Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

『野鴨中毒』上演台本完成

2016-02-14 | Weblog
伝統芸能である江戸糸あやつり人形と、ベトナム俳優陣、太田惠資ヴァイオリンマスター……、皆が一度に舞台に載る。異種格闘技度にも程があるぞという交錯の現場で、もともとの台本を少しずついじりながら十日ばかし試行錯誤を繰り返してきた。『野鴨中毒』上演台本、なんとか完成。
原作はイプセンだが、私が2009年7~8月に燐光群で上演したことのある『現代能楽集イプセン』の中で初演した『現代能楽集 野鴨中毒』も、底本となっている。

『現代能楽集イプセン』は、『ノーラは行ってしまった』『ぶらんぶらん』『野鴨中毒』『ヘッダじゃない』の四本立て。言わずと知れた『人形の家』『ブラン』『野鴨』『ヘッダ・ガブラー』の四本を、現代能として脚色したものだ。ノーラとギーナを馬渕英俚可、ヘッダを紺野美沙子が演じた。

何しろ四本立ての中の一本であるから、『現代能楽集 野鴨中毒』は、原作通りやれば三時間を超えるはずの大作『野鴨』を三十五分に縮めた。
今回の〈江戸糸あやつり人形結城座×ベトナム青年劇場 日越国際協働制作〉としての『野鴨中毒』は、それをやや原作に戻し、カット部分を戻したりしているので、最低でも上演時間は一時間半にはなるだろう。江戸あやつり人形とベトナム俳優陣とヴァイオリンの組み合わせなので、やりたいことが増えれば、もう少しのびるかもしれない。

ともあれ、稽古の始まった燐光群『カムアウト』、参加団体募集の始まった〈梅ヶ丘BOXアトリエの会 清水邦夫『楽屋』フェスティバル〉など、続く公演や企画の準備、劇作家協会等の会議、講座、もろもろの打ち合わせと雑務に加え、信じがたい迷惑を掛けてくる人たちの相手をしたり、ヘビー級に理屈の通らないトラブルへの対応などで、かなりへろへろになりながら、こうして台本を仕上げていたのである。
清水弥生の『Summer House After Wedding 』が終わってまだ二週間経っていないなんて、信じられない。

この間、沖縄宜野湾市長選挙で現在の混迷そのもののような結果が出たり、国会議員たちがTPP隠しにしても愚かすぎる暴挙を繰り返したり、桜島が噴火したり、クジラが船にぶつけられて死んだりする中、世間は梅祭りの季節になり、確定申告のあれこれが進み、近所のマクドナルドは潰れてヤマザキデイリーストアに変わったと思ったらほぼ隣に富士そばが開店し、息子はニューヨークに出かけてしまった。幾つかの会議には出られなかったし、富良野塾の芝居も観られなかった。

ベトナム青年劇場の団長さんから、ベトナム青年劇場がドイツの演出家を招いて以前に上演した『野鴨』のDVDをもらったので今それをかけている。演劇としてはまったく種類が違うものなので参考になるわけではないが。

新生『野鴨中毒』、かなりはじけている。いったいどうやるのか、と、やってみればわかる、の、正しいフィードバックの往還。
こういう動きを入れたい、と言うと、糸をつけるから待ってくれ、となる。正しい人形劇のけいこ場。
台本じたいは大きく変化することはないと思うが、試行錯誤はまだまだ続くはずである。



…………

『野鴨中毒』
http://www.youkiza.jp/sp/vietnam/

『カムアウト』
http://rinkogun.com/comeout20161989.html

〈梅ヶ丘BOXアトリエの会 清水邦夫『楽屋』フェスティバル〉
http://rinkogun.com/gakuyafes.html
コメント
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