さて、いよいよ次の箇所がすごい。以下の箇所は、議会こそが国権の最高意志決定機関であり、唯一の立法機関であることを明確に述べる。議会の権限は、天皇の権限より強い。「主権在君」の「明治憲法」よりも、戦後に制定された「主権在民」の「日本国憲法」の内容にはるかに近いのである。慶応3年にこれを主張していたのは、本当に驚くべきことである。
赤松は、「天皇の意見と議会の意見が異なる場合にはどうすればよいの . . . 本文を読む
議会(議政局)は、上院(上局)と下院(下局)に分けられる。上院は貴族院、下院は衆議院に相当する。小三郎が、定数130人の下院から先に書きはじめ、定数30人の上院を後で論じていることは、衆議院に相当する下院を重視している姿勢の表れであろう。
定数130人の衆議院である下院は、「入札にて選抽」、つまり普通選挙によって選出される。選挙区は、「諸国及び隣国」となっている。これは基本的に各藩を選挙単位とするが、人口に応じて選挙区割をするため、数万石程度の小藩は、いくつか束ねて一つの選挙区とするということである。 . . . 本文を読む
この間、赤松小三郎に関する記事を連続して投稿し、赤松小三郎が慶応3年5月に越前福井藩の前藩主で幕府顧問の松平春嶽に提出した「御改正之一二端奉申上候口上書(以下、御改正口上書)」が、坂本龍馬の「船中八策」よりも早い、日本で最初の、選挙による民主的議会政治の建白書であり、もっと評価されるべきであることを論じてきた。
現在、ネットで検索しても、赤松の「御改正口上書」を読むことはできない。そこでこの . . . 本文を読む