昨日、前原国交相は国直轄の48ダム事業を凍結を発表。いよいよ国交省河川局の「存在意義」が問われるようになってきました。河川局官僚の皆様は、「まな板の上の鯉」状態。官僚の意のままに動く大手マスコミの記者たちを動員し、最後の抵抗を試みていますが、ダム問題に関する国民世論は、大手マスコミの扇動には乗らず、冷ややか。さしもの河川局もいよいよ「年貢の納め時」といったところでしょうか。
そこで、河川局が進むべき道に関して提言したいと存じます。林野庁とくっついて流域治水を目指すのが、最良の道ではないでしょうか。
こんなことは、このブログの過去記事でも書いてきましたし、鳩山首相以下、民主党の議員の中にもこのように考えている方々は多いでしょう。
古くは、橋本龍太郎元首相が、河川局を建設省から切り離して農水省に移管させようとしました。しかし河川局官僚たちの抵抗により、土俵際でのうっちゃりが決まって葬られてしまったのです。小泉との政争に敗れ、無念の最期を遂げた橋本元首相の遺志を実行に移すのに、いよいよ機は熟したように思えます。そこでいま一度、声を大にして訴えます。
もっとも故橋本首相のプランとは若干異なり、河川局を国交省から切り離し、林野庁を農水省から切り離して、両者を統合の上「森川庁(仮)」を設立して、環境省に組み込むのがよいと思うのです。
マイナスとマイナスをかけるとプラスになります。河川局と林野庁の統合により、両者の負の部分が止揚されて、日本の治水、環境保全、そして経済再生のために有益なポジティブな組織に生まれ変わるだろうと思われるのです。
これまで、森林は林野庁の管轄であり、一級河川は国交省・河川局の管轄であり、本来的につながっている森と川は分断されて統治されてきました。林野庁も河川局も、お互いに管轄の外の事柄については、「口出ししない」→「思考停止する」ということになってしまいました。
戦後、木材生産機能の拡張を至上命題とする林野庁は官僚的な価値基準に従って、広葉樹林を針葉樹人工林に置き換える「拡大造林」を推進し、その結果、幾多の洪水災害の原因をつくり出しました。木材生産のことしか考えない林野庁は、自らの施策が、下流にどのような影響が及ぶかなど頭の片隅にもなかったのです。
他方の建設省・河川局といえば、河道内部のハード対策によって洪水を制御することのみ考えてきました。「管轄の外」にある森林や水田に手を入れることにより、流域全体で洪水ピーク流量を抑制しようという発想を持ちませんでした。森林整備による治水機能の増進について全く考えていないので、不要な「治水ダム」を建設し続けるということが可能になってきました。
これまで、素人の目をくらますために最適な「基本高水」というブラックボックスの「魔法の数字」の恣意的操作により、国交省はいくらでもダムを造ることができました。まさに「基本高水」は、ダムを生み出す「打ち出の小槌」でした。基本高水の数字を1000トン/秒ほど恣意的に釣り上げさえすれば、それだけで巨大ダムを一つ新たに造ることができるのです。
林野庁はといえば、木材の生産機能を高めることを至上命題としていますので、治水を大義名分とする河川局とは違って、治水や環境など、実のところは二の次なのです。地球温暖化対策としての森林整備まで、林道建設の口実として使われていることは以前も論じました。林野庁の温暖化対策事業とは、切り捨て間伐によるメタン発生量を増加させ、実質的に「温暖化促進事業」となっています。
今、木材自給率はどん底の18%から上昇傾向にあり、24%にまで回復してきました。林野庁は、「新生産システム」なるものを導入し、いけいけドンドンで、外国との競争に負けないように、木材を「効率的」に、大量に運び出すことに血眼になっています。林道は相変わらず野放図に造り続けていますし、皆伐跡地の再造林放棄地も増えています。林道や皆伐地が増えれば、必然的に土石流などの土砂災害や下流での洪水災害の危険性を高めるのです。しかし林野庁は、縦割り行政のおかげで治水は河川局任せ、自らの施策が河川に及ぼす悪影響を考える必要がないので、安心して林道を造り続けられるわけです。
地球規模の森林保全のためにも、木材自給率は高めていかねばなりませんが、その結果、土石流や洪水が頻発するような事態は絶対に避けねばなりません。
