大阪では大阪市を廃止し、4か6の独立した自治体(特別区)に再編する「大阪都構想」の制度設計を行う法定協議会の会合が断続的に行われています。
現行の24区を5区に再編する前回の特別区案は平成27年春の住民投票で反対多数となって廃案となりましたが、修正版として4か6区に再編する計4通りの区割り案が提示され、11月には移行コストや収支見通しも示されました。
法定協議会では「24区のままで大阪の課題解決を図ることはできるのか」とか、「財政面だけに偏らず、住民自治の観点からも考える必要がある」など、いろいろな意見が出ているようですが、大阪都は本当に無駄が省けて住民のためになるのでしょうか?
大阪市民の多くは「大阪都構想」のメリット・デメリットについて、未だによく理解できていないのではないかと思われます。
因みに、私が住まいしている熊取町は、現在は「大阪府泉南郡熊取町」ですが、狩りに都構想が成立したとして「大阪都泉南郡熊取町」となったとしても何のメリットもありません。
数百億円と言われる税金を投入してまで、「府」から「都」に変更するメリットは何処にあるのか疑問を感じます。
ところで、日本の地方行政区画はなぜ都・道・府・県と言う4種の呼び名で区分されているのでしょうか?
そこで調べてみました。
明治政府は江戸時代の藩を廃して「県」を設置する、所謂、廃藩置県を実施したのです。
この時、明治政府は都市として重要と判断した東京、大阪、京都に「県」よりも格上の「府」という名称をつけました。
東京府、大阪府、京都府と3府あった「府」は、昭和18年(1943年)に東京府と東京市(現23区)が合体して「東京都」に改名し、「府」は大阪府と京都府だけになりました。
現在は「府」も「県」も単に名称が異なるだけで「府」「都」「県」には上下の格差はありません。
では、「道」が付く北海道はどうでしょうか?
北海道は、実は「都・府・県」と歴史的背景が違っています。
北海道は古くは蝦夷地(えぞち)呼ばれており、江戸政府の支配体制が確立されていない土地でした。
開拓地としての蝦夷地には「県」に値する土地(藩)がなかったため、明治政府はここを内地とは区別して整備したのです。
北海道という名称は、律令制での行政区分だったものをそのまま残したのだそうです。
なお、北海道の名前の由来ははっきりしませんが、少なくとも「東海道」などと同じ意味の「道」ではないかと言われています。
さて、前述したように現在では「都」も「府」も「県」も上下の格差はありません。
「大阪府」が「大阪都」になったとしても格が上がるわけではありません。
府の財政や住民に大きなメリットがないとすれば、いくら大阪府内で支持率トップの大阪維新の会の看板政策とはいえ、大阪都構想にこだわる事もないのではないかと思われますが、如何でしょうか?