犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法が、15日朝の参院本会議で自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数により可決、成立した。さっそく法務省は、6月21日に公布、法施行は7月11日になる見込みと発表。
福島瑞穂議員はツイッターで「プライバシーなどに対する配慮もないなかで早すぎる。」としているが、いやいやプライバシーどころの問題ではない。
通常の新法は、国民に周知徹底し、既存の法律との齟齬を修正するために、どのくらいの時間がかかるものなのか。
これだけ問題を含んだしろものを、公布後二十日間でいきなり施行しようとするのは、一刻も早く取り締まりたい相手がいるということだろう。
施行されれば、捜査機関が「行為の目的を見極めるため」として、反政府の動きをする者を監視する体勢が「正当化」される。市民団体等も、いつ政府によって「組織的犯罪集団」と見なされるかわからない。「通常の社会生活を送っている人であれば、こうした組織に関わることはなく、処罰の対象にはならない」と政府は説明しているが、信じられるはずがない。要は、政府が目を付けた対象を監視して、なにがしかの「逮捕要件」を、目を皿にして探すというわけであろう。
監視は既に行われている。今後は、歯止めがきかなくなる。なりふり構わなくなる。範囲が無限大に広がる。そういうことだ。
法案では最終的に処罰対象には「周辺の者」も加わっている。どのくらいの「周縁」にまで対象を広げてくるかという問題に、ようやく気づいた層も多いだろう。人々を萎縮させる効果は計り知れない。
おそらく、まずは、これまでの刑事犯でも取り締まることの出来る種類の、誰がどう見ても非の打ち所のない「共謀」を摘発して、正当化してみせもするだろう。
しかし、狙いはそうではない。
辺野古での基地建設反対等の運動を担う団体に手をつけてくることは間違いがない。
そして、山城博治さんを支援してきた議員らにも目を向けてくるだろう。
この法案の対象には、公職選挙法や政治資金規正法などがごっそり抜けているのも問題だが、政権に有利に運ばせるためにそうなっていることは間違いがない。「共謀罪」は選挙に向けたカードにもなってくるのだ。
きょう、まもなく、ジュネーブで、山城博治さんの国連でのスピーチが行われる。
国連人権理事会特別報告者のジョセフ・ケナタッチ氏は、「計画」や「準備行為」の定義があいまいで、対象犯罪が幅広く、テロに無関係のものも含まれていること、当局の監視からプライバシーを守る適切な仕組みがない、党、共謀罪法案の問題点を記した書簡を日本政府に送っている。それに対する日本政府のヒステリックな拒否の対応は、世界中が知るところとなっている。
山城博治支援の国際世論の盛り上がりが、頼りである。情けないことだが。
その意味では、亡くなられた大田昌秀元知事に、ノーベル平和賞を取ってもらいたかった。
そして、安倍政権は「憲法改正」に手をつける。
国政選挙がなければ体勢は変わらない。野党は今年になっても幾度か衆院解散の可能性に言及していたが、私は「ないだろう」と思ってきた。
じっさい、安倍政権は来年1月の通常国会に改憲提案を出すと言っている。このままのペースを維持し、今回と同じ強攻策で、憲法を改悪するつもりなのだ。
そのためにも、「憲法改正」に反対する者たちを、一刻も早く抑え込んでおきたい。それが「共謀罪」を急いだ理由である。
野党の皆さんは、史上最悪の不祥事続きの現政権、これだけ材料が揃っているのだから、政権転覆を実現し、きちんとした体制がとれるだけの準備をしていただきたい。
写真は一昨日の衆議院での共謀罪反対会見。撮影・姫田蘭。
福島瑞穂議員はツイッターで「プライバシーなどに対する配慮もないなかで早すぎる。」としているが、いやいやプライバシーどころの問題ではない。
通常の新法は、国民に周知徹底し、既存の法律との齟齬を修正するために、どのくらいの時間がかかるものなのか。
これだけ問題を含んだしろものを、公布後二十日間でいきなり施行しようとするのは、一刻も早く取り締まりたい相手がいるということだろう。
施行されれば、捜査機関が「行為の目的を見極めるため」として、反政府の動きをする者を監視する体勢が「正当化」される。市民団体等も、いつ政府によって「組織的犯罪集団」と見なされるかわからない。「通常の社会生活を送っている人であれば、こうした組織に関わることはなく、処罰の対象にはならない」と政府は説明しているが、信じられるはずがない。要は、政府が目を付けた対象を監視して、なにがしかの「逮捕要件」を、目を皿にして探すというわけであろう。
監視は既に行われている。今後は、歯止めがきかなくなる。なりふり構わなくなる。範囲が無限大に広がる。そういうことだ。
法案では最終的に処罰対象には「周辺の者」も加わっている。どのくらいの「周縁」にまで対象を広げてくるかという問題に、ようやく気づいた層も多いだろう。人々を萎縮させる効果は計り知れない。
おそらく、まずは、これまでの刑事犯でも取り締まることの出来る種類の、誰がどう見ても非の打ち所のない「共謀」を摘発して、正当化してみせもするだろう。
しかし、狙いはそうではない。
辺野古での基地建設反対等の運動を担う団体に手をつけてくることは間違いがない。
そして、山城博治さんを支援してきた議員らにも目を向けてくるだろう。
この法案の対象には、公職選挙法や政治資金規正法などがごっそり抜けているのも問題だが、政権に有利に運ばせるためにそうなっていることは間違いがない。「共謀罪」は選挙に向けたカードにもなってくるのだ。
きょう、まもなく、ジュネーブで、山城博治さんの国連でのスピーチが行われる。
国連人権理事会特別報告者のジョセフ・ケナタッチ氏は、「計画」や「準備行為」の定義があいまいで、対象犯罪が幅広く、テロに無関係のものも含まれていること、当局の監視からプライバシーを守る適切な仕組みがない、党、共謀罪法案の問題点を記した書簡を日本政府に送っている。それに対する日本政府のヒステリックな拒否の対応は、世界中が知るところとなっている。
山城博治支援の国際世論の盛り上がりが、頼りである。情けないことだが。
その意味では、亡くなられた大田昌秀元知事に、ノーベル平和賞を取ってもらいたかった。
そして、安倍政権は「憲法改正」に手をつける。
国政選挙がなければ体勢は変わらない。野党は今年になっても幾度か衆院解散の可能性に言及していたが、私は「ないだろう」と思ってきた。
じっさい、安倍政権は来年1月の通常国会に改憲提案を出すと言っている。このままのペースを維持し、今回と同じ強攻策で、憲法を改悪するつもりなのだ。
そのためにも、「憲法改正」に反対する者たちを、一刻も早く抑え込んでおきたい。それが「共謀罪」を急いだ理由である。
野党の皆さんは、史上最悪の不祥事続きの現政権、これだけ材料が揃っているのだから、政権転覆を実現し、きちんとした体制がとれるだけの準備をしていただきたい。
写真は一昨日の衆議院での共謀罪反対会見。撮影・姫田蘭。