令和1(受)2052 株主総会議事録閲覧謄写請求事件
令和3年7月5日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
会社法182条の4第1項に基づき株式の買取請求をした者は同法182条の5第5項に基づく支払を受けた場合であっても上記株式の価格につき会社との協議が調い又はその決定に係る裁判が確定するまでは同法318条4項にいう債権者に当たる
会社法はニュースになりにくいのでしょうか。結構重要な裁判だと思いますが、どこも取り上げていないようです。
事実認定を見ていきます。
(1)平成28年7月4日に開催された上告人の臨時株主総会及び普通株式の株主による種類株主総会において,同月26日を効力発生日として上告人の普通株式及びA種種類株式のそれぞれ125万株を1株に併合する旨の決議がされた。
(2)被上告人は,上告人の株式4万4400株を有していたところ,上記各株主総会に先立ち,上記各決議に係る議案に反対する旨を上告人に通知した上,上記各株主総会において上記議案に反対し,同月25日までに,会社法182条の4第1項に基づき,上告人に対し,本件株式を公正な価格で買い取ることを請求した。
無茶苦茶な株式併合ですね。よほど買い取り請求をしている人を排除したかったのでしょう。
(3)被上告人は,本件株式の価格の決定について上告人との間で協議が調わないことから,同法182条の5第2項所定の期間内に,東京地方裁判所に対し,本件株式の価格の決定の申立てをした。
(4)上告人は,同年10月21日,同条5項に基づき,被上告人に対し,自らが公正な価格と認める額として1332万円を支払った。
1株300円換算ですね。非上場の会社の株の買い取り価格は結構難しいのですよ。過去にも裁判官がトンデモな価格設定をして悶着が起きています。
当然、感情的にも悶着が起きていますし、金額もそこそこ行きますからね、そりゃどのように決めたのか会社の資料を見せろというのは当たり前の行動でしょう。
(5) (3)の申立てに係る事件は,本件訴訟の原審口頭弁論終結時において,上記裁判所に係属中であった。
当然そうなりますね。おそらく開示を拒んだのでしょう。
2 本件は,被上告人が,上告人に対し,被上告人は本件株式の価格の支払請求権を有しており上告人の債権者に当たるなどと主張して,会社法318条4項に基づき,その株主総会議事録の閲覧及び謄写を求める事案である。
要するに、裁判中にちゃんとした証拠書類を見せろよ、お前隠してるだろ?の状態ですね。結果として1332万円払ったんだから、お前とはもう縁が切れている。だから、帳簿は見せられないと反論したようです。
最高裁では、
同法182条の4第1項に基づき株式の買取請求をした者は,同法182条の5第5項に基づく支払を受けた場合であっても,上記株式の価格につき会社との協議が調い又はその決定に係る裁判が確定するまでは,同法318条4項にいう債権者に当たるというべきである。
要するに、金を払ってもらう前に「資料を見せろ」と請求したのだから、その請求は正当な権利である。この後に金を払ったとは言え、そもそもその算定が正しいかどうか上訴の可能性もあるのだから、ちゃんと見せろという趣旨のようです。
至極まっとうな判決でした。
第二小法廷判決
裁判長裁判官 菅野博之
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一
裁判官 岡村和美
これが裁判になる理由がわかりません。少数株主だから見せないというのであれば分かりますが、大株主であった時期に帳簿を見せろと言っているのであって、拒む法的根拠となりそうな点は全くはないと思いますが。
令和3年7月5日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
会社法182条の4第1項に基づき株式の買取請求をした者は同法182条の5第5項に基づく支払を受けた場合であっても上記株式の価格につき会社との協議が調い又はその決定に係る裁判が確定するまでは同法318条4項にいう債権者に当たる
会社法はニュースになりにくいのでしょうか。結構重要な裁判だと思いますが、どこも取り上げていないようです。
事実認定を見ていきます。
(1)平成28年7月4日に開催された上告人の臨時株主総会及び普通株式の株主による種類株主総会において,同月26日を効力発生日として上告人の普通株式及びA種種類株式のそれぞれ125万株を1株に併合する旨の決議がされた。
(2)被上告人は,上告人の株式4万4400株を有していたところ,上記各株主総会に先立ち,上記各決議に係る議案に反対する旨を上告人に通知した上,上記各株主総会において上記議案に反対し,同月25日までに,会社法182条の4第1項に基づき,上告人に対し,本件株式を公正な価格で買い取ることを請求した。
無茶苦茶な株式併合ですね。よほど買い取り請求をしている人を排除したかったのでしょう。
(3)被上告人は,本件株式の価格の決定について上告人との間で協議が調わないことから,同法182条の5第2項所定の期間内に,東京地方裁判所に対し,本件株式の価格の決定の申立てをした。
(4)上告人は,同年10月21日,同条5項に基づき,被上告人に対し,自らが公正な価格と認める額として1332万円を支払った。
1株300円換算ですね。非上場の会社の株の買い取り価格は結構難しいのですよ。過去にも裁判官がトンデモな価格設定をして悶着が起きています。
当然、感情的にも悶着が起きていますし、金額もそこそこ行きますからね、そりゃどのように決めたのか会社の資料を見せろというのは当たり前の行動でしょう。
(5) (3)の申立てに係る事件は,本件訴訟の原審口頭弁論終結時において,上記裁判所に係属中であった。
当然そうなりますね。おそらく開示を拒んだのでしょう。
2 本件は,被上告人が,上告人に対し,被上告人は本件株式の価格の支払請求権を有しており上告人の債権者に当たるなどと主張して,会社法318条4項に基づき,その株主総会議事録の閲覧及び謄写を求める事案である。
要するに、裁判中にちゃんとした証拠書類を見せろよ、お前隠してるだろ?の状態ですね。結果として1332万円払ったんだから、お前とはもう縁が切れている。だから、帳簿は見せられないと反論したようです。
最高裁では、
同法182条の4第1項に基づき株式の買取請求をした者は,同法182条の5第5項に基づく支払を受けた場合であっても,上記株式の価格につき会社との協議が調い又はその決定に係る裁判が確定するまでは,同法318条4項にいう債権者に当たるというべきである。
要するに、金を払ってもらう前に「資料を見せろ」と請求したのだから、その請求は正当な権利である。この後に金を払ったとは言え、そもそもその算定が正しいかどうか上訴の可能性もあるのだから、ちゃんと見せろという趣旨のようです。
至極まっとうな判決でした。
第二小法廷判決
裁判長裁判官 菅野博之
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一
裁判官 岡村和美
これが裁判になる理由がわかりません。少数株主だから見せないというのであれば分かりますが、大株主であった時期に帳簿を見せろと言っているのであって、拒む法的根拠となりそうな点は全くはないと思いますが。