Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

事後の政治家たちの暴言失言妄言のほうがもっと深刻だ

2016-10-22 | Weblog
高江で「土人」「シナ人」暴言をした大阪府警の機動隊員二名だけの問題じゃない。
事後の政治家たちの暴言失言妄言のほうが、もっと深刻だ。

松井府知事のさらなる言い訳「反対派が機動隊員を散々挑発し、罵倒したから、思わず言ってしまっただけ」というのは、「擁護」にも何にもなっていない。
それじたいが市民に対する「挑発」と「罵倒」に等しい。
「思わず言ってしまっただけ」と扱われて、後で上司にちょちょっと叱られた振りをしてすむだけでいいなら、今後機動隊員の彼らは何を言ってもいいというお墨付きを与えられたことになるではないか。ひょっとしたら裏では褒められているかもしれん。
機動隊員たちは「言ってはいけないことを言った」。
市民には、最低限にでも、表現の自由がある。民意の表出は民主主義の根幹である。それを「挑発し、罵倒」などとまとめるような、見てきたような嘘をつくな。
松井府知事は、「反対派」という言葉のイメージで気に入らない相手をレッテル貼りし、「何か言ってみろ、今後は「挑発」と見なすぞ」「こちらが「罵倒」と感じたらお返しにどんな暴言でも吐いちゃうぞ」と言っているのと同様なわけで、本当にひどい。

ここは大きく勘違いしている人がいるらしいから記すが、「土人」問題については、言われた人間は「私たちは「土人」じゃないのに「土人」扱いされた」ことに傷ついたり怒ったりしているのではない。私の知る限りはそうだ。

「土人」というもはや「死語」になりかけた差別語を使うこと。
しかもその差別性を強調して使うこと。
体制側の立場から、暴言を吐き捨てるように言ってもいい、という「力関係の構図」を示すために、あえて使うこと。
そういう使いかたをされている事実に対して、県民以外の人間も、ショックを受けたり、傷ついたりしているのだ。

そしてこのことは、現在この国で起きていることの「象徴」である。
抗議する人たちは、末端の機動隊員が「土人」という根拠なき差別語を使いうる、蒙昧で愚かな「権力」に蹂躙されている現実に、怒りを燃やしているのである。

宮城秋乃さんのFacebookの書き込みにある「 こちらは巻き込まれている側なのになぜそんなことまで言われなくちゃいけないんだ。侵略者がこなければいいだけなんだよ。あなたたちがいなければ沖縄は静かなところなんだ。米軍機の音も演習の音も国と市民が揉み合う大声もないんだ。高江の森をあなたの家に置き換えてみなよ。不法侵入者があなたに「お前も暴言を吐いたじゃないか」って言ったら納得できるのか?これはセカンドレイプだよ。沖縄県民に文句を言いたいならまずは沖縄に押し付けている基地を自分とこで引き取ってからいいなよ。」というのは、全くその通りである。

ついでに。
鶴保庸介・沖縄北方相の発言もひどい。

「(沖縄県東村高江の米軍ヘリパッド建設現場で、抗議活動中の市民に機動隊員が「ぼけ、土人が」と叫んだことについて)これを人権問題だと捉えるのは、言われた側の感情にやはり主軸を置くべきなんだと思います。従いまして、県民の感情を傷つけたという事実があるならば、これはしっかり襟を正していかないといけないと考えています。
 ことさらに、我々が「これが人権問題だ」というふうに考えるのではなくて、これが果たして県民感情を損ねているかどうかについて、しっかり虚心坦懐(きょしんたんかい)に、つぶさに見ていかないといけないのではないか。我々が考えねばならないのは、発言をされた対象者の気分を害していますよ、と肩をたたいて言ってあげることが一番必要なのではないか。
 (「県民感情が損ねられているかどうかについて、まだ判断できないのか」との質問に)私は今のこのタイミングで、「これは間違っていますよ」とか言う立場にもありませんし。また、正しいですよということでもありません。自由にどうぞというわけにもいきません。従って今のご質問で、私が答えられるとするならば、これはつぶさに見ていかざるを得ない。(閣議後の記者会見で)」

だそうだ。

「言われた側の感情にやはり主軸を置くべき」
というのは、いかにも被害者に寄り添っていそうなふうにも聞こえるが、じっさいは、足を踏まれて痛いと言っている人間に対して、「ああ、もしも痛かったんならゴメンなさい」と言っているだけである。
「もしも〜だったらゴメンなさい」というのは、謝ったことにはならない、むしろ相手を侮辱する物言いであると、私はふだんから、子供たちや若者に教えている。

「県民の感情を傷つけたという事実があるならば」
あるから問題になっているんじゃないか。
「しっかり襟を正していかないといけないと考えています」
だから「しっかり襟を正していきます」以外にあり得ないだろう。

「ことさらに、我々が「これが人権問題だ」というふうに考えるのではなくて」
これは、人権問題と考えたくない、と自白している。

「これが果たして県民感情を損ねているかどうかについて、しっかり虚心坦懐(きょしんたんかい)に、つぶさに見ていかないといけないのではないか。」
県民感情を損ねているんだよ。もちろん県民だけじゃない。「見ていかないといけないのではないか」と曖昧にいうのでは、まだ見ていない、見る気がないと、これも自白しているわけだ。

「我々が考えねばならないのは、発言をされた対象者の気分を害していますよ、と肩をたたいて言ってあげることが一番必要なのではないか。」
つまり、鶴保沖縄北方相自身は、「考えなければならない」とわざわざ言うわけだから、問題発言とは考えていないことになり、
「発言をされた対象者の気分を害していますよ、と肩をたたいて言ってあげることが一番必要」というのは、自分はそう考えないけれど、その相手が気分を害しているみたいだから気にしてやれよ、と、まわりの者が教えてやれ、と言っているだけ。
違うだろう。正す責任は、政府としては責任者である鶴保沖縄北方相自身にもあるだろう。自分で教えてやらねばならないだろう。それ以前にまず自分が謝るべきだろう。

