三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

北総研2008研究発表会

2009年06月10日 06時13分43秒 | Weblog



きのうは毎年この時期に行われている
北総研(北方建築総合研究所)の研究発表会。
北総研は北海道の外郭組織ですが、
やがては独立行政法人に組織替えすることになっています。
道庁の予算削減などもあって、
組織としての存続の行方は、どのようになっていくのか。
そういうなかで、しかし、北方圏住宅の研究開発で果たしてきた役割は
きわめて大きなものがある。
今回の発表会でも、北総研が大きな役割を担った報告が前段で2つ報告。
ひとつは、長期優良住宅先導的モデル事業の大きな成果となった
「北方型ECO」の北海道の取り組みで中核的な役割を担った報告。
まさに地方自治体でありながら、この北総研のような
研究開発組織を持っていて、地域工務店に対しても指導力を持っている、
という立場を十分に発揮した結果が、
補助金を北海道にもたらした原動力になったものと思います。
もうひとつの報告は、北総研の鈴木大隆さんが中心メンバーになってまとめた
国の新省エネ基準作りの経過報告。
この基準の改定については、わかりにくいと言われていて、
そのことも自身から何度も繰り返されていましたが、
ことし1年間掛けて、全国に普及させていく予定であると語っていました。
現状では、IBECに問い合わせても、担当者ごとで説明が違ったりする(笑)
場合もあり得る、っていうことだそうですが、
まぁ、確かに説明をいろいろ聞いていてもわからないことが多い。
しかし、こうした国レベルの基準作りにも
北総研が大きな役割を果たしている事実は明確。
今後の省エネ推進のためにも、寒冷地建築についての豊かで実証的な
北総研の研究成果は大きな存在になっていくと思います。

こういった研究開発型組織の発表会なのに、
結構大人数の参加がありまして、
会場は7割方は埋まっておりました。
最新の研究開発の事情を把握したいと、全国から逃さず見に来ている、
っていうようなみなさんも多く、全国レベルでの関心の高まりを実感します。
一方で地元の工務店さんも何軒か、社員が参加というケースもあり、
地域性と、全国的な広がりの両方を感じることが出来ました。
研究のテーマも多く、発表会は実は2日間連続開催でした。
まぁ、さすがに両日参加は困難ですが、
大きな成果はあったものと感じました。
それぞれのテーマについては、CDなどに詳しくまとめられてもいますので、
今後、じっくりと確認してみたいと思います。
なかには、たとえば「耐震性と断熱性の両方を一気に解決する手法」研究など、
これからの既存住宅性能向上のベースになる技術なども
北総研の大きな役割が発揮されたものとして発表されています。
追って、それぞれ取り上げてみたいと考えています。




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リフォーム用気流止めGW

2009年06月09日 06時24分41秒 | Weblog



室蘭工大の鎌田先生研究室でのアイデアから生まれた
既存建物の断熱気密改修用の「圧縮グラスウール」。
いろいろな実証実験を経て、もう少しで完成と言うところまで来ているようです。
写真のような形状で、これに梱包と気密材を兼ねるビニールを
もう一工夫して、完成という形なのだそうです。
で、こういう形状で現場に運ばれて、
現場備え付けの「掃除機」で内部の空気を脱気して
土台と壁の突き合わせ部分に挿入し、
その後、ビニールをカットして既存の壁の中で膨らませ
断熱層・気密層を構成しようという材料。
ことしから北海道で取り組む、断熱性向上型リフォーム「R住宅」の
大きな技術的なバックボーンになっていく期待が膨らみます。
確かに、今回のR住宅が性能基準として求めている
気密性能2.0cm/m2という数値は、達成が難しいと言われていますが、
ぜひ、こういった技術を活用して、
多くのみなさんが取り組んでいただきたいと考えています。
既存の建物の状態にもよるわけですが
この技術、大いに広まっていって欲しいものだと思います。
しかも、新住協で発表される技術は基本的にオープン技術として
公開されています。

