は目に余るものがあります。
張り手で相手をひるませる手口や肘をまげて相手の上半身を突き上げる搗(かち)上げ、そして、勝負が付いた後のダメ押しなど、およそ横綱が用いる手口ではないような荒い相撲が目立ちます。
更に、先場所では行事の軍配に異議を申し立てるような不満を表したり、数場所前には「物言い」「取り直し」の一番に対して、「子供でも分かる」と、審判団を批判するなど、言いたい放題の事を言い、横綱の品位を汚しています。
朝青龍という悪役がいる頃は模範横綱であった白鵬ですが、優勝回数を重ねるに従って非常に見苦しい態度を取るようになりました。
白鵬には「大相撲は自分一人が支えている。俺がいなかったら成り立たないだろう!」というような横柄な態度が目立つようになりました。
双葉山を尊敬していると言う白鵬ならば、今一度、双葉山が目指した「後の先」を思い出して欲しいものです。
大横綱・白鵬には猛省を促したいです。