スティーヴン・ウィルソンの5枚目のソロアルバム。本ブルー・レイ盤にはアルバムのハイレゾ96/24ステレオ・ミックス、同じく96/24ステレオのインストルメンタル・ミックス、そして5.1サラウンド・ミックス音源が収録されている。さらにビデオ素材としてはメイキングのドキュメンタリーとSong of I、PariahのPVを見ることができる。前作のブルーレイにあったmp3等ファイルのダウンロード・コードは今回は付属していない。
さて、新作として11曲が収録されている。私は彼の全てのアルバムを聴いているわけではないが、今回もSWらしい曲が揃っていると思う。1曲目のTo The BoneからSW節全開で、後半のプログレ的な展開に早速のめり込むことができた。特に耳を引いたのはPermanatingで、とてもポップなアレンジの曲である。ビートルズ的な、いやビートルズの遺伝子を持つジェフ・リン的なサウンドでとても印象に残った。その他一度聴いただけで気に入った曲が多数あり、安心してSWワールドに没頭することができる。歌詞の内容を紐解きながら、繰り返し聴きたくなるアルバムだ。
ドキュメンタリーでは録音の様子が記録されている。スタジオと思われる場所には楽器や、アンプ、エフェクターなどが山積みになっており、自ら楽器を弾く者にとっては興味を引かれるはずである。ドラマーのJeremy Staceyがスネヤ類が置かれている部屋を見て、とんでもないビンテージが揃っている!と驚く場面もあった。小綺麗なスタジオではなく、機材が散乱している普通の家のような場所でこのような作品が生まれたと思うと、とても不思議な感じがする。宅録をしている者にとっては励みになるのではないだろうか。
なお、5.1サラウンドがブルーレイ購入の目的だったが、それほど派手な音の移動等は聞かれず、必要最低限の空間作りという印象である。まだ1度しか聴いていないので今後新たな発見があるかもしれない。
<追記>
CDの方も購入し、さらに何度も聴いた。最初は気がつかなかったが、ハーモニカの音が随所“攻撃的”な音処理で入っており、このアルバムの特色のひとつであろう。ロック調だが想定外のコード進行がプログレする People Who Eat Darkness, 静かで美しい Detonation, ミサのような合唱が効果的な Song of Unborn などは頭から離れなくなった。それ以外の曲も含め、全曲が素晴らしい。完全にヘビーローテーションになっている。