きのうは先週の会議づくめの間に溜まっていた
整理作業、対応作業が山積み。
ちょっと対応しないでいると、あれやこれや、
段取りが進んでいかない仕事がたくさんある。
机の上はそういう書類やら、資料やら、連絡メモやらで一杯になってしまう。
そういうのに対応するのにきのうは1日かかったのですから、
4~5日程度で、1日かかるって、
こういうのは確実にしとめ続けないと、
なかなか、手強いゴミの山になってしまうのですね。
既存に対応する、って結構、根気はいる次第ですけれど・・・。



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昔のアイロン

2009年06月08日 06時16分24秒 | Weblog



呉服といわれる服飾は
相当長きにわたって日本人の美的感受性の中心にあったと思います。
そういう衣装を「仕立てる」道具って、でもあんまり見たことがなかった。
写真は先日、上ノ国の旧家で見かけた道具類。
で、なんとも面白かったのが
写真左下にあるもの。
これって昔の「アイロン」なんだそうです。
アイロンって、大体その語源からして、アイアンでしょうから
その言葉を独占的にひとつの器具が独占したこと自体
いかに服飾、とくに和服仕立てにおいて
日本人の暮らしに根付いたものだったことを表している。
で、この器具は先っぽの円筒状部分に炭火を入れて
熱を伝えやすい鉄の性質を活かして
それで衣服のシワを伸ばしたりする用途に使われたそうです。
また、右側のコテのような形状のものは
直接暖めて、より細かい部分を仕立てるものなんだそうです。
両方で、現代の「アイロン」の役割を果たしていたものだそうです。
興味があったので、Wikipediaで調べてみると

炭火アイロン

日本では金属製の片手鍋のような容器に炭火を入れ、この熱と容器の重みで布の皺をのばす火のしが 中国から伝わり江戸時代中頃から昭和30年頃まで使われていた。
明治時代になると、西洋より炭火アイロンが入ってきて広く普及した。 炭火アイロン、あるいは火のしは中の炭がはじけて火の粉が飛び散り、布を焦がす心配があるが、日本では良質の木炭が生産されていたので、さほど問題にならなかった。
西洋では布を焦がす問題から、中に炭を入れないこて(鏝)形のアイロンも広く使われた。 これは、石、鉄、銅等で制作され、使用する時はアイロンストーブと言われる専用のストーブの上及び周囲に乗せて加熱するもので、火の粉の心配は無い。
後に、電気式のアイロンに移行する。なお、現在では家庭用にはコードレス方式やスチーム機能付のものも多い。

っていうような説明なのだそうです。
こんなふうに「仕立てる」というような技術も
それこそ、日本中に職人的な手業として継承されてきていたものでしょう。
いまの時代、このような手業の文化は否定される方向が明確ですね。
で、一度文化が消滅すると、
二度とその技術が復元されることが少ない。
手間暇を掛けてきたこういう手業の文化、
たとえば建築の世界でも消滅しそうな分野って多い。
こういう道具ひとつ見ても味わい深い文化が
綺麗さっぱりと消えていることに、ため息が出る思いですね。




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音楽CD

2009年06月07日 06時34分28秒 | Weblog



きのうは札幌市内では小学校の運動会の特異日。
半数くらいの小学校では行われていたと思います。
運動会とは、孫の参加まで待たなければならなくなりました(笑)が
カミさんと坊主は元気に運動系のお出かけへ。
わたしは今週の会議漬けの毎日からどっぷりとした疲労感のなか・・・。

で、夕刻になってようやく元気が出てきて
前から気になっていた音楽CDを求めたいと考えました。
っていうか、坊主の体育館送迎の合間に
ちょっと時間が出来たので、少し回復した体力で
お店を覗きに行ったのですね。
わが家の近くには、スーパーが多いのですが
そのなかで2軒ほど、子どもと付き合って行った記憶のある店に
出かけてみました。
最近は、音楽というとiPodでダウンロード販売を購入するケースが多くて
なかなか「レコード屋さん」という存在に出かける機会がない。
で、記憶を頼りに行ってみたら、なんと2軒ともなくなっておりました。
ニュースなんかでCDが売れない、っていうような情報は聞いたことがありましたが
わが家の近くでそういう存在が消えているというのはびっくり。
で、やむなくその2軒目のスーパーの方に聞いて、
教えてもらったのが近隣にある「TSUTAYA」さん。
こっちのほうは、すごい立派な店構えと広大さで販売しておりました。
「これじゃね」と納得させられる圧倒的な品揃えであります。

