Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

日本劇作家協会、「TPP と著作権に関する緊急アピール」を発表。

2016-10-13 | Weblog
TPP著作権法案審議を前に、一般社団法人日本劇作家協会は、本日、

TPP と著作権に関する緊急アピール

を、発表しました。

協会はすで2013年7月17日付けで、「TPPに反対する緊急アピール」を発表し、TPP政府対策本部に意見として提出していますが、三年を経て、新たに出すものです。

各方面から指摘されているように、情報開示の欠如が是正される様子もなく、米大統領選の有力候補は2者ともTPP反対を明言している現状からしても、「一括」で拙速に決定しようとするのは、正しいことでしょうか。


⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯


TPP と著作権に関する緊急アピール

 日本劇作家協会では、2013年にTPPに懸念を表明する「緊急アピール」を演劇系4団体との連名にて行いました。アピールでは、表現活動に大きな影響があり得る「著作権保護期間の大幅延長」「非親告罪化」「法定賠償金の導入」などの条項が、国民が交渉過程を知り得ないまま導入される事態に警鐘を鳴らしています。
 その後、政府による説明会合にも度々参加して意見を述べて来ましたが、情報開示が無いに等しいことへの国内外の批判が続く中、2016年2月、参加国はTPPを妥結署名し、早くも3月には、政府によってTPP関連の著作権法改正案が公表されました。

 改正案では、「非親告罪化」には一定のセーフガード文言があり、パロディや二次創作がただちに非親告罪化されないなど評価できる部分もある一方、「保護期間の大幅延長」は手つかずでそのまま導入されています。これは遺族の収入増には結びつかず、逆に大多数の作品の死蔵を招き、新たな創造を困難にするとして、国内では一貫して強く批判されてきたものです。
 作家の死後長期間が経過した作品が、権利承継者の強い意向で上演などを制約される例は少なくなく、私達は権利者である以前に表現者として、このことに無関心ではいられません。

 また、改正法の施行はTPP発効後と規定され、同条約の発効には日米を含む6か国以上の批准が必要です。しかしながら、広く報道される通り、現在米大統領選の有力候補は2者ともTPP反対を明言しており、TPPが現在の条文のまま近い将来に批准・発効される可能性は、不透明と言うほかない状況です。
 しかるに、政府はこの11月にも、TPP関連法案を全て一括で成立させる方針と報道されます。
 第一に、一括審議はまず承認ありきの審議法であり、これでは著作権法改正案に対する個別の修正などは事実上不可能で、議論を尽くす姿勢とは到底言えません。第二に、TPP の発効及びその内容が全く不明な状況で、日本のみが前倒し立法するのは、変化の速い著作権などの知財政策の分野において、極めて不利な選択に思えます。豊かな知財立国・文化立国のための柔軟な制度づくりとは、真逆と言える姿勢でしょう。

 当協会は、劇作家の表現活動と人々の情報アクセスを守る立場から、冷静に時期を見極めた、 かつ成立ありきではなく個別法案ごとの、十分な審議を強く訴えます。また、国民の判断に資するための交渉経過の十分な情報開示も、改めて求めます。


2016年10月13日 
 
一般社団法人 日本劇作家協会 


※演劇団体や芸術文化団体にもこのアピールへの賛同を広く呼びかけています。

ホームページは以下を御覧ください

http://www.jpwa.org/main/statement/appeal20161013
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『天使も嘘をつく』稽古入り

2016-10-13 | Weblog
今日は『天使も嘘をつく』稽古場で、初顔合わせの客演者やスタッフの新メンバーもいるので自己紹介の後、まず、一時間半ほど、今回のビジョンを喋る。こういうことは珍しい。
後は、まずは、本番では使わない引用テキストをもとに、リーディング・ワークショップ。皆の声を聞き、いろいろを探る、試行。
書いている戯曲がどこに着地するかはまだ明かせないが、これまでの竹下景子さんとの作品とは、共通した部分もないではないが、かなり、いやそうとう違う部分が出てくるはず。かえって正統派になるのかもしれない。ともあれ、「いま」に迫りたいのだ。

私は昔、10年以上前かな、どういうわけか、巽孝之教授により慶應大学のアメリカ文学会に招かれ「冷戦期のアメリカB級表現に於ける核恐怖」というテーマを与えられて講演をしたことがあるが、その時話したのは主に映画で、対象としては「渚にて」に始まり、「ブロブ」「マックィーン絶対の危機」「遊星からの物体X」「ボディ・スナッチャー」「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」等だったが、四十歳以下の人たちに「そういうものを観たことがありますか?」と聞いても、皆さんほとんど観ていないのだね。「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」も、ロメロ版ではないリメイクのものしか観てないっていうし。うーむ。
いや、今回の芝居、そうした作品の要素は直接は全くでてこないと思うが、そんなこともどこかは関係あるんです。

あと、私の生涯で、たいへん影響を受け、仕事をする機会が持ち上がったのに果たせなかった、あるアメリカの映画監督の話もした。

そう、今回は、映画に関わる芝居なのだ。

竹下景子さん主演のSF映画といえば、倉本聰脚本・岡本喜八監督の『ブルークリスマス』だ。東宝。1978年。私は公開年に観ている。というか、製作される前年にシナリオを読んでいるのだ。それにしても先見の明がありすぎた映画だ。星新一が絶賛し、『シン・ゴジラ』の庵野秀明総監督もこの映画の大ファンだという。
この映画は今回の芝居には関係ないのですが。

久しぶりに仕事をする馬渕英里何は、映画では『いつか読書する日』にも出ていたな。『現代能楽集・鵺』でご一緒した田中裕子さんが主演、渡辺美佐子さんも出ていた。最近会っていない緒方監督はお元気だろうか。
幾つかドラマで共演作のある円城寺あやと馬渕の初共演は、『GTO』でも『私を旅館に連れてって』でもなく、『女子刑務所東三号棟』というドラマだったということがわかる。

で、稽古始めには「これから稽古場でどういう呼び名で呼んでもらいたいか」をそれぞれ言うことにしているのだが、見事なくらい、男女とも、下の名前ではなく、名字かそれをひねった言い方を望んだ。彼ら自身そう呼ばれて生きてきたのだ。それもまた、「何か」だろう。

公演詳細は劇団HPを御覧ください。
http://rinkogun.com

写真は、宮古島の自衛隊基地。この日は午前中に宮古島の方とも電話で話したが、稽古場で、この地の基地問題の話もした。

ところで。

三日前のブログに関連して。
翁長知事から記者団に「歓迎するという発言は不適切で、撤回させてもらえればありがたい」という発言があったそうだ。遅いよ。
翁長知事は「オスプレイの配備撤回は私どもの一番強い要請だ」とも言ったらしいが、オスプレイが来ようが来まいが、知事本人がヘリパット建設も市民への機動隊の暴力も本気で止めようとせず、高江の自然が無惨に破壊されている現状を黙認してきたのは、事実だろう。
翁長知事よ。待っていても何も解決しませんよ。なるべく早く、せめて一度は高江現地に行って、自分が何をすべきか確かめてくるべきだ。

さいごに。

高江の米軍提供地域に毎日のように入ってオスプレイパット建設に対する抗議活動を続けている作家・目取真俊氏の新作『露』(三田文学)は、戦時、死体から出てくる水さえも求める死を前にした枯渇した生きものの有り様に、作者の現在の思いが反映している、と、感じられてくる、「渇き」についての小説だ。後は、海の男たちのリアルなスケッチとしても、僅かながらでも島々を巡ってきた身には、染みる。そう、人は、あっけなく死ぬ。だがその個別の死を、作者は、知っている。
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