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私はGENESIS LIVEを先に聴いていたので、The Musical Boxのスタジオ版が収録されているアルバムという認識だったが、そうした大曲以外のFor Absent Friends やHarlequinなどの短めの曲を聞いてとても気に入った。新メンバーとしてギターのスティーヴ・ハケットとドラムのフイル・コリンズが加入した初めてのアルバムだが、彼らの力量が加味され、また前作同様12弦ギターが活躍することで、ここでジェネシス・サウンドが完全に確立されたと感じる。
邦題「怪奇骨董音楽箱」はA面1曲目のThe Musical Boxからのネーミングだろう。ジャケットのイラストもこの曲がモチーフになっている。美しい旋律を持つ一方で内容は奇々怪々だ。それをゲイブリエルが表情豊かに歌い込んでいく。She’s a lady…の部分では声にエコーがかかっていないデッドな音処理がなされているのでとても生々しい。
先ほど記した二つの小曲はどちらも12弦ギターがフューチャーされ、メロディもハーモニーも美しい。もしかするとコリンズも一緒に歌っているのではないか、だから後年彼がメインヴォーカリストになった時にそれほど違和感がなかったのではなかろうか。なお、For Absent FriendsはMAGNA CARTAのアルバムSUPPER’S READY~GENESIS TRIBUTE~の中でリチャード・シンクレアがカバーしており、そちらもこの曲の良さを引き出している名演である。
さらにB面のHarold The Barrel は本当にジェネシスらしい重要曲だ。演劇的要素満載のこの曲でゲイブリエルは様々な役を演じ歌っている。前作のKnifeですでに感じられたこうしたシアトリカルな雰囲気はFoxtrotやSelling England By The Poundでも継承され、The Lamb Lies Down On Broadwayではとうとうアルバム全体を包み込むこととなる。