そこで河川局と林野庁の結婚の必要性があるのです。河川局は、洪水の発生を抑制することを至上命題にしていますので、林野庁と統合されれば、上流での皆伐や林道建設に待ったをかける抑止力として機能してくれそうです。林野庁の施策のマイナス面を、河川の側から制御するという、環境面で非常にポジティブな役割が期待できるのです。河川局の名誉挽回になること必定です。
河川局からしてみても、これまではムリヤリに「河道という一次元」の中でのみの治水を考えてきたので、どうしてもコンクリートに依存せざるを得ませんでした。しかし、林野庁とくっついて森林も管轄することにより、「流域という二次元」での治水策を考えることが可能になります。治水策の幅は飛躍的に広がり、従来にはなかったクリエイティブな発想の治水が可能になるでしょう。
温暖化を原因として、集中豪雨が増えています。今後は、土砂災害と洪水災害の危険性を高めるような皆伐施業や林道建設は規制していかねばなりません。
林道による木材の運搬ではなく、人力や架線による木材の運搬を重視せねばなりません。そちらの方が、雇用を増やす有効需要の観点からも有益であり、同時に土砂災害対策、洪水対策の面からも適切なのです。その分、木材はコスト高になりますが、環境保全のためなのですから、一般会計から計上すればよいのです。河川局と統合することにより、そのようなお金はたくさん発生します。
公共事業費に占める林野庁の森林整備予算は年間2000億円程度。それに対し河川局はダム関連だけで年間1兆円も使っているのです。その一兆円のほんの一部が森林に投じられただけで、環境保全や治水対策と調和した木材生産が可能なるでしょう。
木材自給率を高めながらも、皆伐ではなく択伐による針広混交林施業、林道ではなく架線や人力による集材という形で、環境と治水面の双方の機能を損なわない木材生産が可能になるのです。
また林野庁や河川局が、温暖化対策に熱心な環境省傘下に加わることにより、木材のエネルギー利用やマイクロ水力発電なども進むでしょう。
河川局と林野庁の「結婚」による「河道主義治水」から「流域主義治水」への転換は、自然環境を救うと同時に、雇用も増やして経済も救うのに寄与すると思われるのです。
そこで、河川局が進むべき道に関して提言したいと存じます。林野庁とくっついて流域治水を目指すのが、最良の道ではないでしょうか。
こんなことは、このブログの過去記事でも書いてきましたし、鳩山首相以下、民主党の議員の中にもこのように考えている方々は多いでしょう。
古くは、橋本龍太郎元首相が、河川局を建設省から切り離して農水省に移管させようとしました。しかし河川局官僚たちの抵抗により、土俵際でのうっちゃりが決まって葬られてしまったのです。小泉との政争に敗れ、無念の最期を遂げた橋本元首相の遺志を実行に移すのに、いよいよ機は熟したように思えます。そこでいま一度、声を大にして訴えます。
もっとも故橋本首相のプランとは若干異なり、河川局を国交省から切り離し、林野庁を農水省から切り離して、両者を統合の上「森川庁(仮)」を設立して、環境省に組み込むのがよいと思うのです。
マイナスとマイナスをかけるとプラスになります。河川局と林野庁の統合により、両者の負の部分が止揚されて、日本の治水、環境保全、そして経済再生のために有益なポジティブな組織に生まれ変わるだろうと思われるのです。
これまで、森林は林野庁の管轄であり、一級河川は国交省・河川局の管轄であり、本来的につながっている森と川は分断されて統治されてきました。林野庁も河川局も、お互いに管轄の外の事柄については、「口出ししない」→「思考停止する」ということになってしまいました。
戦後、木材生産機能の拡張を至上命題とする林野庁は官僚的な価値基準に従って、広葉樹林を針葉樹人工林に置き換える「拡大造林」を推進し、その結果、幾多の洪水災害の原因をつくり出しました。木材生産のことしか考えない林野庁は、自らの施策が、下流にどのような影響が及ぶかなど頭の片隅にもなかったのです。
他方の建設省・河川局といえば、河道内部のハード対策によって洪水を制御することのみ考えてきました。「管轄の外」にある森林や水田に手を入れることにより、流域全体で洪水ピーク流量を抑制しようという発想を持ちませんでした。森林整備による治水機能の増進について全く考えていないので、不要な「治水ダム」を建設し続けるということが可能になってきました。
