代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

【書評】塩沢由典著『リカード貿易問題の最終解決 ―国際価値論の復権』(岩波書店、2014年)

2014年08月06日 | 新古典派経済学批判
 いまから200年前(正確には197年前)、リカードが主著『経済学および課税の原理』の中で提起し、その後の200年間、誰も解くことのできなかった問題がついに解決された。本書はその詳細な報告である。このような歴史的金字塔が日本において建てられたことは、すばらしいことだと思う。一刻も早い英訳の出版が待たれる本である。これは単なる貿易論の本ではない。書名だけ見ると、貿易論に特化した本かと思われるかも知れないが、そうではない。この書の真の意図は、古典派価値論の復権を通して、新古典派経済学パラダイムそのものを揚棄しようという遠大な構想にある。 . . . 本文を読む