代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

貴州省の村の遠景

2006年03月22日 | 中国山村報告
 私のいた村の遠景写真です。ちょうど菜の花が咲き乱れている時期で、本当にきれいでした。ちなみに菜の花は近くの搾油場に持っていって搾油し、主に自家消費用です。この地域では春から夏にかけてトウモロコシと稲を作付けし、その裏作として小麦と菜の花を栽培しています。他に大豆、唐辛子、ジャガイモ、サツマイモ、白菜などが主な作物です。貴州省は、四川省や湖南省と並んで唐辛子が大好きな地域ですので、唐辛子はどの家庭も栽培する必須作物です。家畜は主に牛と豚と鶏を飼育しています。これだけやっていると、ほぼ食糧は自給できます。15年ほど前までは、塩以外はすべて自給していたそうです。

 ただ、美しい景観の中で、周辺の山々が禿山であることと土壌流出が激しい様子が気になるでしょう。これは、毛沢東の大躍進の失政による森林破壊とその後の無理な傾斜地耕作の傷跡なのです。大躍進以前は美しい原生林で覆われていたそうです。大躍進以降の表土流出の結果、山肌は石灰岩の岩盤が露出してしまっています。森林破壊の結果、灌漑用水も枯渇して水田面積が大幅に縮小しており、この村では十分なコメも確保できなくなってしまいました。
 土壌流出により岩盤が露出してしまう状況を、中国では「石漠化」と呼んでいます。黄河上流では砂漠化が深刻ですが、雨量の多い長江上流で深刻なのは石漠化なのです。
 現在、中国政府は、石漠化が進行する地域で「退耕還林」という人類史上最大の植林事業を展開中であり、私もこの写真の村で、その植林活動のサポートをささやかながら行っているわけです。


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2 コメント

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桃花源 (デルタ)
2006-03-22 23:41:33
無事ご帰国……お疲れだったことでしょう



桃花源記の中に出てくるような里でも、

このようなオーバーユースによる山地の崩壊が始っているとは、人ごとに思えません。

私の里のほど近く田上山(滋賀)も-原因が違いますが-同じように、岩盤まで剥きだしになった上に、植林がされていってます。200年くらいになるんでしたっけ?

田上のときのように、

その崩壊の上に、大都市(大阪・京都)からの抑圧とが重なり合って、慢性的な水害にならないように、

願うばかりです。
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デルタ様 ()
2006-03-23 09:08:44
 さっそくのコメントをありがとうございました。多分、100年前の田上山付近もこのような景観だったのではないかと推察いたします。田上山も今ではあそこまで復旧していますので、中国の林業局の方々などが来日されたら田上山に連れて行くと、きっと励ますことができるのではないかと思います。

 では、今後ともよろしくお願いいたします。
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