世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

美しくあろうとするのは自分の為

2014年05月20日 | Weblog
もう何度読み直したかも定かではない嶽本野ばら先生の「カフェー小品集」
そのなかの「モンチッチの誇り」・・・ラインマーカーを引きたくなる部分がある。

モデルの「君」は、ある日「僕」の許を去っていく。やがて「君」が「僕」に寄越した一枚の写真。喫茶店・光の前に佇む「君」は、モデル時代の姿を捨て、モンチッチのような姿(太った上、髪型を変え、赤いオーバーオールを着用)になっているではないか。いても立ってもいられなくなり、「君」に会うべく小樽に行く「僕」。しかし、なかなか見つけられない。ようやく小樽の教会で再会したときの「君」の台詞。



「美しくあろうとするのは自分の為。私は人の為に美しく装うとしたことがない。それなのに貴方の前に立つ時、私は私の為にではなく、あなたの為に美しく、可愛くあろうとしてしまう。こんなに弛んだ、ふやけた精神を持っていては駄目なの」


これ、素敵。この繊細なんだけどでも武士のようなブレない精神こそ、嶽本先生の真骨頂ではないか。
自分もずっとこの「君」のようなことを考えていた。それを野ばら先生がうまく表現してくれたなという嬉しさ。すっきりした。

毎朝化粧をするわけだが、別に綺麗に見られたいからするのではない。自分が心地よくいられる為にマスカラを塗っている。自己満足の世界だ。
また、服装も然りである。「人事部好みの服」を意識してスーツを着用しているのではなく、幼きころより自身にあったOL像がたまたまスーツを着用していて、それが成長の過程で憧憬と重なって、その結果着用しているだけである。自分のミクロな好みと取巻く世間が求めてくる欲求がうまく合わさっただけで、別に人事部に迎合しているわけではない。

「美しくあろうとするのは自分の為」いい文章を知った。
私、36歳。これからもこのポリシーで行きたい。


小樽の「光」には一昨年の夏休みに行った。
午前中の静けさがレトロな店内に広がっていて居心地が良かった。






その後、北一ヴェネツィア美術館でコスプレを堪能したんである。

「美しくあろうとするのは自分の為。私は人の為に美しく装うとしたことがない。」という言葉を胸に。





今年も暑くなりはじめた。
夏の旅に思いを馳せる。