しかし、たまに聞きたくなるくらいの
「今度のカラオケ機会にみなをびっくりさせるため」の歌の仕入(?)程度の動機ですので
高額の金額を払うような考えもない。
って、ようするにカラオケで歌っている人がいて
「それいいね、今度歌いたいなぁ」というのが動機なのですね。
そこで、「RENTAL」という看板に釣られて行ってみたら、
訪ね当たった次第。
買うと、結構するものが300円くらいで借りられるのですね。
そのうえ入会金がかからないという「カードタイプ」の会員登録を勧められまして
「またカードかぁ」と思いつつ、金額の誘惑には勝てませんでした(笑)。
っていうことで、レンタルしてきて聞いております。
1週間で覚えられるのか、さてどうでしょうか?

しかし、iPodではまだ、ソフト提供側で契約していない部分が多いのですね。
いろいろ歩き回ってこういうことになったのですが、
たまにこういう生きたマーケット状況を体験するのは興味深い。
ビジネスもどんどん変化してきていると感じますね。
スーパーは一軒のほうが閉店セールをやっていましたが、
書店とCD、DVDを販売している「TSUTAYA」のほうは
面積も広大だし、サービスも充実している。
店内の各所にレストスペースがあり、コーヒーカウンターもあって
たいへんアメニティが高くなっている。
なのに、わたしが使ったお金は300円で、駐車場代金は
スーパーの方に留めたので無料。
まぁ、300円也で、いろいろ勉強になった次第。
ビジネスの厳しい時代だと痛感いたしました。
とりとめのない話題で恐縮です。
<写真はおととい3日酔いで酔っぱらっての帰路、出ていた「おぼろ月」>





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市民会員で参加の国会議員さん

2009年06月06日 08時19分43秒 | Weblog



きのうは新住協の年に一度の総会。
朝9時からスタートして、午前中に組織としての総会を終わって
基調講演、午後からは研究発表などが相次ぎ、
終了したのが午後5時半。
そこから会場を変えて懇親会も行われました。
写真は、懇親会の会場の様子。

新住協って、これまでの総会でも
いわゆる来賓祝辞というようなものってなかった。
それだけ実質的な住宅技術研究開発型の組織だったのですが、
運動の広がりが大きくなってきて、
今回は4名の来賓が来られていました。
とはいっても、住宅に関連する組織からの公務として参加のような方たち。
そんななかで、来賓あいさつにも立たず、
その後の懇親の席であいさつされて初めて来場を知ったのが、
参議院議員の中村てつじさん。
民主党の所属で、奈良県選出の議員さんです。
中村さんは、全国発売されたわたしどもの「エコ住宅Q1.0」などの
雑誌を知っていただいて、数十冊単位で購入され、
国会議員さん仲間や、中央省庁などに「北海道ではこんなにいい住宅を建てている」
と、大いに住宅政策的な立場から活動いただいています。
そんなことで、いろいろにお話しさせていただきました。
いま進めている「北海道R住宅」についても、
わたしどもの雑誌をごらんいただいていて、
「大変わかりやすかったので、利用させてもらいました(笑)」
と、おっしゃっていました(笑)。
新住協の進めている地域工務店の技術向上、地域活性化の努力に
賛同していただいていて、大いに共感できた次第。
その後、「地域工務店さんの声をもっと聞きたい」と
2次会でも多くのメンバーと活発に意見交換されていました。

国会議員さんの議員連盟も最近、超党派で組織されています。
地域工務店の立場に立って活動してきた新住協の運動が
このような国会議員さんたちのレベルでも広がりつつあるのです。
工務店メンバーのみなさんとも、現状の国の住宅政策について
忌憚なく意見を話し合って、いろいろに認識を深めていただけたようです。
しかしそれよりなにより、
国会議員という立場でありながら、
一市民の立場として、このような民間団体の総会に出てくるという
姿勢に大きく感銘を受けました。

