最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

弁護士が利益相反で受任、相手方弁護士は解任要求できる

2017-12-31 09:00:45 | 日記
平成29(許)6  訴訟代理人の訴訟行為排除決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
平成29年10月5日  最高裁判所第一小法廷  決定  破棄自判  福岡高等裁判所
1 弁護士法25条1号に違反する訴訟行為及び同号に違反して訴訟代理人となった弁護士から委任を受けた訴訟復代理人の訴訟行為について,相手方である当事者は,裁判所に対し,同号に違反することを理由として,上記各訴訟行為を排除する旨の裁判を求める申立権を有する。
2 弁護士法25条1号に違反することを理由として訴訟行為を排除する旨の決定に対し,自らの訴訟代理人又は訴訟復代理人の訴訟行為を排除するものとされた当事者は,民訴法25条5項の類推適用により,即時抗告をすることができる。
3 弁護士法25条1号に違反することを理由として訴訟行為を排除する旨の決定に対し,当該決定において訴訟行為を排除するものとされた訴訟代理人又は訴訟復代理人は,自らを抗告人とする即時抗告をすることはできない。
4 破産者Aの破産管財人Xを原告とする訴訟において,Aの依頼を承諾したことのある弁護士Bが被告Yの訴訟代理人として訴訟行為を行うことは,次の(1)及び(2)の事実関係の下では,弁護士法25条1号に違反する。
 (1) Aは,破産手続開始の決定を受ける前に,Bとの間で,再生手続開始の申立て,再生計画案の作成提出等についての委任契約を締結していた。
 (2) 上記訴訟におけるXの主たる請求の内容は,BがAから上記の委任を受けていた間に発生したとされるAのYに対する債権を行使して金員の支払を求めるもの及び上記の間に行われたAのYに対する送金等に関して否認権を行使して金員の支払を求めるものである。


今回はかなり複雑そうです。

(1) 有限会社竹松運輸,竹松配送サービス株式会社及び竹松エキスプレス株式会社(以下,併せて「竹松三社」という。)は,それぞれ,平成26年4月3日,弁護士Y2及び弁護士Y3との間で,再生手続開始の申立て,再生計画案の作成提出等についての委任契約(以下「本件各委任契約」という。)を締結した。

民事再生法なのでしょうか、取りまとめ役として弁護士Y2とY3に依頼しました。
(2) 竹松運輸は,平成26年4月24日に裁判所に申請し、相手方洛友商事をスポンサーとして平成26年5月16日,再生手続開始の決定がなされました。が、洛友商事は,同年6月下旬,竹松運輸に対する支援を打ち切った。竹松運輸は,同年7月11日,再生手続廃止の決定を受け,同決定は同年8月6日の経過により確定しました。
スポンサーとしては「聞いてないよ」と言いたくなるような事案が沢山出てきたのでしょう。これじゃ一緒にやっていけないとスポンサーを降りて、再生手続きが終了になりました。
(3) 竹松運輸は,平成26年8月7日,破産手続開始の決定を受け,抗告人X3が破産管財人に選任されました。
まあ、再生手続きをお願いした弁護士が、再生できずスポンサーに切られたとなれば、そりゃ弁護士を変えますよね。
(4) 抗告人らは,それぞれ,平成27年8月から平成28年2月にかけて,相手方洛友商事を被告とする4件の訴訟を長崎地方裁判所に提起した。
倒産した運送会社と新たに選任された弁護士は、この商事会社にスポンサーとしての役目を果たせと訴えたようです。
(5) 相手方Y2及び同Y3は,甲事件,乙事件,丙事件及び丁事件について,相手方洛友商事からそれぞれ委任を受けて訴訟代理人となった。相手方Y1は,甲事件,乙事件及び丙事件について,相手方Y2から委任を受けて訴訟復代理人となり,丁事件について,相手方洛友商事から委任を受けて訴訟代理人となった。
ちょっと待ってください、これって利益相反にならないのでしょうか?
(6) 抗告人らは,平成28年8月1日,長崎地方裁判所に対し,本件訴訟において相手方Y2,同Y3及び同Y1が訴訟行為をすることが弁護士法25条1号に違反することを理由として,上記相手方3名の各訴訟行為の排除を求める申立て(以下「本件申立て」という。)をした。
素人の私が思ったくらいですから、やはりプロはおかしいと思ったのでしょうね。

