バーブラ・ストライサンドのように我がCDラックに複数枚のアルバムが並ぶ女性アーティストがいる。ガブリエラ・アンダースGabriela Andersである。
彼女のアルバムWanting を知ったのは札幌の玉光堂パルスというCDショップの店頭にあった試聴コーナーだった。ボサノバ好きの私は、2曲目に「イパネマの娘」が入っているこのCDを手に取り聴いてみたのだが、1曲目のFire Of Love に思わず魅了されてしまった。シンプルではあるがリズミックかつとてもスペーシーな広がりのある演奏にかぶさるミステリアスな彼女の歌声に引き込まれたのだ。モノクロの街中を一人歩くアンダースが映えるジャケットも魅力的で、ジャケ買い的に購入した雰囲気もあるのだが。確か99年のことだった。ところがどういう訳かこのアルバム、程なく聞かなくなりしばらく我が家の押し入れの段ボール箱で眠る羽目に。そして何度目かの引越しである08年頃、荷物の整理中に見つけ出し聞いてみた。実に10年近く経ってしまったが、以後愛聴盤となっている。
久しぶりに聴いてみて、いろいろ再発見した魅力がある。ジョージ・デュークが参加し、ボサノバやサンバにジャズのみならず、レゲエやタンゴの要素も加味され洗練した都会的サウンドである。さらに完全なAORと少し違うのはアンダースの歌が時には囁くように、そして時には独特のスキャットを交えるなど様々な彩りがあるからだ。そして、曲が良い。中でも Just An Hour はG・デュークのアレンジで歌われるソフト・ジャズのバラードで、アンダースの歌とデュークのピアノソロが胸を打つ秀作。また、エリック・ベネとのデュエット曲 Forever はシンプルなメロディーなのに二人の見事な歌唱力で聴かせる1曲。そしてラストの Brasileira は軽めのジャズ・ボッサ調で、誰もが好きになるであろう美しい旋律と彼女の本領発揮というべきスキャットが堪能できる名曲だ。
実は、このアルバムを輸入盤で購入していたのだが、日本盤には1曲ボーナス・トラックが加わっていることを知り、新たにそちらも入手してしまった。その時の解説を見て、驚いた。アンダースはボサノバ・ユニットのBelezaベレーザのヴォーカリストだったのだ。そして私はベレーザのアルバムをすでに3枚ほど所有していた。それらも玉光堂パルスで試聴し気に入って購入したものである。そのベレーザとして録音されていた曲の中にWantingでカバーされているものが多数あることにも気がついた。(曲のクオリティはこのソロの方が数段上であるが!)まさかそのような関係があるとは全然気づかなかったわけだが、やはり好きなものは好きなのだ、ということでさらにアンダースに惚れ込み、他のソロ名義2枚のアルバムも手に入れることができた。アルゼンチン生まれのためスペイン語で歌っている曲もあり、どこかエキゾチックな不思議な魅力を持つアーティストである。最近は活動をしていないようで、アルバムのリリースがないのがとても残念だ。
*写真上列左より~Beleza: One Note Samba 2003, Beleza 1996, Seven Days 1996,
*写真下列左より~Solo: Wanting 1999, Last Tango in Rio 2004, Bossa Beleza 2008
彼女のアルバムWanting を知ったのは札幌の玉光堂パルスというCDショップの店頭にあった試聴コーナーだった。ボサノバ好きの私は、2曲目に「イパネマの娘」が入っているこのCDを手に取り聴いてみたのだが、1曲目のFire Of Love に思わず魅了されてしまった。シンプルではあるがリズミックかつとてもスペーシーな広がりのある演奏にかぶさるミステリアスな彼女の歌声に引き込まれたのだ。モノクロの街中を一人歩くアンダースが映えるジャケットも魅力的で、ジャケ買い的に購入した雰囲気もあるのだが。確か99年のことだった。ところがどういう訳かこのアルバム、程なく聞かなくなりしばらく我が家の押し入れの段ボール箱で眠る羽目に。そして何度目かの引越しである08年頃、荷物の整理中に見つけ出し聞いてみた。実に10年近く経ってしまったが、以後愛聴盤となっている。
久しぶりに聴いてみて、いろいろ再発見した魅力がある。ジョージ・デュークが参加し、ボサノバやサンバにジャズのみならず、レゲエやタンゴの要素も加味され洗練した都会的サウンドである。さらに完全なAORと少し違うのはアンダースの歌が時には囁くように、そして時には独特のスキャットを交えるなど様々な彩りがあるからだ。そして、曲が良い。中でも Just An Hour はG・デュークのアレンジで歌われるソフト・ジャズのバラードで、アンダースの歌とデュークのピアノソロが胸を打つ秀作。また、エリック・ベネとのデュエット曲 Forever はシンプルなメロディーなのに二人の見事な歌唱力で聴かせる1曲。そしてラストの Brasileira は軽めのジャズ・ボッサ調で、誰もが好きになるであろう美しい旋律と彼女の本領発揮というべきスキャットが堪能できる名曲だ。
実は、このアルバムを輸入盤で購入していたのだが、日本盤には1曲ボーナス・トラックが加わっていることを知り、新たにそちらも入手してしまった。その時の解説を見て、驚いた。アンダースはボサノバ・ユニットのBelezaベレーザのヴォーカリストだったのだ。そして私はベレーザのアルバムをすでに3枚ほど所有していた。それらも玉光堂パルスで試聴し気に入って購入したものである。そのベレーザとして録音されていた曲の中にWantingでカバーされているものが多数あることにも気がついた。(曲のクオリティはこのソロの方が数段上であるが!)まさかそのような関係があるとは全然気づかなかったわけだが、やはり好きなものは好きなのだ、ということでさらにアンダースに惚れ込み、他のソロ名義2枚のアルバムも手に入れることができた。アルゼンチン生まれのためスペイン語で歌っている曲もあり、どこかエキゾチックな不思議な魅力を持つアーティストである。最近は活動をしていないようで、アルバムのリリースがないのがとても残念だ。
*写真上列左より~Beleza: One Note Samba 2003, Beleza 1996, Seven Days 1996,
*写真下列左より~Solo: Wanting 1999, Last Tango in Rio 2004, Bossa Beleza 2008