久しぶりに横浜へ。
YPAMディレクションのファイブアーツセンター 『仮構の歴史』を観る。
『仮構の歴史』は実にエキサイティングだった。三人の演者自身も含めたスタッフワークは、テクノロジーを実に見事に軽々と駆使して、鮮やかである。チョーク描きなどローテクの部分もとても洗練されている。出演者は自分自身のことを語ってもいて、半ドキュメンタリーであることが、抑制の効いた中で、確実に伝わる。とくにファーミ・レザの佇まいが素敵だ。
マーク・テとファーミ・レザが追いかけていることは、じつは私自身の抱えている一つのテーマとも重なる。『火の起源』『帰還』『たった一人の戦争』等と、共通するところ大なのである。そういう辺りは、またあらためて。
初めてマレーシアのファイブアーツセンターへ行ったのは、もう四半世紀前だと思う。
クリシェン・ジット氏がまだご存命で、数年後に〈ランドマイン・プロジェクト〉計画などで関係が継続するが、お亡くなりになり、私はその後マレーシアには一度ワークショップのために行っただけだ。
ファイブアーツセンター界隈では、ただ若い人に代わったというのではない、確実で丁寧な世代交代が行われている。
受け継がれているし、前世代の人たちと、一緒にいるのだ。
写真はYPAMのWebからお借りしました。概要は以下の通り。
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『仮構の歴史』は、多民族国家マレーシアでジャンル、世代、言語、人種の垣根を超えて活動するコレクティブ、ファイブアーツセンターの最新作の一つであり、2015年の国際共同製作『バリン』のスピンオフでもあります。『バリン』で演劇的に再現された1955年の「バリン会談」は、マラヤ非常事態を終結させるため、その「事態」を「反英民族解放戦争」と呼び武装闘争を展開していたマラヤ共産党の武装解除を目指す会議でした。『仮構の歴史』は、21世紀になっても亡命先のタイ南部のジャングルに暮らす元党員たちのインタビュー映像をもとに、主流の歴史観におけるマラヤ共産党と「暴力」の位置づけ、そして2018年に起こった同国史上初の政権交代に伴う歴史教科書の改訂を考察する作品です。TPAM2019でワークインプログレスとして上演され、コロナ禍による宙吊りを経て国際ツアーを再開したこの作品の完成版を今回上演、関連トークも実施します。