平成29(受)842 未払賃金請求控訴,同附帯控訴事件
平成30年7月19日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄差戻 東京高等裁判所
基本給と区別して支払われる定額の手当の支払により労働基準法37条の割増賃金が支払われたということができないとした原審の判断に違法があるとされた事例
これは以前にこのブログで書いた薬剤師の残業代に関する事件です。
論点を別に扱うので、別裁判になったようです。
事実認定は次のようになります。
1賃金体系
業務内 容 薬剤師(調剤業務全般及び服薬指導等)
就業時間
月曜日から水曜日まで及び金曜日は午前9時から午後7時30分 まで(休憩時間は午後1時から午後3時30分までの150分) 木曜日及び土曜日は午前9時から午後1時まで
休日及び休暇
日曜日,祝祭日,夏季3日,年末年始(12月31日から1月3 日まで)及び年次有給休暇 賃金(月額)
基本給
46万1500円,業務手当10万1000円 支 払 時 期 毎月10日締め25日支払
2 実際の勤務
1か月当たりの平均所定労働時間は157.3時間 であり,この間の時間外労働等の時間を賃金の計算期間である1か月間 ごとにみると,全15回のうち30時間以上が3回,20時間未満が2回であり, その余の10回は20時間台であった。
3 雇用契約書
ア 本件雇用契約に係る契約書には,賃金について「月額562,500円 (残業手当含む)」,「給与明細書表示(月額給与461,500円 業務手当1 01,000円)」との記載があった。
イ 本件雇用契約に係る採用条件確認書には,「月額給与 461,500」, 「業務手当 101,000 みなし時間外手当」,「時間外勤務手当の取り扱い 年収に見込み残業代を含む」,「時間外手当は,みなし残業時間を超えた場合はこ の限りではない」との記載があった。
4 実際の勤務
タイムカードを用いて従業員の労働時間を管理していたが,タ イムカードに打刻されるのは出勤時刻と退勤時刻のみであった。被上告人は,平成 25年2月3日以降は,休憩時間に30分間業務に従事していたが,これについて はタイムカードによる管理がされていなかった。
論点は、業務手当が残業代に該当するかになりました。
裁判所は
(1) 労働基準法37条が時間外労働等について割増賃金を支払うべきことを使 用者に義務付けているのは,使用者に割増賃金を支払わせることによって,時間外 労働等を抑制し,もって労働時間に関する同法の規定を遵守させるとともに,労働 者への補償を行おうとする趣旨によるものであると解される。
(2) 前記事実関係等によれば,本件雇用契約に係る契約書及び採用条件確認書 並びに上告人の賃金規程において,月々支払われる所定賃金のうち業務手当が時間 外労働に対する対価として支払われる旨が記載されていた。
つまりはこのような規定は法に反しないと言う解釈なりますね。
全員一致でした。
裁判長裁判官 木澤克之 妥当
裁判官 池上政幸 妥当
裁判官 小池 裕 妥当
裁判官 山口 厚 妥当
裁判官 深山卓也 妥当
平成30年7月19日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄差戻 東京高等裁判所
基本給と区別して支払われる定額の手当の支払により労働基準法37条の割増賃金が支払われたということができないとした原審の判断に違法があるとされた事例
これは以前にこのブログで書いた薬剤師の残業代に関する事件です。
論点を別に扱うので、別裁判になったようです。
事実認定は次のようになります。
1賃金体系
業務内 容 薬剤師(調剤業務全般及び服薬指導等)
就業時間
月曜日から水曜日まで及び金曜日は午前9時から午後7時30分 まで(休憩時間は午後1時から午後3時30分までの150分) 木曜日及び土曜日は午前9時から午後1時まで
休日及び休暇
日曜日,祝祭日,夏季3日,年末年始(12月31日から1月3 日まで)及び年次有給休暇 賃金(月額)
基本給
46万1500円,業務手当10万1000円 支 払 時 期 毎月10日締め25日支払
2 実際の勤務
1か月当たりの平均所定労働時間は157.3時間 であり,この間の時間外労働等の時間を賃金の計算期間である1か月間 ごとにみると,全15回のうち30時間以上が3回,20時間未満が2回であり, その余の10回は20時間台であった。
3 雇用契約書
ア 本件雇用契約に係る契約書には,賃金について「月額562,500円 (残業手当含む)」,「給与明細書表示(月額給与461,500円 業務手当1 01,000円)」との記載があった。
イ 本件雇用契約に係る採用条件確認書には,「月額給与 461,500」, 「業務手当 101,000 みなし時間外手当」,「時間外勤務手当の取り扱い 年収に見込み残業代を含む」,「時間外手当は,みなし残業時間を超えた場合はこ の限りではない」との記載があった。
4 実際の勤務
タイムカードを用いて従業員の労働時間を管理していたが,タ イムカードに打刻されるのは出勤時刻と退勤時刻のみであった。被上告人は,平成 25年2月3日以降は,休憩時間に30分間業務に従事していたが,これについて はタイムカードによる管理がされていなかった。
論点は、業務手当が残業代に該当するかになりました。
裁判所は
(1) 労働基準法37条が時間外労働等について割増賃金を支払うべきことを使 用者に義務付けているのは,使用者に割増賃金を支払わせることによって,時間外 労働等を抑制し,もって労働時間に関する同法の規定を遵守させるとともに,労働 者への補償を行おうとする趣旨によるものであると解される。
(2) 前記事実関係等によれば,本件雇用契約に係る契約書及び採用条件確認書 並びに上告人の賃金規程において,月々支払われる所定賃金のうち業務手当が時間 外労働に対する対価として支払われる旨が記載されていた。
つまりはこのような規定は法に反しないと言う解釈なりますね。
全員一致でした。
裁判長裁判官 木澤克之 妥当
裁判官 池上政幸 妥当
裁判官 小池 裕 妥当
裁判官 山口 厚 妥当
裁判官 深山卓也 妥当
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