国の住宅政策の進み方に
わたしどもの雑誌が志向している「地域で暮らす工務店」の立場が
すこしでも反映されるような方向になっていって欲しいものだと
強く念願する次第です。




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本日、札幌で新住協総会開催

2009年06月05日 07時05分29秒 | Weblog



きのうは札幌に全国から210人の方々が集結。
このブログでもよく取り上げている「新住協」の総会参加のみなさんです。
前夜祭からすでに大変な盛り上がりで、
座る場所がないというような状況です。
本日9時半から総会が始まるのですが、当日地元から参加される方たちも
合流してくると、会場がすし詰めになるのではないかと
前夜祭の会場でもあいさつのなかで危惧する声が聞かれました。

わが社では、「エコ住宅Q1.0」の発行などを通して
全国のメンバーのみなさんと顔見知りの方が多く、
会場のあちこちで、旧交を温めさせていただきました。
昨年ことしと、新住協の活動がベースになった高性能住宅技術が
国の長期優良モデル事業のまさに骨格部分を形成している
ものとして、クローズアップされてきていると思います。
そういうなかでQ1.0住宅を建てられる技術を持ったビルダーが
さまざまな場所で大きな役割を発揮しています。

きのうはまぁ、北海道にようこそ、
というようなブレークダウンのミーティング(笑)。
屈託のない交流で、楽しい時間を過ごさせていただきました。
本日の総会参加での体調が
あんまりひどくならないように(笑)、セーブしながら
でも結局、12時過ぎまで帰宅がずれ込んでおりました。
会場で座る場所を確保できるかどうか、
早めに出かけたいのですが、
全国から来られるみなさんに、札幌のいちばんいい季節を満喫していただいて
またしっかり、高性能住宅の最新情報を交流していただきたいですね。
ということで、本日も頑張っていきたいと思います。
本日は総会・懇親会で、
あすは一般市民にも公開される「市民セミナー」も開催。
詳しくはリプランHPにもバナー掲載されています。
ぜひ多くのみなさんの参加を期待しています。




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北海道R住宅、本格離陸!

2009年06月04日 06時23分22秒 | Weblog



きのうは札幌市内中心部で、
合計3つの会議が集中いたしまいした。
午前中が「北海道R住宅」の事業者協議会。
午後からは新築の方の「北方型ECO」のほうの2件の会議です。
いずれも長期優良住宅先導的モデル事業の採択を受けてのもの。
とくに「北海道R住宅」のほうは、わたしもメンバーとして
いろいろ、事業者幹事さんの人選とか関与が大きくなっていますので
次第の進行に関与しております。
この事業は、はじめ北海道の諮問委員会的なものが
3年間の論議を行ってきたものが
その後、国交省の支援を受けて全額国費補助を受けて1年間引き継がれてきたもの。
今年度、国の先導的モデル事業に事業採択され、
なんと、事業総枠が申請通り満額回答されたというものです。

「性能向上」型のリフォームというものが
なかなか社会的に認識が深まらず、マーケットの構築が見えてこない中で、
まさに「先導的」なかたちで、社会にそういう事業を広めようという壮大な企画。
こういう事業に対して、国の補助金が認められた意義は大きいし、
また、こういった指向に賛同を示してくれた各事業者さんの
たくさんの(70社)参加を得られたことはまことに心強い。
まぁ、しかし、なにせ世間にそう大きく需要が転がっているという
そういうビジネス分野ではないだけに、
みんなで創造していく、というタイプの事業領域になっていくものでしょう。
この国の補助金という大きなバックアップを活かして、
「性能向上リフォーム」という概念を世間に訴求していきたいと考えています。

まずは各事業者さんからの要望戸数を確認して
それに割り振って、現状ではまだあまりがある。
今後、それをどのように配分して、実を上げていくか、
なんとか、総枠185戸分相当、国費2億4000万円あまりを有効に使って
北海道から住宅の高寿命化、高性能化の
先鞭を付けるような事業構築を実現させていきたいものと考えています。