これまで、素人の目をくらますために最適な「基本高水」というブラックボックスの「魔法の数字」の恣意的操作により、国交省はいくらでもダムを造ることができました。まさに「基本高水」は、ダムを生み出す「打ち出の小槌」でした。基本高水の数字を1000トン/秒ほど恣意的に釣り上げさえすれば、それだけで巨大ダムを一つ新たに造ることができるのです。
林野庁はといえば、木材の生産機能を高めることを至上命題としていますので、治水を大義名分とする河川局とは違って、治水や環境など、実のところは二の次なのです。地球温暖化対策としての森林整備まで、林道建設の口実として使われていることは以前も論じました。林野庁の温暖化対策事業とは、切り捨て間伐によるメタン発生量を増加させ、実質的に「温暖化促進事業」となっています。
今、木材自給率はどん底の18%から上昇傾向にあり、24%にまで回復してきました。林野庁は、「新生産システム」なるものを導入し、いけいけドンドンで、外国との競争に負けないように、木材を「効率的」に、大量に運び出すことに血眼になっています。林道は相変わらず野放図に造り続けていますし、皆伐跡地の再造林放棄地も増えています。林道や皆伐地が増えれば、必然的に土石流などの土砂災害や下流での洪水災害の危険性を高めるのです。しかし林野庁は、縦割り行政のおかげで治水は河川局任せ、自らの施策が河川に及ぼす悪影響を考える必要がないので、安心して林道を造り続けられるわけです。
地球規模の森林保全のためにも、木材自給率は高めていかねばなりませんが、その結果、土石流や洪水が頻発するような事態は絶対に避けねばなりません。
そこで河川局と林野庁の結婚の必要性があるのです。河川局は、洪水の発生を抑制することを至上命題にしていますので、林野庁と統合されれば、上流での皆伐や林道建設に待ったをかける抑止力として機能してくれそうです。林野庁の施策のマイナス面を、河川の側から制御するという、環境面で非常にポジティブな役割が期待できるのです。河川局の名誉挽回になること必定です。
河川局からしてみても、これまではムリヤリに「河道という一次元」の中でのみの治水を考えてきたので、どうしてもコンクリートに依存せざるを得ませんでした。しかし、林野庁とくっついて森林も管轄することにより、「流域という二次元」での治水策を考えることが可能になります。治水策の幅は飛躍的に広がり、従来にはなかったクリエイティブな発想の治水が可能になるでしょう。
温暖化を原因として、集中豪雨が増えています。今後は、土砂災害と洪水災害の危険性を高めるような皆伐施業や林道建設は規制していかねばなりません。
林道による木材の運搬ではなく、人力や架線による木材の運搬を重視せねばなりません。そちらの方が、雇用を増やす有効需要の観点からも有益であり、同時に土砂災害対策、洪水対策の面からも適切なのです。その分、木材はコスト高になりますが、環境保全のためなのですから、一般会計から計上すればよいのです。河川局と統合することにより、そのようなお金はたくさん発生します。
公共事業費に占める林野庁の森林整備予算は年間2000億円程度。それに対し河川局はダム関連だけで年間1兆円も使っているのです。その一兆円のほんの一部が森林に投じられただけで、環境保全や治水対策と調和した木材生産が可能なるでしょう。
木材自給率を高めながらも、皆伐ではなく択伐による針広混交林施業、林道ではなく架線や人力による集材という形で、環境と治水面の双方の機能を損なわない木材生産が可能になるのです。
また林野庁や河川局が、温暖化対策に熱心な環境省傘下に加わることにより、木材のエネルギー利用やマイクロ水力発電なども進むでしょう。
河川局と林野庁の「結婚」による「河道主義治水」から「流域主義治水」への転換は、自然環境を救うと同時に、雇用も増やして経済も救うのに寄与すると思われるのです。
自然林は山頂付近にしかなく、山の自然を味わえる範囲は限られています。
「針広混交林」はおもしろいアイデアだと思います。関様が唱えるグリーンニューディールの重要な取り組みになると思います。是非、いろいろな面で訴えていってほしいと思います。
