『藤原さんのドライブ』 ツアーを終え、帰京して、三日経ったはずなのだが。
今回も、終わった気がしない。
演じる側にとっても、人生が旅であることを、痛感させる劇だったからだろうか。
写真・大西孝洋、遠藤いち花、坂下可甫子、宅間脩起。
撮影・姫田蘭。
『藤原さんのドライブ』 ツアーを終え、帰京して、三日経ったはずなのだが。
今回も、終わった気がしない。
演じる側にとっても、人生が旅であることを、痛感させる劇だったからだろうか。
写真・大西孝洋、遠藤いち花、坂下可甫子、宅間脩起。
撮影・姫田蘭。
劇団民藝さんの公演、デヴィッド・ヘア作『モデレート・ソプラノ』が、紀伊國屋サザンシアターで、開幕(12月10日 (土)まで)。
デヴィッド・ヘア作品としては、『悪魔をやっつけろ』等の〈報告劇〉の方向とは違い、『ストレイト・ライン・クレイジー』よりも物語性の強い、ストレート・プレイ。「劇団」で上演すべき戯曲であり、民藝さんが上演されるのは、ぴったりである。
『モデレート・ソプラノ』は、なんと優しい世界を、時と場所を、デヴィッドは選んだのだろうと、思う。『エイミーズ・ビュー』同様に、一種の「バックステージもの」として、芸術家たちへの敬意と共感に満ち、彼らが裸の人間どうしとして通い合う瞬間の、ユーモアが素晴らしい。
戦争に翻弄される人たちの物語でもある。デヴィッドのすぐれた作品に触れるたびに思わされるのだが、「歴史」と対峙し「国境」を越えるのに、「劇場」ほど適切な場所があるだろうか。
デヴィッドの劇場への愛は深い。そこに生きる人たち、シアターピープルを、大切だと思っている。それがよくわかる戯曲である。
私もパンフレット(写真)に寄稿しています。
複雑で矛盾に満ちた主人公を西川明さんが受けて立ち、燐光群『クジラと見た夢』に出演された佐々木梅治さんも、好演しています。他の登場人物一人一人の魅力も明瞭に伝わります。堀尾幸男さんの美術も、細部まで心配りが素晴らしく、さすがです。
来年、『ストレイト・ライン・クレイジー』を上演する私としては、身が引き締まる思いです。