最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

拘置所のハンスト、これを助けるための治療による事故は国家賠償の対象か?

2016-06-12 16:57:01 | 日記
平成26(受)755  損害賠償請求事件
平成28年4月21日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄自判  大阪高等裁判所

この事件は、ある人が器物損壊で逮捕されて拘置所に入れられました。その拘置所でハンガーストライキをやったのでしょう、11食の食事を摂らなかったそうです。3日半ですね。体重が5kg減ったのでここで死なせるわけにはいかず、拘置所の意思の判断で胃ろうをやったようです。
要するに、強制的に食事を摂らせるために全身を拘束して鼻からチューブを入れて胃に流動食を流し込む方法です。そのチューブを外すとき、鼻の中を傷つけて出血しました。
これを安全配慮義務違反として慰謝料の請求が行われました。

これについて裁判所は以下のように述べています。
拘置所に収容された被勾留者は,自己の意思に従って自由に医師の診療行為を受けることはできない。そして,拘置所の職員は,被勾留者が飲食物を摂取しない場合等に強制的な診療行為(栄養補給の処置を含む。)を行う権限が与えられている

確かに戦前の反省から、事故に見せかけた私刑が行われる可能瀬うを排除しなければなりませんので、こういう義務があるのでしょう。

拘置所に収容された被勾留者に対する診療行為に関し,国と被勾留者との間には特別な社会的接触の関係があり,国は,当該診療行為に関し,安全配慮義務を負担していると解するのが相当である。

と国の管理責任の範囲を規定しています。

それと同時に、裁判所は続けます。

未決勾留は,刑訴法の規定に基づき,逃亡又は罪証隠滅の防止を目的として,被疑者又は被告人の居住を刑事施設内に限定するものであって,このような未決勾留による拘禁関係は,勾留の裁判に基づき被勾留者の意思にかかわらず形成され,法令等の規定に従って規律されるものである。そうすると,未決勾留による拘禁関係は,当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上の安全配慮義務を負うべき特別な社会的接触の関係とはいえない。


本来の目的は裁判を遂行するための健康維持であり、一般の医療行為とは違うと言っています。ごもっとも。

したがって,国は,拘置所に収容された被勾留者に対して,その不履行が損害賠償責任を生じさせることとなる信義則上の安全配慮義務を負わないというべきである。

実に明快です。そもそも容疑者は自分でハンガーストライキを行ったことに原因があり、医師が行為でやったのでない限り国家賠償はあってはならない話です。

第一小法廷
裁判長裁判官 櫻井龍子
裁判官 山浦善樹
裁判官 池上政幸
裁判官 大谷直人
裁判官 小池 裕


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