香が散る

本を読むのが大好き、少し前からノロノロですが走るのも好き
そんな、代わり映えのしない、でも大切な日々を書き綴っています

北海道へ

2012-03-11 09:16:54 | 本のこと
2007年4月から2008年3月まで、
朝日新聞北海道版に掲載された『北海道へ』の再編集、加筆、修正した文庫


大林宣彦(映画作家)、渡辺淳一(作家)、TAKURO(GLAリーダー)
神田山陽(講談師)、尾高忠明(札響音楽監督)、義家弘介(参議院議員)
池澤夏樹(作家胃)、永六輔(放送作家)、山田洋次(映画監督)
原田康子(作家)、山口昌男(文化人類学者)、品田雄吉(映画評論家)
12人の方の北海道への想いを綴ったエッセイ集です

新聞連載のときに、飛び飛びで読んでいた筈なのだけど
まとめて読むととても新鮮で、ちょっと笑えて、ちょっと怒ったりするのです

大林宣彦さんは、財政破綻した夕張への想いを綴っているのですが
「文明とは此処に無いものに憧れる力。文化は此処にあるものを尊う意思。
日本は文明とそれに伴う経済成長にのみ頼り過ぎ、文化の有り難さを忘れて来た。
今ぼくらは、文化のある暮らしこそを渇望している。
 夕張だって、映画祭だって、本来の日本人に戻る形で再生を目指せば。」

時がたって、いまこの時もこの言葉に、
そうだよ、ひとつづつやっていこうと思います

札幌出身の渡辺淳一さんは上京したときの思いを
「しかし北海道への思いは深く、銀座の並木通りにあった『北海道新聞社』の
看板にそっと手を触れ、「お前も頑張ってるんだ」とつぶやき、中央通にある
「サッポロビール」のネオンを見上げて安堵し、さらには「サッポロラーメン」
という言葉に郷愁を覚えた。

北海道を離れて生活をしたことのないわたしですが、なんかわかるんです
2007年といえば、雪印やミートホープの食品偽造問題で北海道の食品が
世間を騒がせた時で、この本にも何度も出てきましたが、
とても悔しい思いをした覚えがあります
雪印は吸収合併とかしながらも、いまも頑張っているので、
ついつい応援してしまいます
わたし、意外と郷土愛が強いのですよ
 
TAKUROさんは、行き詰まったときに原点の函館の自然に戻ると書いていました
池澤夏樹さんの、長万部(オシャマンベ)、倶知安(クッチャン)、別海(ベッカイ)、訓子府(クンネップ)
浦幌(ウラホロ)、興部(オコッペ)のようにアイヌ語からくる
難読ながら響きのいい地名が本当に好きだと書いています
札幌は「サッ・ポロ・ペッ」でアイヌ語で「乾いた大きな川」という説があり
北海道の地名は殆どが先住民のアイヌの言葉から
自然観と生活感が出会うところから生まれているのです。

短いエッセイ集ですが、自分が生まれて住んでいる北海道を
改めて好きだなと思える、素敵な本でした

再読といっても、何回読んだか分からないくらい読んでいる本なのですが
宮本輝さんの『月光の東』

14年位前の作品で、ひとりの女性をめぐって
その女性と一緒にいた後、自殺した夫の妻の日記と
その女性と中学時代に同級生だった男の語りで、物語が進むのです
米花という女性が、どのように生きてきたのか
全てのことが明らかになることはないのですが、
傷ついた妻の再生と、米花の壮絶で固い意思、女としての弱さ
何故か、この米花が好きで、何度も読んでしまう小説です

昨日は、チャリテーライブに行って来たりしましたが
長くなったので、また改めて・・・
1年目の今日、怖かったことを思い出すと
母と一緒に過ごそうと思います 行ってきます