令和2(受)205 報酬等請求本訴,不当利得返還請求反訴,民訴法260条2項の申立て事件
令和3年6月29日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻 東京高等裁判所
無免許者が宅地建物取引業を営むために宅地建物取引業者からその名義を借り,当該名義を借りてされた取引による利益を両者で分配する旨の合意は,公序良俗に反し,無効である
この事件は結構重要だと思うのですが、一般の新聞社は報道していません。司法書士グループのページで解説していますが、長いので直リン先を見てください。
無免許者が宅建業者から名義を借りて不動産取引を行ない、利益を両者で分配する合意は無効【最高裁令和3年6月29日判決】が不動産業界に与える激震
事実認定を見ていきます。
(1)被上告人は,平成28年10月頃,Aと共に,不動産取引に係る事業を行う旨の計画を立てた。
上記計画においては,被上告人は,自らを専任の宅地建物取引士とする会社での勤務を続けつつ,その人脈等を活用して,新たに設立する会社において不動産取引を継続的に行うことが予定されていた。
これそもそも利益相反ですね。勤務先の会社にしっかり了解を取っていたのでしょうか。
(2)宅地建物取引士の資格を有するyが上記計画に加わり,同人を新たに設立する会社の専任の宅地建物取引士とすることになった。
(3)yは,平成29年1月,上記計画に従って上告人を設立してその代表取締役に就任し,上告人は,同年2月,yを専任の宅地建物取引士として宅地建物取引業の免許を受けた。
最初から免許取れよって話ですね。
(4)被上告人は,平成29年2月頃までに,不動産仲介業者である株式会社Bから,C株式会社の所有する土地建物の紹介を受けた。被上告人は,上記計画に基づく事業の一環として本件不動産に係る取引を行うことにしたが,yに対する不信感から,本件不動産に係る取引に限って上告人の名義を使用し,その後は上告人及びyを上記事業に関与させないことにしようと考え,Aを通じてyと協議した。その結果,同年3月7日,被上告人と上告人との間で,要旨次のとおりの合意が成立した。
仲間割れですか。
(5)本件不動産については,平成29年3月,Cを売主,上告人を買主とし,代金を1億3000万円とする売買契約が締結され,同年4月,上告人を売主,Dを買主とし,代金を1億6200万円とする売買契約が締結された。これらの売買契約については,被上告人が売却先の選定,Bとのやり取り,契約書案及び重要事項説明書案の作成等を行った。
(6)被上告人は,平成29年4月26日,上告人に対し,本件不動産の売却代金からその購入代金,費用等及び名義貸し料を控除した残額が2319万円余りとなるとして,同売却代金の送金を受け次第,本件合意に基づき同額を支払うよう求めた。
(7)上告人は,平成29年4月27日,上記売却代金の送金を受けたが,自らの取り分が300万円とされたことなどに納得していないとして上記の求めに応じず,上記計画に基づく事業への関与の継続を希望するなどしたものの,同年5月,被上告人に対し,本件合意に基づく支払の一部として1000万円を支払った。
これまでに10回引越しした経験と不動産を購入した経験からいうと、不動産屋は正直いってヤクザな商売だと思っています。こんなに簡単た試験でバンバン免許を与え、やらずふんだくりの商売はあり得ません。
例えば、実際に経験した例では賃貸に出した時、契約では月初めの1日からの入居としていたのに、20日以上前の前月10日から入居させていた。それについて何の連絡もなかった。
鍵の調子が悪いということで、不動産屋が鍵を買えたので請求書が来た。後で確認に行ったら、以前のカギで空いた。要するに架空工事請求だった。
これに始まり、工事にかなりの金額の上乗せを請求するのはざら。
借りた経験からしても、一度仲介したら一切応じず、10年住んだ部屋なのに不動産屋と家主がグルになって30万円の壁紙全取り換えを請求されたことがあります。もちろん国土交通省の指針が出た後の話です。
最終的には、各県の不動産の管理部門にクレームを入れて黙らせましたが、こういう雲助が多いのは確かです。おかしい要求があった場合は、こちら「宅地建物取引業免許(知事免許)に関する窓口一覧」を参考に悪質不動産屋を叩き潰して下さい。決して泣き寝入りしないでください。
本題に戻すと、こういう雲助が入らないように資格試験を用意しているにもかかわらず、先の司法書士グループの記事によれば「激震が走る」レベルで相変わらず業界としては倫理観が弱いようです。
最高裁は
