テレビで女川原発の映像を観るたび辛い気持ちになる。周りはほぼ崩壊しているのに原発だけ残っている皮肉。「高台に作れば原発は安全」という宣伝に使われてしまう。更に大きい津波が来たらどうなる。福島同様の事態になるのを辛うじて避けられただけではないか。「平常心」もだいじだが、「思考を停止させないこと」は、もっと大切だ。各国の原発用重機搬入の支援は、垂れ流し状態の放射能を長期展望では日本エリアに閉じ込めておきたいというビジョンに基づく。海に流出していたからこそ、これまで陸の放射能値が抑えられていた。さらに排出される放射能汚染物をどこに廃棄できるというのか。汚染濃度はただ同心円的に広がるのではなく、風向きや海流で決まる。どこに住んでいればいいのかと問われても、運を天に任せるだけだ。この辺りはもう高校生も理解している。「放射能が来る」という言い方を嫌うオトナの集団心理は、いつまで続くか。例の「AERA」表紙はガスマスクの写真より、コピーがいつもの駄洒落じゃなかったことが意外だったが。……被災地の知人と電話で話す。避難所はひどい状態で、わざわざ他県から来てくれた人にも、その暮らしの辛さ寒さは伝えられず、ただ物資を持ってきてくれても現実的ではないというケースも。百個のおにぎりを差し入れても「全員分ないとトラブルになる」として突き返されるケースもあり。……津波で助かったのに寒さで死んだ人もいる。津波に浸った地域は水が引かない、吸い上げてもらっているが間に合わない。かつて街だった場所が平地になっているため、よそから来た人にはもともと田んぼかと思われている。埋まっているはずの遺体がまだ出せない。出せない間はどんなに前向きにと言われても気持ち的にそうできない。下水がダメで、汚水が噴き出してきている。皆が手伝って農業を再開できるところもあるが、耕作地がダメになっているところも多い。とにかく情報がない。今の風景は「空襲との違いは人が焼けていないだけだ」と、高齢者の言。私たちが仙台公演をした『戦争と市民』の記憶が甦ると聞いた。テレビでリビアのニュースが流れると、戦下で逃げ惑っている人たちを見る眼が今までと違ってきている、ほんとうに複雑な気持ちになる、という。
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