代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

音声ドラマ「小三郎伝」合情記 •You Tube版公開

2021年01月28日 | 赤松小三郎
 みなとかおるさん原作の音声ドラマ「小三郎伝」の動画付きのバージョンがYouTubeに公開されました。ぜひご視聴ください。
 
「小三郎伝」合情記 •みなとかおる作:声の出演: アライジン•森山高至•大矢敏幸•氏家信樹•三輪和音 (音声ドラマとして制作)



【ネタバレ注意】

 このドラマはフィクションであり、赤松小三郎暗殺事件の背後に大英帝国の影ありという筋書きです。ドラマの終盤で、イギリスの外交官のアーネスト・サトウは、赤松小三郎に英語を教え、支えようとしてきたヴィンセント・アプリン大尉に対して、次のように言い放ちます。「アプリン大尉、君も女王陛下の軍隊の一員であることを忘れるな!」と。
 人によっては、何か陰謀論の筋書きのように思われるかも知れません。しかし、アーネスト・サトウは小三郎が目指していた挙国一致の議会政治路線を「狂気(mad idea)」と主張して葬ろうとし、西郷隆盛に対しては軍事クーデターと流血の内戦を促し、薩長政権の樹立を支援していたことは事実です。たしかにサトウには、小三郎を消したい動機はあります。
 もちろん、ふつうに考えると小三郎暗殺は薩摩藩の武力討幕派の犯行でしょう。しかし想像力をたくましくして深読みすると、黒幕はさらに奥深くにあるという可能性も否定できないでしょう。

女王とクーデター

 大英帝国は歴史的事実として、世界各国で植民地化したり自国に都合のよい傀儡政権をつくるため、政府転覆の陰謀を繰り返してきました。そうした計画はトップシークレットですから、分からずじまいで終わるケースもあるでしょう。

 最近NHKのBSで「女王とクーデター」という面白い番組を放映していました。1953年、イランで立憲民主主義体制を構築しようとしていたモサデク政権は、イギリス資本の油田を国有化しようとしたため、イギリスのM16が計画し、力不足のM16がアメリカのCIAに泣きついて実行に移された軍事クーデターによって転覆させられ、パーレビ国王による「王政復古」がなされます。その際には血に塗られた暗殺も実際に行われています。
 このイランの王政復古劇は、何か日本の明治維新の筋書きとも似ているのです。

 その後、パーレビ王政はホメイニのイスラム原理主義革命によって打倒され、今日に至ります。すなわち大英帝国が、イランで成立した近代的な政教分離の立憲主義体制を葬らなければ、今日に至るイランと米英の不幸な対立はなかったはずなのです。イスラム原理主義が、中東であれほどに猛威を振るうこともなかったでしょう。

 それからじつに67年の月日が経過し、最近になって、このイランの軍事クーデターについての外交資料がアメリカ公文書館で機密解除され、エリザベス女王が関与していたことをうかがわせる資料が出てきたのです。イギリス国内では決して出てこないような文書が、アメリカには残されていたのでした。
 イランのクーデターから65年以上も経って、驚くべき事実がまだまだ見つかるわけです。日本の明治維新の背後に、私たちが知らない大英帝国の影が隠されていてもおかしくないわけです。

https://www.nhk.jp/p/wdoc/ts/88Z7X45XZY/episode/te/JWNYYX8K9W/

 

 

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