(1)宅地建物取引業法は免許を受けない者(以下「無免許者」という。)が宅地建物取引業を営むことを禁じた上で(12条1項),宅建業者が自己の名義をもって他人に宅地建物取引業を営ませることを禁止しており(13条1項),これらの違反について刑事罰を定めている(79条2号,3号)。・・・宅建業者が無免許者にその名義を貸し,無免許者が当該名義を用いて宅地建物取引業を営む行為は,同法12条1項及び13条1項に違反し,同法の採用する免許制度を潜脱するものであって,反社会性の強いものというべきである。そうすると,無免許者が宅地建物取引業を営むために宅建業者との間でするその名義を借りる旨の合意は,同法12条1項及び13条1項の趣旨に反し,公序良俗に反するものであり,・・・無免許者が宅地建物取引業を営むために宅建業者からその名義を借り,当該名義を借りてされた取引による利益を両者で分配する旨の合意は,同法12条1項及び13条1項の趣旨に反するものとして,公序良俗に反し,無効であるというべきである。
(2)前記事実関係等によれば,本件合意は,無免許者である被上告人が宅建業者である上告人からその名義を借りて本件不動産に係る取引を行い,これによる利益を被上告人と上告人で分配する旨を含むものである。そして,被上告人は本件合意の前後を通じて宅地建物取引業を営むことを計画していたことがうかがわれる。これらの事情によれば,本件合意は上記計画の一環としてされたものとして宅地建物取引業法12条1項及び13条1項の趣旨に反するものである疑いがある。
疑いがあるレベルではなく、真っ黒でしょ。
第三小法廷
裁判官全員一致
裁判長裁判官 戸倉三郎
裁判官 宮崎裕子
裁判官 宇賀克也
裁判官 林 道晴
当然判決です。名義貸しした人も免許取り消しぐらいのことはあってしかるべきことだと思いますよ。裁判官は官舎を転々とするから、こういう目に合わないでしょうが、もっと宅建業者に厳しい判断を出してもらいたいものです。
裁判とはずれますが、宅建業者は不正な取引、雑な仕事をしても通常は人生に2回以上お世話になることはない人の方が多いでしょう。奴らの常識は世間の非常識というようなことを消費者に押しつけ、あるいはだましに近いことをやっても泣き寝入りなことがあります。特に心理的貸し物件の墓場跡地や沼地に建設ガラを不法投棄して「●●台団地」とあたかも高台にあるかのような嘘の名前を付けたり、以前からがけ崩れの危険性が言われていたあの有名なH島県A南区の不動産を売っていたような悪徳不動産屋を市場買った排除するような法律が必要です。
似たような案件として、飲食店の衛生管理者・調理師免許も問題ですよね。あれも、もっとしっかり取締ったほうがいいと思います。
令和3年6月29日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻 東京高等裁判所
無免許者が宅地建物取引業を営むために宅地建物取引業者からその名義を借り,当該名義を借りてされた取引による利益を両者で分配する旨の合意は,公序良俗に反し,無効である
この事件は結構重要だと思うのですが、一般の新聞社は報道していません。司法書士グループのページで解説していますが、長いので直リン先を見てください。
無免許者が宅建業者から名義を借りて不動産取引を行ない、利益を両者で分配する合意は無効【最高裁令和3年6月29日判決】が不動産業界に与える激震
事実認定を見ていきます。
(1)被上告人は,平成28年10月頃,Aと共に,不動産取引に係る事業を行う旨の計画を立てた。
上記計画においては,被上告人は,自らを専任の宅地建物取引士とする会社での勤務を続けつつ,その人脈等を活用して,新たに設立する会社において不動産取引を継続的に行うことが予定されていた。
これそもそも利益相反ですね。勤務先の会社にしっかり了解を取っていたのでしょうか。
(2)宅地建物取引士の資格を有するyが上記計画に加わり,同人を新たに設立する会社の専任の宅地建物取引士とすることになった。
(3)yは,平成29年1月,上記計画に従って上告人を設立してその代表取締役に就任し,上告人は,同年2月,yを専任の宅地建物取引士として宅地建物取引業の免許を受けた。
最初から免許取れよって話ですね。
(4)被上告人は,平成29年2月頃までに,不動産仲介業者である株式会社Bから,C株式会社の所有する土地建物の紹介を受けた。被上告人は,上記計画に基づく事業の一環として本件不動産に係る取引を行うことにしたが,yに対する不信感から,本件不動産に係る取引に限って上告人の名義を使用し,その後は上告人及びyを上記事業に関与させないことにしようと考え,Aを通じてyと協議した。その結果,同年3月7日,被上告人と上告人との間で,要旨次のとおりの合意が成立した。
仲間割れですか。
(5)本件不動産については,平成29年3月,Cを売主,上告人を買主とし,代金を1億3000万円とする売買契約が締結され,同年4月,上告人を売主,Dを買主とし,代金を1億6200万円とする売買契約が締結された。これらの売買契約については,被上告人が売却先の選定,Bとのやり取り,契約書案及び重要事項説明書案の作成等を行った。