なんですが、論議し、方向を生み出していかなければならない事柄も
まことに多く、これからも難題は山積しています。
ひとつひとつ解決させていくように頑張っていかなければなりません。




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エネルギー問題と大不況

2009年06月03日 08時18分00秒 | Weblog



長期優良住宅先導的モデル事業、って、
何回書いても、見ても、どうも食欲のそそる言語ではない(笑)。
まぁ、国の政策方針のことですから、
やむを得ないのですが、意味の正確さだけで概念を確定させる
いかにも、役所的な言語感覚で辛いものがある。
そうかと思えば突然「見える化」する、なんていう概念も登場したりする。
そういえば、何LDKという概念も日本発の概念だそうですが、
これもお役所仕事の産物だと聞きました。
その後の日本の住宅表記で、ここまで普及したのですから、
やはり、日本は役人の権力をありがたがる国民性なのか、
それと同時に公務員さんがきわめて優秀なのか。

さて、未曾有の大不況という状況から、
政策的な投資がたいへん大きくなってきている昨今、
住宅の関係でも、政府の「補助金」がいろいろに交付されています。
「長期優良先導的モデル事業」という施策が行われているわけですが、
それにようやく対応できるかどうかの段階になって、
さらにこれとは別に、より簡易な認定で
1戸あたり100万円までの補助金の出る施策も実施されることになっています。
モデル事業(便宜上、このように呼びます)への対応でも
実にさまざまな役所的制約があるわけなんですが、
それにヘトヘトになって、更にこの上、っていうところ。
第3者的に政治や行政に批判をしていればいいのなら、気楽ですが(笑)
なかなかそうはさせてくれない。

役所が想定しているような手続きをきちんとこなすというのは、
かなりの労力や、根気を込めた忍耐力が必要になってくる。
法治社会、という体制ではやむを得ない部分があるのですが、
こういう部分に対応することが、本来的な意味での仕事とは言えないわけで、
どうにもやりきれないと感じる部分があります。
一方で、グラフのようなエネルギー問題は
霞ヶ関や国会などの舞台ではかなり認識が低下してきているようです。
最近になって、こういった風潮への反省やら、警鐘も
一部の世論には出てきているようですが、
「百年に一度の大不況」という大きな波に飲み込まれていますね、完全に。
どうにも、例のインフルエンザ問題といい、
この国の「集中豪雨」的なやりかたというのは、どんどん拡大しているのではないか、
そんな危惧の念を持たざるを得ない。

なんですが、本日は長期優良住宅モデル事業についての
説明会・会合が相次いで開かれることになっています。
頑張らねば、というところであります。




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北海道の中世遺跡

2009年06月02日 07時11分03秒 | Weblog



北海道の中世史って、
わたしたちの年代ではまったく解明された事実がない状態でしたが、
近年、盛んに考古発掘が相次いできていて、
いろいろな様子がわかってきています。
写真は、史跡上之国館跡 勝山館跡(国指定史跡)のジオラマの様子です。
推定されている年代は15世紀後半から16世紀一杯ということですから、
ちょうど日本史の側では戦国期に相当する時代。
下克上の風潮に乗って、伝統的な支配者である
安東氏に代わって、蠣崎氏~のちの松前氏が勃興していたころ。
北海道に和人地を築いて、北方との交易を主な生業とした勢力は
たぶん、北東北に勢力を築いた「安倍氏」の末裔が主流だったと思います。
平泉藤原氏の滅亡後、すぐに鎌倉政権側と外交的に手打ちを行って
北条家の代理人として十三湊に現地支配権を確立した安東氏は
安倍氏の嫡子を始祖とする家系伝説を持っている。
その安東氏が、八戸周辺に勢力を築いた南部氏に勢力を奪われて
本州地域での支配地を失って北海道に渡ったもの。
その家臣であった蠣崎氏が、実力でアイヌの蜂起をかろうじて撃退したことで
主家から禅譲される形で支配権を確立した。
そんな時期に、作られた城郭都市がこの遺跡です。