ところが原審は「相手方の・・・依頼を承諾した事件」に当たらないとして,原々決定を取り消した。また,原審は,本件申立てを裁判所の職権発動を促すものと解し,本件申立てを却下しなかった
解せませんね、原審はどういう理屈で利益相反ではないと思ったのでしょうか。判決文にはその辺はきちんと書かれていないので分かりません。文脈から想像すると、利益相反かどうかよりも、弁護士として相手の弁護士が違反しているからと言って解任を裁判所に求めることができないとしたのでしょう。

最高裁は職権で、この点を判断することにしました。
弁護士法25条1号,同号に違反して訴訟代理人となった弁護士から委任を受けた訴訟復代理人の訴訟行為についても,相手方である当事者は,同様に,訴訟復代理人の選任が同号に違反することを理由として,これに異議を述べ,裁判所に対しその行為の排除を求めることができるものと解される。そして,上記のとおり,同号が当事者の利益の保護をも目的としていることからすると,相手方である当事者は,裁判所に対し,同号に違反することを理由として,上記各訴訟行為を排除する旨の裁判を求める申立権を有するものと解すべきである。

当然の判断ですね。本来であれば弁護士会で懲戒請求の対象ですが、弁護士会は弁護士法の規定通りの目的というよりは、政治運動をしたり単なる互助会と堕落しているので、機能しなかったのでしょう。

弁護士法25条1号に違反することを理由として訴訟行為を排除する旨の決定に対しては,自らの訴訟代理人又は訴訟復代理人の訴訟行為を排除するものとされた当事者は,民訴法25条5項の類推適用により,即時抗告をすることができるものと解するのが相当である。
上記決定に対しては,上記訴訟代理人又は訴訟復代理人は,自らを抗告人とする即時抗告をすることはできないものと解するのが相当である。


結論
そうすると,本件訴訟は,相手方Y2及び同Y3にとって,同号により職務を行ってはならないとされる「相手方の・・・依頼を承諾した事件」に当たるというべきである。
以上によれば,相手方Y2及び同Y3が本件訴訟において相手方洛友商事の訴訟代理人として訴訟行為を行うことは,同号に違反するものというべきである。


第一小法廷
裁判長裁判官 山口 厚
裁判官 池上政幸
裁判官 大谷直人
裁判官 小池 裕
裁判官 木澤克之

私なりに要約すると、利益相反関係なのに代理人として就任した。しかも、かなり昔の事件ではなく直近の話で一連の裁判にかかわる話なので、忘れてたなんてことは絶対言えない状態にあったはずです。にもかかわらず、敵側の弁護士に就任して実際にやったかどうかまでは分かりませんが、守秘義務にかかわる情報を敵側に有利に使った可能性があるのです。
はっきり言って、これは弁護士の教科書、利益相反の1ページ目に書かれていそうな最も分かり易いやってはいけない事例みたいなものです。これを指摘され逆ギレして最高裁まで粘ったようです。この弁護士の名前が晒されてないというのは非常に怖いです。弁護士会できちんと処分したのでしょうか。
当然すぎる裁判結果でした。
ちなみにこのサイトによれば、利益相反は、戒告で済んでいるようです。その一方で、「女性事務員のスカートの中を無断で撮影」は6ヶ月業務停止だそうです。何かおかしな基準ですよね。

変な弁護士に依頼するとこういうレベルの事に振り回され、裁判を続ける金がないと原審みたいなアホ極まりない判断に従わざるを得ないのです。
弁護人選出の際は、しっかり選びましょう。