「(「県民感情が損ねられているかどうかについて、まだ判断できないのか」との質問に)私は今のこのタイミングで、「これは間違っていますよ」とか言う立場にもありませんし。」
じゃあいったいど沖縄北方相というのは何の立場なんだ。

「また、正しいですよということでもありません。自由にどうぞというわけにもいきません。従って今のご質問で、私が答えられるとするならば、これはつぶさに見ていかざるを得ない。」
何を逃げている。さいきん顕著になってきた安倍の発言の混乱同様に、自分が何を言っているのかわからなくなっているのではないか。
こんなの辞任ものだ。本当に、何か勘違いしているのはないか。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第22回 劇作家協会新人戯曲賞 最終候補作発表。公開審査会は 12月11日(日)。

2016-10-22 | Weblog
第22回 劇作家協会新人戯曲賞の最終候補作が発表されました。
最終審査会は、12月11日(日) 18:30より、座・高円寺2にて。
この賞を、担当責任者として22年間のあいだ牽引してこられた小松幹生さんが亡くなられてから、初の開催です。1994年の北九州でこの賞のプロトタイプとなる劇作家大会でのコンクールを二人三脚で手づくりしたのが、昨日のことのようです。小松さんの不在は、とてもさみしいです。
何にしても、「いま」を表出する作品に、審査員として向き合います。
この公開審査方式、その前に候補作が読める候補作の事前出版(今年は11月中にはなんとか!)、審査員の応募者投票による決定、この仕組みを発明したことは、誇りです。その後、公開審査等の同趣旨のものは各方面に増えましたが、ここまで徹底した方法論はまだ他にはありません。

十二月、高円寺の風物詩としても定着しつつある公開審査会、ぜひいらしてください。

⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯

http://www.jpwa.org/main/drama-award/prize

第22回劇作家協会新人戯曲賞 は、演劇界の未来を担う才能に道を拓くことを期し、1995年より当協会が主催している劇作家協会新人戯曲賞。第22回となる2016年の応募総数は243本。うち27本が一次選考を通過し、二次選考で5本の最終候補作に絞られました。最終の審査会は2016年12月11日(日)に開催し、受賞作はその場で決定します。

最終候補作は、以下の通りです。 (応募戯曲到着順)

『もものみ。』   守田慎之介 (福岡県)
『プラヌラ』    高石紗和子 (東京都)
『触れただけ』   南出謙吾 (東京都)
『カミと蒟蒻』   長谷川源太 (京都府)
『the Last Supper』 太田衣緒 (東京都)


第22回劇作家協会新人戯曲賞 公開審査会

  [日時] 12月11日(日) 18:30
  [会場] 座・高円寺2
 
  最終選考委員
   川村毅、鴻上尚史、坂手洋二、鈴江俊郎、佃典彦、土田英生、マキノノゾミ

  審査会司会
   瀬戸山美咲


[主催] 一般社団法人 日本劇作家協会
[後援] 公益財団法人 一ツ橋綜合財団、杉並区


一次選考委員
 岡安伸治、小川未玲、刈馬カオス、黒川陽子、杉浦久幸
 瀬戸山美咲、象 千誠、高谷信之、嶽本あゆ美、棚瀬美幸
 ナカヤマカズコ、原田ゆう、柳井祥緒、芳﨑洋子

二次選考委員
 鹿目由紀、鈴江俊郎、鈴木 聡、瀬戸山美咲、
 佃 典彦、土田英生、永井 愛、長塚圭史


一次選考通過作一覧は、以下の通りでした。 (27作品・応募戯曲到着順)

トーキョー・D 吉村健二
音埜淳の凄まじくボンヤリした人生 細川洋平
反復する、イクツカノ時間と、交わる、
イクツモノ時間の中で、僕等にできる、イクツカノこと。 石田聖也
鯨 染谷歩
もものみ。 守田慎之介
るかわの砂漠 鈴木穣
プラヌラ 高石紗和子
ベイビー・マイン 高橋亜季
蛹のプシュケ カタ山裕子
赤ん坊を盗む。 大山鎬則
触れただけ 南出謙吾
Summer House After Wedding 清水弥生
カミと蒟蒻 長谷川源太
マインドファクトリー −丸める者たち 池内風
the Last Supper 太田衣緒
俺の酒が呑めない 古川貴義
東雲のストライキ 下川志乃ぶ
放課後のユートピア 上村奈帆
トゥルムホッホ 渡山博崇
春をゆるして 柳生二千翔
ただ夜、夜と記されて 中村賢司
あのコのあのコト 坂本鈴
雪女 −密室の行軍 望月清一郎
最虚構都市 伊藤知咲
最後に歩く道 大西弘記
かけみちるカデンツァ 小野寺邦彦
MY SWEET BOOTLEG (2016) ハセガワアユム

*9月16日付で発表した1次通過作について、一部変更がありましたのでお知らせします。
『朝をつれてこい』ですが、応募規定の「過去に他の賞の佳作以上を受賞した作品は、手直しをしていても不可」に抵触することがわかりましたので、審査の対象外といたします。発表前の確認が足りず、申しわけありませんでした。また、作者の大石晟雄様への事前の説明にも不備がありましたことをお詫びいたします。(2016年10月3日付)

最後の件につきましては、ほんとうに、以上の通りです。大石さんには何の責任もありません。申し訳ありませんでした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする