最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

建物売買契約のはずが金銭賃貸借、判決が確定したのに返金しないのは信義則違反

2019-07-07 20:27:11 | 日記
平成30(受)1387  
令和元年7月5日  最高裁判所第二小法廷  判決  その他  東京高等裁判所

貸金の支払を求める訴訟において,前訴でその貸金に係る消費貸借契約の成立を主張していた被告が同契約の成立を否認することは信義則に反するとの原告の主張を採用しなかった原審の判断に違法があるとされた事例

今回はなんだかよくわかりずらい案件です。
裁判所の事実認定から見ていきます。

1 Aから同人の被上告人に対する貸金返還請求権を譲り受けたとして,被上告人に対し,貸金及び遅延損害金の支払を求めるなどしている事案である。
(1) 被上告人は,Aから,平成25年1月23日に800万円を,同年3月29日に50万円をそれぞれ受領した。被上告人が所有する第1審判決別紙物件目録記載の建物について,被上告人からAに対し,同年1月23日に同日売買予約を原因とする所有権移転請求権仮登記がされ,同年3月29日に同日売買を原因とする所有権移転登記がされた。
(2) Aは,平成25年6月,被上告人に対し,本件建物の明渡し等を求める訴えを提起し,同年1月23日に被上告人を売主,Aを買主とする本件建物の売買契約を締結し,その代金として本件金員を交付したと主張した。被上告人は,上記の主張事実を否認し,同日にAと締結したのは金銭消費貸借契約であり,本件金員は貸金として受領したものであると主張した。
第1審裁判所は,平成27年5月,Aの主張する売買契約の成立を認めることはできないとしてAの建物明渡請求を棄却する判決をし,同判決は確定した。


分かりづらいでしょう。BさんはAさんに金を払い、建物を買ったようです。その手続きとして土地の登記簿変更手続きを行いました。ところがAさんはその建物から出ていかず、それどころか建物を売った覚えはない。金を借りただけだと主張し裁判を起こしました。
しかし、地裁では建物の売買契約とは言えないとして、建物明け渡しを認めないとし確定しました。
普通、売り手と買い手と両方の実印が押されているはずなんですけどね。どういう論拠なんでしょうか???

Aが平成25年1月23日に被上告人と本件建物につき譲渡担保設定予約をし,予約完結権を行使した上,譲渡担保権を実行して本件建物を上告人に売却したから,上告人が本件建物の所有者であると主張した。

これなら仕方ありません。返せないなら買取ぞという話であれば、Aさんの主張は通りましす。

上告人は,Aが,平成25年1月23日に被上告人と金銭消費貸借契約を締結し,貸金として本件金員を交付したと主張している。被上告人は,上記の主張事実について,本件金員を受領したことは認めたが,上記契約の成立は否認している。これに対し,上告人は,被上告人が同日にAと金銭消費貸借契約を締結したと主張してきたことなどの各前訴における訴訟経過に鑑みれば,本件訴訟において被上告人が同契約の成立を否認することは信義則に反して許されないと主張している。


AさんはBさんに金を貸す契約をして、Bさんに金を渡したと主張しています。Bさんは金を受け取ったことを認めましたが、売買契約ではないと主張してきたのに金を返さないのはおかしいだろうと主張して訴えることになりました。

最高裁判所は
Aの主張する本件建物の売買契約の成立を否認し,その理由として金銭消費貸借契約の成立を主張し,前訴2においても,金銭消費貸借契約の成立を主張しており,各前訴では,このような訴訟経過の下において被上告人に対する本件建物の明渡請求を棄却する各判決がされたものである。そこで,上告人が各前訴における被上告人の主張に合わせる形で金銭消費貸借契約の成立を前提として貸金等の支払を求める本件訴訟を提起したところ,被上告人は,一転して金銭消費貸借契約の成立を否認したというのである。

そりゃBさんは怒るよねと言っているわけです。最初からAさんが供託金なりなんなりで払っていればまだしも、受け取った金は何が何でも出さないという態度だったのでしょう。

各前訴の判決は確定しており,仮に,本件訴訟において上記の否認をすることが許されて上告人の貸金返還請求が棄却されることになれば,被上告人が本件金員を受領しているにもかかわらず,上告人は,被上告人に対する本件建物の明渡請求のみならず上記貸金返還請求も認められないという不利益を被ることとなる。これらの諸事情によれば,本件訴訟において,被上告人が金銭消費貸借契約の成立を否認することは,信義則に反することが強くうかがわれる。

結論は
原審は,上記諸事情や上告人の上記主張があるにもかかわらず,これらの諸事情を十分考慮せず,同主張について審理判断することもなく,被上告人が上記の否認をすることは信義則に反するとの主張を採用しなかったものであり,この判断には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。

今回の裁判官
第二小法廷
裁判長裁判官 山本庸幸 当然
裁判官 菅野博之 当然
裁判官 三浦 守 当然
裁判官 草野耕一 当然

地裁では信義則違反ではないと判断したようですが、なんで?とすら思えますよね。


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