佐々木実氏が長年にわたって竹中平蔵氏を追い続けてきた取材を集大成した成果は『市場と権力 ―「改革」に憑かれた経済学者の肖像』(講談社、2013年)にまとめられている。この度、その佐々木氏の『市場と権力』が「大宅壮一ノンフィクション賞」を受賞したというニュースが入ってきた。この本は、竹中平蔵氏の評伝であるが、単なる個人の評伝の範疇にとどまるものではない。日米構造協議、アメリカのおける政・産・学の回転ドアシステム、米国留学組がどのように米国化していったのか、そして年次改革要望書、小泉構造改革と郵政民営化、対B層広告戦略・・・・。竹中平蔵氏が権力を掌握する背後にあった四半世紀の日米関係と、「改革」イデオロギーの本質をするどくえぐり出している。市場原理主義・新自由主義と呼ばれる経済思想はどこから来たのか? それにはどの程度、学問的な裏付けがあるのか? 御用学者とは何か? こうした問題に興味のある方はぜひ本書を読んで欲しい。 . . . 本文を読む