世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

哀しき女優

2010年09月16日 | Weblog
心療内科デー。

今日の待ち時間は僅か1時間半。快挙である。着いた直後より、診察室からは「氷雨」(佳山明生)の歌詞のような内容の話し声&嗚咽が聞こえてきた。長丁場を予想…。
しかし、見渡せば待合室にはいつもの半分の患者さんしかいない。
受付の人曰く、今日は雨のせいで患者さんの足が遠退いたとのこと。なるほど。でも皆さん、薬のストックは大丈夫なのだろうか。私なんてパキシルの在庫をぎりぎりにしか所持していないので、心療内科デーを辞退するなんぞ想像もできない。今日も鐘と同時に会社をあとにし、雨の中ダッシュして、心療内科受付時間にぎりぎり間に合った。きっとデートでもこんなには急がないであろう。

今日もクマ医師はクマっぽかった。

最近は眠れないのでマイスリーとソラナックスのブレンドで意識を強制終了している旨を報告。
「何か原因は?」
と訊かれた。

原因は、
…無いようである。
あるようで無い…。

毎日の生活に支障をきたすような原因はたしかに消散したような気がする。原因を原因とみなさないようにする訓練・認知行動療法によるところが多い。もしくはパキシルによる感情の平均化。

原因…クマ医師に言うのも恥ずかしい漠然とした将来のことが、強いて言うならばそれに該当するのだろう。

将来のことは、あまり考えないようにしている。
考えてもどうしようもないもの。

でも時々、抗えないほどの強引な力をもって、不安の種がにょきにょきと頭をもたげる。私の中で。
寝床で横になる。
目の前を覆う閨に自身に内在する不安の影を投影することの苦しさから逃れるべく、睡眠導入剤と抗不安薬を常用するようになってしまったなんて、言えない。
目の前で私の目を覗き込むようにして問いかけるクマのようなクマ医師には、とてもじゃないが言えない。
言えないよ(郷ひろみ)。

言うべきなのかな。
でも、クマ医師の前では良い患者を演じてしまう。
女優並みに。
来年の日本アカデミー賞最優秀女優賞は松たか子や深津絵里を押し退けて私が受賞するんじゃなかろうか。


にわか女優は、雨の中、薬袋を抱えて帰宅するのであった。

処方変更なし
パキシル、マイスリー、パリエット、防風通聖散

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