最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

警察官の証拠捏造に近い捜査での証拠は無効

2021-09-25 09:29:32 | 日記
令和2(あ)1763  覚醒剤取締法違反,大麻取締法違反,医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律違反被告事件
令和3年7月30日  最高裁判所第三小法廷  判決  破棄差戻  東京高等裁判所
 違法収集証拠として証拠能力を否定した第1審の訴訟手続に法令違反があるとした原判決に,法令の解釈適用を誤った違法があるとされた事例

結構重要な裁判だと思うのですが、朝日新聞しか記事が残っていません。
以下、朝日新聞の報道です
警察官が覚醒剤の空袋を捜査対象者の車に仕込んだ疑いが指摘される薬物事件の上告審判決で、最高裁第三小法廷(林道晴裁判長)は7月30日、違法捜査の有無をはっきりさせずに関連証拠を採用した二審・東京高裁判決を破棄し、高裁に審理を差し戻した。裁判官5人の全員一致の意見。・・・一審・東京地裁は、警察官が自分のズボンに手を入れてから男性被告(57)の車の運転席ドアの内ポケットに手を伸ばした車載カメラの映像などから、空袋を仕込んだ疑いを認定。これを根拠にした令状取得手続きには「重大な違法」があるとして関連証拠を採用せず、覚醒剤の所持や使用など一部を無罪とした。


警察官が証拠捏造ってことですかね。昭和の事件じゃないんだから。事実認定から見ていきます。

(1)平成30年3月30日午後4時41分頃,警察官は,職務質問を行うため,自動車(以下「本件車両」という。)を運転中の被告人に対して停止を求め,本件車両は道路左端(以下,同所及びその付近を「本件現場」という。)に停止した。警察官は,本件車両の運転席ドアを開け,被告人に対し,運転免許証の提示に応じるよう説得した。
警察官は,同日午後4時48分頃,本件車両の運転席ドアポケットに,中身の入っていないチャック付きビニール袋の束(以下「本件ビニール袋」という。)がある旨を被告人に告げた。
その後,運転免許証の提示に応じた被告人に覚醒剤取締法違反の犯罪歴が多数あることなどが判明し,被告人が任意の採尿や所持品検査に応じなかったことから,警察官は,同日午後5時8分頃,令状請求の準備に取り掛かることとした。


邪推ですが、これは職質じゃなくて麻薬取締官に監視されてましたね。

(2)警察官は,同日午後7時頃,覚醒剤の所持及び自己使用の各被疑事実により,本件車両等に対する捜索差押許可状及び被告人の尿を採取するための捜索差押許可状(以下「強制採尿令状」という。)を請求した。その際の疎明資料には,本件車両の運転席ドアポケットに本件ビニール袋が入っていることを確認した旨記載された取扱状況報告書,同ドアポケットに本件ビニール袋がある状況を撮影した写真が添付された写真撮影報告書が含まれていた。警察官は,同日午後11時4分頃,上記各令状の発付を受け,本件現場に向かった。

警察官に対して帰りたい旨の意思やそのために本件車両のドアや窓を閉めさせてほしいことを伝え,その後,弁護士の助言を求めて電話をかけたり,帰りたい旨述べて本件現場を立ち去ろうとしたりしたが,警察官は,被告人を取り囲み,被告人の動きに応じてその身体に接触するなどして立ち去りを制止した。

これは明らかにやり過ぎです。警察官職務執行法2条に明らかに違反しています。が、一般人は知りませんからそれを受け入れている傾向があります。拒否していいんですよ、たまにyoutube動画でやり過ぎ警察官がupされていますが、職務違反なので名前も晒してOKです。

(3)警察官は,同日午後11時25分頃,本件車両等に対する捜索差押許可状に基づき捜索差押えに着手し,覚醒剤を発見して被告人を覚醒剤所持の現行犯人として逮捕し,逮捕に伴う捜索差押えも実施し,これらの手続により本件車両から発見した本件薬物を差し押さえた。
被告人は,警察署に引致され,同月31日午前4時42分頃まで断続的に取調べを受ける中で,警察官から,強制採尿令状が出ている旨を告げられて,同日午前4時48分頃,自ら採取した尿を
任意提出した

罠に嵌りましたね。任意であればまだ裁判で刑が軽くなるだろうということでの判断だったのでしょうが、違法捜査による証拠は証拠能力は無効にされます。

ここで事実認定が争われました。

証拠物の押収等の手続に令状主義の精神を没却するような重大な違法があり,これを証拠として許容することが,将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合においては,その証拠能力は否定されるものと解すべきである(最高裁昭和51年(あ)第865号同53年9月7日第一小法廷判決・刑集32巻6号1672頁参照)。
前記1の事実経過の下においては,本件各証拠の証拠能力を判断するためには,本件事実の存否を確定し,これを前提に本件各証拠の収集手続に重大な違法があるかどうかを判断する必要があるというべきである。しかるに,原判決は,本件ビニール袋がもともと本件車両内にはなかった疑いは残るとしつつ,その疑いがそれほど濃厚ではないなどと判示するのみであって,本件事実の存否を確定し,これを前提に本件各証拠の収集手続に重大な違法があるかどうかを判断したものと解することはできない。本件各証拠の証拠能力の判断において本件事実の持つ重要性に鑑みると,原判決には判決に影響を及ぼすべき法令の解釈適用の誤りがあり,これを破棄しなければ著しく正義に反すると認められる。


そりゃそうでしょう。違法捜査だもの。

裁判倉三郎の補足意見
1 収集手続の違法の重大性を基礎付ける事実の存否に争いがあれば,検察官が当該事実の不存在の立証責任を負い,その立証に失敗すれば,当該事実があったものとして収集手続の違法判断がされる。
3 原判決は,本件事実の存否を前提とした本件各証拠の収集手続の違法判断を明示することなく,本件事実があった疑いは拭い去ることができないがその疑いはそれほど濃厚ではないことを指摘し,その程度にとどまる事情だけでは排除要請状況は認められないと判示している。

朝日新聞と随分と書いてある内容が違いますね。

本件各証拠の収集手続の違法判断がされるべきであるのに,本件事実があった疑いの程度によっては排除要請状況が認められないとして本件各証拠の証拠能力を肯定することは,実質的に,検察官が本件事実の不存在の立証に成功したのと同じ効果をもたらすものであり,立証責任の原則にも反する結果となろう。

裁判長裁判官 林 道晴
裁判官 戸倉三郎
裁判官 宮崎裕子
裁判官 宇賀克也
裁判官 長嶺安政

全員当然の判断でしょう。