(6)被上告人は,平成29年4月26日,上告人に対し,本件不動産の売却代金からその購入代金,費用等及び名義貸し料を控除した残額が2319万円余りとなるとして,同売却代金の送金を受け次第,本件合意に基づき同額を支払うよう求めた。
(7)上告人は,平成29年4月27日,上記売却代金の送金を受けたが,自らの取り分が300万円とされたことなどに納得していないとして上記の求めに応じず,上記計画に基づく事業への関与の継続を希望するなどしたものの,同年5月,被上告人に対し,本件合意に基づく支払の一部として1000万円を支払った。
これまでに10回引越しした経験と不動産を購入した経験からいうと、不動産屋は正直いってヤクザな商売だと思っています。こんなに簡単た試験でバンバン免許を与え、やらずふんだくりの商売はあり得ません。
例えば、実際に経験した例では賃貸に出した時、契約では月初めの1日からの入居としていたのに、20日以上前の前月10日から入居させていた。それについて何の連絡もなかった。
鍵の調子が悪いということで、不動産屋が鍵を買えたので請求書が来た。後で確認に行ったら、以前のカギで空いた。要するに架空工事請求だった。
これに始まり、工事にかなりの金額の上乗せを請求するのはざら。
借りた経験からしても、一度仲介したら一切応じず、10年住んだ部屋なのに不動産屋と家主がグルになって30万円の壁紙全取り換えを請求されたことがあります。もちろん国土交通省の指針が出た後の話です。
最終的には、各県の不動産の管理部門にクレームを入れて黙らせましたが、こういう雲助が多いのは確かです。おかしい要求があった場合は、こちら「宅地建物取引業免許(知事免許)に関する窓口一覧」を参考に悪質不動産屋を叩き潰して下さい。決して泣き寝入りしないでください。
本題に戻すと、こういう雲助が入らないように資格試験を用意しているにもかかわらず、先の司法書士グループの記事によれば「激震が走る」レベルで相変わらず業界としては倫理観が弱いようです。
最高裁は
(1)宅地建物取引業法は免許を受けない者(以下「無免許者」という。)が宅地建物取引業を営むことを禁じた上で(12条1項),宅建業者が自己の名義をもって他人に宅地建物取引業を営ませることを禁止しており(13条1項),これらの違反について刑事罰を定めている(79条2号,3号)。・・・宅建業者が無免許者にその名義を貸し,無免許者が当該名義を用いて宅地建物取引業を営む行為は,同法12条1項及び13条1項に違反し,同法の採用する免許制度を潜脱するものであって,反社会性の強いものというべきである。そうすると,無免許者が宅地建物取引業を営むために宅建業者との間でするその名義を借りる旨の合意は,同法12条1項及び13条1項の趣旨に反し,公序良俗に反するものであり,・・・無免許者が宅地建物取引業を営むために宅建業者からその名義を借り,当該名義を借りてされた取引による利益を両者で分配する旨の合意は,同法12条1項及び13条1項の趣旨に反するものとして,公序良俗に反し,無効であるというべきである。
(2)前記事実関係等によれば,本件合意は,無免許者である被上告人が宅建業者である上告人からその名義を借りて本件不動産に係る取引を行い,これによる利益を被上告人と上告人で分配する旨を含むものである。そして,被上告人は本件合意の前後を通じて宅地建物取引業を営むことを計画していたことがうかがわれる。これらの事情によれば,本件合意は上記計画の一環としてされたものとして宅地建物取引業法12条1項及び13条1項の趣旨に反するものである疑いがある。
疑いがあるレベルではなく、真っ黒でしょ。
第三小法廷
裁判官全員一致
裁判長裁判官 戸倉三郎
裁判官 宮崎裕子
裁判官 宇賀克也
裁判官 林 道晴
当然判決です。名義貸しした人も免許取り消しぐらいのことはあってしかるべきことだと思いますよ。裁判官は官舎を転々とするから、こういう目に合わないでしょうが、もっと宅建業者に厳しい判断を出してもらいたいものです。
裁判とはずれますが、宅建業者は不正な取引、雑な仕事をしても通常は人生に2回以上お世話になることはない人の方が多いでしょう。奴らの常識は世間の非常識というようなことを消費者に押しつけ、あるいはだましに近いことをやっても泣き寝入りなことがあります。特に心理的貸し物件の墓場跡地や沼地に建設ガラを不法投棄して「●●台団地」とあたかも高台にあるかのような嘘の名前を付けたり、以前からがけ崩れの危険性が言われていたあの有名なH島県A南区の不動産を売っていたような悪徳不動産屋を市場買った排除するような法律が必要です。
似たような案件として、飲食店の衛生管理者・調理師免許も問題ですよね。あれも、もっとしっかり取締ったほうがいいと思います。