映画「悪人」を観た。
予想以上に良かった。
以下、ネタバレあり。
祐一は親の愛を知らず、祖父母に育てられ、友人も恋人もなかった。
長崎の港町で土木作業員をしながら祖父母の介護までしている。
髪は根元が黒くなった金髪。
唯一の趣味は車で、愛車はスカイラインGT-R(R33型)。
その祐一とケータイの出会い系サイトで知り合ったのが、本気で出会いを求める独身の光代(佐賀の紳士服量販店勤務)。
小学校から高校、そして勤務先まで国道沿い。
二人は佐賀駅で待ち合わせをし、出会ったその日にホテルへ行く。
刹那的で激しい情交。
祐一は光代に告白する。
自分が数日前、ある女性を殺してしまったことを。
自首しかける祐一を失いたくない光代は彼を引き止め、そして二人だけの逃避行を始める。
愚かしいといえばそうだが、でも誰が彼らを止められようか。
出会いは突然にやってくる。
それに流されても仕方が無いよね?と思わせるほど、キャストの演技力が高かった。
そして風景も。
二人が隠れるあの灯台「大瀬崎灯台」は良かった。
海原が広がる灯台は、「もうこの先、逃げられる場所は無い」という切羽詰った感じの心象とも取れるし、また「広がり」という逆のイメージにも取れる。
本作品のテーマは「殺人という悪を犯した祐一は、本当に悪人だったのか」であるが、観てから3時間経った今でもよく分からない。
なんとなくわかるのは、どんな犯罪にもその時の状況や、育った環境などによって培われた人格、そして自暴自棄の感情などという「理由」があるのではないか、と。
強いて言えば、人間一人一人にある「悪意」が「悪」なのではないか、と。
祐一が殺めてしまった女性は典型的な「スイーツ(笑)」で、私が一番嫌いなタイプの女子である。同情の余地は全くない。出会い系サイトで知り合った男性から金を巻き上げて性行為をするという不純な女で、合コンで知り合った裕福な大学生には猛烈アタック(ウザいほど)をするくせに、出会い系サイトで知り合った祐一には冷たく当たる。祐一の目の前で約束を破棄し、他の男の車に乗り込み、ウザがられて山道で蹴り捨てられる。車で後を着けてきた祐一が心配するとプライドが許せないのか、ひどく逆上。「拉致られたって、レイプされたって言うてやる!」と叫ぶ女の首を祐一は絞めてしまう。このシーンで「ざまあ。やっちまええ!!!!」と思ってしまったのは、私の中に潜む「悪」なんだろう、きっと。
あんな女子でも父親にとっては可愛い娘。
父親役の柄本明、素晴らしかった。
「あんた、大切な人はおるね?」の台詞がこの映画で一番印象的だった。
深津絵里は本作品で第34回モントリオール世界映画祭で最優秀主演女優賞を受賞した。
全てを包み込むような包容力を最大限に表現していた。また、いじらしい演技が涙を誘った。
映画「(ハル)」(1996年)でパソコン通信(懐かしい!)を通し、恋愛感情へとシフトしていく主人公を演じた深津絵里。その彼女が本作品では出会い系サイトで知り合った男性と逃避行をする。逃亡中の彼女の上着は赤いジャケット。「(ハル)」の中でも彼女は赤いワンピースを着ていた。ついあの作品を思い出しながら観てしまった。
あれから14年も経過するのに全然老けていなくて驚いた。
私に心象を理解する力量がないのか、余計なシーンがいくばかりかあったように思う。
しかし、色々と考えさせられる映画だった。
「おくりびと」の時もそうだったのだが、「この映画の音楽、いい!」と思うと大抵は久石譲で、今回もそうだった。
映画 『悪人』 予告編 プロモ映像
予想以上に良かった。
以下、ネタバレあり。
祐一は親の愛を知らず、祖父母に育てられ、友人も恋人もなかった。
長崎の港町で土木作業員をしながら祖父母の介護までしている。
髪は根元が黒くなった金髪。
唯一の趣味は車で、愛車はスカイラインGT-R(R33型)。
その祐一とケータイの出会い系サイトで知り合ったのが、本気で出会いを求める独身の光代(佐賀の紳士服量販店勤務)。
小学校から高校、そして勤務先まで国道沿い。
二人は佐賀駅で待ち合わせをし、出会ったその日にホテルへ行く。
刹那的で激しい情交。
祐一は光代に告白する。
自分が数日前、ある女性を殺してしまったことを。
自首しかける祐一を失いたくない光代は彼を引き止め、そして二人だけの逃避行を始める。
愚かしいといえばそうだが、でも誰が彼らを止められようか。
出会いは突然にやってくる。
それに流されても仕方が無いよね?と思わせるほど、キャストの演技力が高かった。
そして風景も。
二人が隠れるあの灯台「大瀬崎灯台」は良かった。
海原が広がる灯台は、「もうこの先、逃げられる場所は無い」という切羽詰った感じの心象とも取れるし、また「広がり」という逆のイメージにも取れる。
本作品のテーマは「殺人という悪を犯した祐一は、本当に悪人だったのか」であるが、観てから3時間経った今でもよく分からない。
なんとなくわかるのは、どんな犯罪にもその時の状況や、育った環境などによって培われた人格、そして自暴自棄の感情などという「理由」があるのではないか、と。
強いて言えば、人間一人一人にある「悪意」が「悪」なのではないか、と。
祐一が殺めてしまった女性は典型的な「スイーツ(笑)」で、私が一番嫌いなタイプの女子である。同情の余地は全くない。出会い系サイトで知り合った男性から金を巻き上げて性行為をするという不純な女で、合コンで知り合った裕福な大学生には猛烈アタック(ウザいほど)をするくせに、出会い系サイトで知り合った祐一には冷たく当たる。祐一の目の前で約束を破棄し、他の男の車に乗り込み、ウザがられて山道で蹴り捨てられる。車で後を着けてきた祐一が心配するとプライドが許せないのか、ひどく逆上。「拉致られたって、レイプされたって言うてやる!」と叫ぶ女の首を祐一は絞めてしまう。このシーンで「ざまあ。やっちまええ!!!!」と思ってしまったのは、私の中に潜む「悪」なんだろう、きっと。
あんな女子でも父親にとっては可愛い娘。
父親役の柄本明、素晴らしかった。
「あんた、大切な人はおるね?」の台詞がこの映画で一番印象的だった。
深津絵里は本作品で第34回モントリオール世界映画祭で最優秀主演女優賞を受賞した。
全てを包み込むような包容力を最大限に表現していた。また、いじらしい演技が涙を誘った。
映画「(ハル)」(1996年)でパソコン通信(懐かしい!)を通し、恋愛感情へとシフトしていく主人公を演じた深津絵里。その彼女が本作品では出会い系サイトで知り合った男性と逃避行をする。逃亡中の彼女の上着は赤いジャケット。「(ハル)」の中でも彼女は赤いワンピースを着ていた。ついあの作品を思い出しながら観てしまった。
あれから14年も経過するのに全然老けていなくて驚いた。
私に心象を理解する力量がないのか、余計なシーンがいくばかりかあったように思う。
しかし、色々と考えさせられる映画だった。
「おくりびと」の時もそうだったのだが、「この映画の音楽、いい!」と思うと大抵は久石譲で、今回もそうだった。
映画 『悪人』 予告編 プロモ映像