ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

思い出のプログレ・アルバム#7 トリロジー/エマーソン・レイク&パーマー

2013年04月13日 | プログレ
 「トリロジー(三部作)」と題され、初めてメンバー3人の顔がジャケットに使われた(が、日本盤はいつもエマソンの顔が隠れてしまう)このアルバムは、「タルカス」や「恐怖の頭脳改革」など傑作と呼ばれる他の作品と比べると比較的地味な存在かもしれない。しかし、写真の帯を見ておわかりのように、1972年6月のアルバムリリース直後に彼らは初来日を果たした。従って当時はプロモーションも強く行われ、その渦中にロックを聴き始めた私もいたのだ。実際、この新作がラジオ*で頻繁に紹介されていたので、私も自然にELPを聞くようになった。もちろん、グレグ・レイクがキング・クリムズンを脱退し、このグループ結成に加わったという事実も承知してはいたのでなおさらだ。
 「トリロジー」はそういう意味でELPを知るきっかけとなったアルバムである。この中で私の一番のお気に入りは 「フロム・ザ・ビキニング」 だ。アコギが奏でる少しジャージーな雰囲気の曲で、終盤の口笛風のモーグ・シンセのフレーズがたまらなく良い。好きな曲は当然弾きたくなる。昔、「展覧会の絵」の中の「賢人」とこの曲だけは完コピして今でもよく弾いている。(それに歌がつけば申し分ないのだが…。)他に、全盛の頃のライブでオープニングを飾った「ホウダウン」(高校時代の我がバンドで、キーボードとベースとドラムの3人が頑張って演奏していたのを思い出す。)、アルバムのオープニング曲でホラー映画のサントラをも思わせる「永遠の謎1~フーガ~永遠の謎2」のメドレー、始まりがこの上なく美しく終わりが荒々しい「トリロジー」、ラヴェルのボレロを彷彿させる「奈落のボレロ」など、改めて見ると名曲揃いである。
 以前スティーブン・ウィルソンによるELPの5.1chリミックス・アルバムについて述べたが、次に何が来るのか明らかになっていない。私としてはぜひこの「トリロジー」を聴いてみたい。それまでのアルバムと比べて、さらなる音空間の広がりを感じるからだ。この後、あの「恐怖の頭脳改革」を制作することになるELPにとって、油の乗り切っていた時期の、私にとって忘れられないアルバムである。
(*来日時には亀渕昭信氏のオール・ナイト・ニッポンにまで出演していた。その時に録ったカセット・テープが今も手元に残っている。)