TPP著作権法案審議を前に、一般社団法人日本劇作家協会は、本日、
TPP と著作権に関する緊急アピール
を、発表しました。
協会はすで2013年7月17日付けで、「TPPに反対する緊急アピール」を発表し、TPP政府対策本部に意見として提出していますが、三年を経て、新たに出すものです。
各方面から指摘されているように、情報開示の欠如が是正される様子もなく、米大統領選の有力候補は2者ともTPP反対を明言している現状からしても、「一括」で拙速に決定しようとするのは、正しいことでしょうか。
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TPP と著作権に関する緊急アピール
日本劇作家協会では、2013年にTPPに懸念を表明する「緊急アピール」を演劇系4団体との連名にて行いました。アピールでは、表現活動に大きな影響があり得る「著作権保護期間の大幅延長」「非親告罪化」「法定賠償金の導入」などの条項が、国民が交渉過程を知り得ないまま導入される事態に警鐘を鳴らしています。
その後、政府による説明会合にも度々参加して意見を述べて来ましたが、情報開示が無いに等しいことへの国内外の批判が続く中、2016年2月、参加国はTPPを妥結署名し、早くも3月には、政府によってTPP関連の著作権法改正案が公表されました。
改正案では、「非親告罪化」には一定のセーフガード文言があり、パロディや二次創作がただちに非親告罪化されないなど評価できる部分もある一方、「保護期間の大幅延長」は手つかずでそのまま導入されています。これは遺族の収入増には結びつかず、逆に大多数の作品の死蔵を招き、新たな創造を困難にするとして、国内では一貫して強く批判されてきたものです。
作家の死後長期間が経過した作品が、権利承継者の強い意向で上演などを制約される例は少なくなく、私達は権利者である以前に表現者として、このことに無関心ではいられません。
また、改正法の施行はTPP発効後と規定され、同条約の発効には日米を含む6か国以上の批准が必要です。しかしながら、広く報道される通り、現在米大統領選の有力候補は2者ともTPP反対を明言しており、TPPが現在の条文のまま近い将来に批准・発効される可能性は、不透明と言うほかない状況です。
しかるに、政府はこの11月にも、TPP関連法案を全て一括で成立させる方針と報道されます。
第一に、一括審議はまず承認ありきの審議法であり、これでは著作権法改正案に対する個別の修正などは事実上不可能で、議論を尽くす姿勢とは到底言えません。第二に、TPP の発効及びその内容が全く不明な状況で、日本のみが前倒し立法するのは、変化の速い著作権などの知財政策の分野において、極めて不利な選択に思えます。豊かな知財立国・文化立国のための柔軟な制度づくりとは、真逆と言える姿勢でしょう。
当協会は、劇作家の表現活動と人々の情報アクセスを守る立場から、冷静に時期を見極めた、 かつ成立ありきではなく個別法案ごとの、十分な審議を強く訴えます。また、国民の判断に資するための交渉経過の十分な情報開示も、改めて求めます。
2016年10月13日
一般社団法人 日本劇作家協会
※演劇団体や芸術文化団体にもこのアピールへの賛同を広く呼びかけています。
ホームページは以下を御覧ください
↓
http://www.jpwa.org/main/statement/appeal20161013
TPP と著作権に関する緊急アピール
を、発表しました。
協会はすで2013年7月17日付けで、「TPPに反対する緊急アピール」を発表し、TPP政府対策本部に意見として提出していますが、三年を経て、新たに出すものです。
各方面から指摘されているように、情報開示の欠如が是正される様子もなく、米大統領選の有力候補は2者ともTPP反対を明言している現状からしても、「一括」で拙速に決定しようとするのは、正しいことでしょうか。
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TPP と著作権に関する緊急アピール
日本劇作家協会では、2013年にTPPに懸念を表明する「緊急アピール」を演劇系4団体との連名にて行いました。アピールでは、表現活動に大きな影響があり得る「著作権保護期間の大幅延長」「非親告罪化」「法定賠償金の導入」などの条項が、国民が交渉過程を知り得ないまま導入される事態に警鐘を鳴らしています。
その後、政府による説明会合にも度々参加して意見を述べて来ましたが、情報開示が無いに等しいことへの国内外の批判が続く中、2016年2月、参加国はTPPを妥結署名し、早くも3月には、政府によってTPP関連の著作権法改正案が公表されました。
改正案では、「非親告罪化」には一定のセーフガード文言があり、パロディや二次創作がただちに非親告罪化されないなど評価できる部分もある一方、「保護期間の大幅延長」は手つかずでそのまま導入されています。これは遺族の収入増には結びつかず、逆に大多数の作品の死蔵を招き、新たな創造を困難にするとして、国内では一貫して強く批判されてきたものです。
作家の死後長期間が経過した作品が、権利承継者の強い意向で上演などを制約される例は少なくなく、私達は権利者である以前に表現者として、このことに無関心ではいられません。
また、改正法の施行はTPP発効後と規定され、同条約の発効には日米を含む6か国以上の批准が必要です。しかしながら、広く報道される通り、現在米大統領選の有力候補は2者ともTPP反対を明言しており、TPPが現在の条文のまま近い将来に批准・発効される可能性は、不透明と言うほかない状況です。
しかるに、政府はこの11月にも、TPP関連法案を全て一括で成立させる方針と報道されます。
第一に、一括審議はまず承認ありきの審議法であり、これでは著作権法改正案に対する個別の修正などは事実上不可能で、議論を尽くす姿勢とは到底言えません。第二に、TPP の発効及びその内容が全く不明な状況で、日本のみが前倒し立法するのは、変化の速い著作権などの知財政策の分野において、極めて不利な選択に思えます。豊かな知財立国・文化立国のための柔軟な制度づくりとは、真逆と言える姿勢でしょう。
当協会は、劇作家の表現活動と人々の情報アクセスを守る立場から、冷静に時期を見極めた、 かつ成立ありきではなく個別法案ごとの、十分な審議を強く訴えます。また、国民の判断に資するための交渉経過の十分な情報開示も、改めて求めます。
2016年10月13日
一般社団法人 日本劇作家協会
※演劇団体や芸術文化団体にもこのアピールへの賛同を広く呼びかけています。
ホームページは以下を御覧ください
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http://www.jpwa.org/main/statement/appeal20161013