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私の日常臨床 34 (問題提起編)

2018-04-06 16:59:29 | Weblog
ここ最近 いろいろやることやたら多くて更新さぼっていた。。。
ではさっそく、今回は症例から問題提起などを提示しよう。

添付する写真、患者は初診時65歳の女性。主訴は義歯で食事ができないとのこと。
上顎の総義歯をいくつかの医院を受診して、義歯を作るもまったく
安定が得られず、食事がとりにくいとのこと。
主訴を裏付けるように、やせ細った状態であった。
患者はとにかく食事をしっかりとりたいという機能面の要求が強かった。

現義歯は、診査したところ静的な状態では吸着はあるものの
機能的運動ではまったく使い物にならなかった。
しかし、上下顎の状態を観察したところ、シビアな骨格性の3級の状態であり
難易度の高い義歯治療であることがわかる。

当院でも、他院と同様に総義歯作成を試みたが
印象、咬合採得まではそれなりにうまく行えるが
TFの段階ですでに安定は得られず、
義歯に精通した技工士さん立ち会いのもと試行錯誤(リンガライズや、3級配列など)を
行っても、全然機能的問題は改善されなかった。今までの先生たちの苦労が理解できる。

このような症例の場合、インプラントを用いた欠損補綴が第一選択になるであろう。
しかし、この症例、レントゲンからみても分かるように
左右の臼歯部の骨量が少なく、骨造成が必要である。
そしてボーンアンカーフルブリッジを計画した場合、確かに
非常に強固な安定を得られるが、費用面でかなり高額な治療になってしまう。
(実際、以前他院でインプラント治療で総額300万円以上と言われ
 捻出できる金額をはるかに超えていたため断った経緯があるとのこと)

そこで、
患者がインプラント治療を取り入れてもよいとして、ただ
経済的な余裕があまりなく、費用面も加味しなければならない場合、
どのような補綴計画がよいのか?
・ALLon 4
・IOD 
 (ロケーター/磁性タイプ/ドルダーバータイプ)
が、選択肢にあげられると思う。

しかし、これらのプランをあげた時でも、この症例の場合は
特に顎口腔の状態を考えなければならない。
all on 4またはIODのいづれかのタイプにしても、
この口腔内に対してこれらの補綴物は、まず維持安定はあまり期待できないことは
予測できるし、患者の期待度を踏まえて考えても治療にはリスクが高い。
この点についての理由はここでは明記はしないが、
これはちょっと考えれば分かることである。(模型やレントゲンを参考にしてもらいたい)

となると、どのような治療を行うかが、
患者の求める結果(予後)となりえるか考えてもらいたい。
皆さんならどうします?

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