さて話は変わりますが、前原氏はダム工事の全面見直しを進めるようですね。趣旨には賛成できますが、それに変わる公共事業を展開しなければ日本経済はさらに悪化するような気がします。
関様は八ッ場ダムについて大変ユニークですばらしい代替案を提示されていて、「なるほど」と大変勉強になりました。しかし、これはダム工事に関わる建設業者やそこではたらく労働者への対策にはならないと思います。今の金融危機に対して即効性のある取り組みはやはり公共工事しかないと考えます。
関様が唱えるグリーンニューディールについては異論はありませんが、この政策による経済効果は時間がかかるような気がします。その意味でやはり代替案は自然との共生への転換する政策とともに即効性のある政策が必要だと考えます。
元々自然との共生をはかる政策は即効性を期待することが間違いではないでしょうか?自然はもっとゆっくりしたサイクルで動いており、我々人間側がそのサイクルにあわせていこうというものではないかと思います。グリーニューディール政策はあくまで、短くとも10年、20年後に効果が期待できるものにすべきだと考えます。
今の経済危機に対して、グリーンニューディールと同時に自然破壊を最小限にする公共工事を進めるべきだと考えます。
民主党政権で藤井氏と前原氏および官房長官の言動を聞いていると、不況政策を進めているのではないかと思います。期待できるのは亀井氏だけのような気がします。少なくとも彼らには今の格差社会をなんとかしようというものが感じられません。彼ら3人の言動と麻生氏を比べればまだ麻生氏の方が上に見えます。少なくとも積極的な財政出動が今もっとも必要であると思います。
>どうせなら、水産庁機能も統合した省庁を作ったほうがいいのではないでしょうか。
水産庁も林野庁も農林水産省から切り離されると、「林」と「水」がなくなった農業省になってしまいますね。
と考えると、橋本元首相のプラン通り、河川局を農水省に移管するということでもよいのかも知れません。
森、川、水田、農業用水、河口、海洋が有機的に連続した生態系として、管理できることになります。そちらの方が、私のプランより良いかも知れません。
>ダム工事に関わる建設業者やそこではたらく労働者への対策にはならないと思います。
確かに。あくまでも一地方における観光面での代替プランにすぎないので・・・・。全国的に建設業界をどのように救うのかという政策が求められます。
重要なのは、農林業だと思います。もともと地方の建設業界は、兼業農家の働き先として発展してきたので、農業・林業で再び食べられるようになれば「元のサヤに収まる」というだけです。
そのために建設業界が、農・林業に参入できるような政策的後押しが必要だと思います。
また、林業と関連しますが、「公共事業の木造化」も大事だと思います。「コンクリーから木」へ。ちょっとした堰堤や砂防ダム程度のものなら木造で対処できます。もう埋まってしまった砂防ダムなどいちど壊して堆砂を下流に流し(海岸線侵食の対策になります)、必要なものは、木造で造り替えるなどの公共事業を起こすべきだと思います。地元の資源を使って、地元の企業がやれば、従来の公共事業と違って、資金は100%地元に落ちます。
従来の公共事業は総額の70%はゼネコンが外に持っていったそうですから。公共事業の地産地消化を進めれば、公共事業費の総額に減っても、地元への波及効果は十分なものとなります。
さらに「公共事業の民生化」も大事ですね。子育て支援というなら保育園を増設し、小学校も改築・増築しましょう。これを各県の県産材でやれば、林業による雇用確保、ダムや道路に代わる建設業関連の仕事創出と一石二鳥です。
さらには公共施設と住宅への太陽光パネルの取り付けなども、補助金とフィードインタリフの二本立てで、麻生政権以上に野心的に行えば、地方の建設業界には相当量の仕事が生まれると思います。
こうした具体的な戦略は、やはり菅さんの国家戦力局マターになると思います。今のところ菅さんが政権の中で干されている印象で心配しています。
やはり閣僚の中で、亀井さんの他に能力的に期待値が大きいのは、菅さんだと思います。
湯浅誠さんなんかも国家戦略局入りするようで、菅さんの人選に狂いはないと思います。あとは官僚に伍して政策を立案し実践に移すことのみです。
私たちとしても、国家戦略局が頑張れるよう、応援していかねばならないと思います。