イギリスのEU離脱決定が報道された今日、「英国をポンド単位で売る」という意味深のタイトルを持つ73年発表の本作は、改めて聞くと本当に良いアルバムだ。詳細は以前こちらで紹介したので省略するが、私がジェネシス好きになったきっかけのアルバムでもある。曲の良さ、演奏のカッコ良さ(特にシンセやギターのソロ・パート)、12弦ギターが活躍しナイロンクラシカル・ギターも聞かれることなど他のアルバム以上に特筆できる点が多い。Trespassに引き続き1曲目がイントロなしの歌で始まるというのも私にとっては印象的。その一方で、演奏パートが長くなり、ゲイブリエルの歌が明らかに少なくなったという側面もある。
私が最初に買ったのは74年に発売された日本フォノグラムROCK IMPACT’74の一枚。まだジャケットの裏面に曲目と歌詞、そして帯に解説が印刷されていたものだ。その後CD化され輸入盤を購入したが08年にニューミックスのSACD(ハイブリッド)+DVDが発売された時に処分してしまった。しかしオリジナル・ミックスは持っていたいと、95年発売の旧CD、同じく旧ミックスによる99年発売の紙ジャケ国内盤を入手。さらに再々プレスくらいのUK盤後発LP、そしてEMI 100 The Vinyl Collection のUKアナログ盤が手元にあるので、全部で6枚の「月影の騎士」が今私と共にある。
アナログ盤の中ではそのEMI 100の音が抜群に良い。97年になってリリースされたものだが、180グラム重量盤であることやダイレクト・メタル・マスター工法でプレスされたと表記があり、それによる効果だろうか。中に歌詞が印刷されているゲートフォールドのジャケットはオリジナルとは違う作りのようだが、分厚くなっていてとてもゴージャス。中古で千円台だったので、大変満足できる買い物であった。