当時の勢力分布からすれば、この城郭が対アイヌとの境界地域。
夷王山という天然の要害中腹にこの城郭は位置しています。
その位置から眼下には北方の日本海が遠望でき、
日常的には交易の船舶をチェックできたでしょうし、
戦時には、敵対する軍勢の攻撃を予見することが出来ただろうと思います。
アイヌや、より北方の勢力が攻撃してくる場合、
多くは海上を通って攻めてきたものと推測できます。
安倍氏の東北での支配時代でも、蝦夷同士の敵対関係を利用していた節がありますが、
この城郭には、基本的には敵対関係にあると思われるアイヌのひとたちの
生活痕跡もたくさん出てくるのだとか。
たぶん、アイヌ勢力の中に蠣崎氏に取り込まれた勢力もあって
同盟的な関係を持っていたものと推定できます。

この写真はジオラマですが、
海面からはかなり高台に、見張りの望楼も設けたり
あるいはから堀や柵を厳重にしたりと、
かなりの軍事的緊張を感じさせる造作になっています。
でありながら、柵の中には中央に通りを設けて
日常的な「生活感」も見ることができます。
こぢんまりとはしているけれど「中世都市」という感もある遺構です。
いろいろと具体的な交易の関係性であるとか、
位置関係的にも、きわめて興味深い想像が盛り上がってきますね。
さてさて、どんな光景が展開されていたものか?




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ヒバ樹皮の「断熱」素材

2009年06月01日 05時49分23秒 | Weblog



写真は、道南・上ノ国の笹浪家住宅外壁。
表面に扱われている素材は何かなぁ、と見ていたらボランティアの方が
「ヒバの樹皮です。断熱効果を期待していたそうです」
という説明をしてくれました。

北海道日本海側地域は、
北前交易など、伝統的に日本海側地方からの移民が多く、
この住宅も「能登屋笹浪家」という出自をそのまま屋号にしたもの。
一般的に家の次男三男といった存在が
「一旗」組として北海道に可能性を夢見て
初めは労働者として移住し、
徐々に船を持ったりして、自立を図ったのでしょう。
そういった事例は、山形県酒田から来た「青山家」など、
たくさんの事例があります。
この笹浪家もそういった家系出自をもった家。
享保年間に能登から、この地にやってきたということですから、
約300年前くらいのこと。
この建物は、何回か改築されてきたもので、
江戸末期から明治初年に建てられたものと言うことです。
寒冷地住宅として、この地に住んで百数十年経過した家系なので、
なんとか、寒冷条件を克服できないかと
考えている痕跡がこの「ヒバの樹皮」貼りの外壁。
日本家屋の伝統技術には寒冷地用の技術は大変乏しいので、
この樹皮を貼る、という考え方はたぶん、蝦夷地アイヌの
住宅などからヒントを得てのことだったのではないかと思われます。
樹皮は油分が多く含有されているので、
たとえば平安期北海道の原住民の住宅では、
防水・防腐の効果を期待したような使い方が復元住宅などで行われています。
漁労労働力として、あるいは交易の相手として、
アイヌとふれあう中で、
そういった知識、「技術」などを見聞きしていた可能性はある。
で、そういった知識を膨らませて、
原木のヒバの樹皮をていねいに剥いで、
住宅の外壁に貼り込むという知恵の飛躍を試みたのでしょう。
この住宅の屋根には柾目板が使われていますので、
木材を薄物として利用するような大工技量を持った棟梁が
このような工夫を考えついたものでしょうか。
残念ながら、現在は保存建物で住んではいない建物ですので、
冬期間の暮らしようはどうなのか、
証言は得られませんでしたが、どうなんでしょうか。
まぁ、その後、樹皮の建物外皮が普及したという話も聞いたことがないので、
いわゆる「暖かさ」という点では、
期待したほどの効果は出なかったのではないか、と思われます。
しかし、きわめて風の強い地方ですので、
面で風を受け流す、という意味では「防風」的な効果は
あり得たものかも知れません。
日本建築として、ギリギリの防寒的試みとして、
ちょっと興味を抱いた外壁でした。




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