Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

映画 『狼をさがして』 コメント書きました

2021-03-03 | Weblog

映画 『狼をさがして』 について、コメントを書きました。

〈東アジア反日武装戦線〉を描いたドキュメンタリーである。「狼」「大地の牙」「さそり」といった部隊がある。彼らは、1970年代に連続企業爆破事件を引き起こしたこと、天皇暗殺計画「虹作戦」等で知られている。彼らが作成した爆弾指南書『腹腹時計』は、広く拡散された。

天皇の戦争責任はもちろん、侵略、植民地、強制連行、慰安婦の問題。国家・企業の現在に至る責任を問うたが、時として武装闘争を実践した。自らのアイヌへの侵略の歴史にも言及されているが、自己否定と暴力が、そのように繋がっていた時代だった。

 

未公開となっている『カウンターズ』に続き、韓国の映画人が、日本に棲息し続ける歪んだ国家主義に抗う者たちを取り上げてくれたのである。
〈東アジア反日武装戦線〉の活動には、誤謬もあったかもしれないが、私たちはその試行錯誤から学ばなければならない。そう思ってきた。
彼らと共有すべきものがあると考え、かつて私は戯曲『火の起源』を書いた。

あの地点から始まった〈人の繋がり〉の連鎖は、まだ続いている。時代を超えて、さらなる覚醒が必要なのだと思う。

 

http://eaajaf.com

 

映画 『狼をさがして』 

監督・プロデューサー:キム・ミレ

 2021 年 3 月 27 日(土)よりシアター・イメージフォーラムにて公開

 

 

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サブ・ステーション(sub-station) 閉館

2021-03-03 | Weblog

シンガポール在住の三好康司さんが、シンガポールの演劇施設 サブ・ステーション(sub-station)の閉館を知らせてくれた。

かつてシンガポールを代表する劇作家である、今は亡きクォ・パオクン(郭宝崑)さんが、政治活動への締め付けで四年間投獄された後、70年代に演劇学校を創始し、やがてこの演劇施設も作ったのである。

小劇場も併設、ビール会社の支援を受けたらしく、私が知っている頃は、その名を Theater Guiness といった。

1997年頃、佐藤信さんや小池博史さんと国際交流基金(Japan Foundation)によるアジア視察でシンガポールに滞在したとき、毎日通った場所である。

閉館は、ビルのリノベーションによって、環境が変わることと、テナント制になって建物全体の管理形態が変わってしまうことが原因らしい。

https://static1.squarespace.com/static/56fcaa737da24fa2afc22beb/t/603dad5d66cb1e4dc2ce9d2d/1614654867240/The+Substation+Media+Announcement.pdf?fbclid=IwAR2jxGZjB4VJzMVnFvm4oXIBji5WJmm2xQ33xxMgHxJZHwz0KlBvNWDN-rs

 

昔、パオクンさんと相談して、彼の『霊戯(The Spirits Play)』の日本初演をする予定が、結局、他の方々に先に上演を譲り、まだ実現していない。上演の打ち合わせのためパオクンさんが梅ヶ丘BOXに来てくださったのが、懐かしい。

さいきん「一人芝居」についての講座をしたが、パオクンさんの戯曲『棺桶が大きすぎる』の話をしなかったのは失敗だった!

 

01年、パオクンさんも関わった<ランドマイン・プロジェクト>合宿のため、斎藤憐さん、志磨真実さんとシンガポールに2週間滞在した。その直後に闘病中だったパオクンさんが、そしてその後そのお二人も、亡くなられた。

あれが、もう二十年前なのだ。あの日々の記憶を共にする人がもういないということが、とてもせつない。

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