Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

原サチコさんと、ルネ・ポレシュ戯曲のリーディング

2025-02-28 | Weblog
原サチコさんがもう恒例の感じでドイツから来ていて、今回はルネ・ポレシュの戯曲リーディングをやっているというので、久しぶりにと思い、シンポジウムと込みの日におうかがいすることにした。
事前に詳細を見ていなかったのだけれど、そのリーディングはなんと観客参加で、トランプのカードを引くかたちで、無作為に選んだセリフを参加者が読むことになっていたのだった。二枚引くことになっていたので、二つの割り当てのセリフを読むことになってしまったのだが、なんと私は連続した二つ(二人?)のやりとりというか会話を引き当ててしまったので、寸前にそれに気づいて、落語の対話みたいに役ごとに顔の向きでも変えてみるかと思ったのだが、いきなり振られたのが舞台上の特設の場所で照明付きでやれということだったので、照明が二箇所だったので(それぞれのキャラ用に二人ぶん別々にということだろう)、一人が上手側、もう一人が下手側、というように、切り替えごとに二箇所を行ったり来たりすることになった。なんだか成り行きでパフォーマンス的な事態になってしまった。そうなるときちんと落ち着いて語彙を伝えるという選択は取りにくいのだが、抽象的にも思われるルネ・ポレシュ言語のような場合こそ、きちんと言葉を正確に立てることによって、その意図と構造が明確になるはずなのだが。
舞台から降りた直後に原さんが皆さんに私の登壇について「仕込みじゃありません!」と言っていたのがおかしかった。

昨日がルネさんの命日で、一周忌イベントということになっていたのだった。
とても刺激を受けた人なので、しかも同い年なので、たいへん残念である。

ともあれ、小野彩加 中澤陽 スペースノットブランクの皆さんのルネ・ポレシュ戯曲との出会いも幸福なこと。よい企画だ。

リーディングのテキストは「あなたの瞳の奥を見抜きたい、人間社会にありがちな目くらましの関係」。蘊蓄のある言葉が多いし、途中で質問コーナーが何度もあって、もはやルネの分身としての原さんが答えてゆくのが、他にない趣向だった。

集合写真を撮ったのだが、ロビー出てすでにその写真をダウンロードできるQRコードが掲示されていたので受け取り、写真がここにある。

※   ※   ※   ※

シアターコモンズ'25
ポストドラマ演劇の旗手ルネ・ポレシュの戯曲に、小野彩加 中澤陽 スペースノットブランクが原サチコとともに挑む。
観客自身が声に出して体現するリーディングパフォーマンス。

2000年代以降、ポストドラマ演劇を牽引し、演劇界に革新をもたらした演出家・劇作家ルネ・ポレシュ。2021年ベルリン・フォルクスビューネの芸術監督に就任し、さらなる活躍が期待されていたが、2024年に急逝。世界の演劇界に大きな喪失として受け止められた。彼が切り拓いた演劇と社会を巡る問いを、私たちはどう受け継ぎ、実践に落とし込むことができるだろうか。
その挑戦を、気鋭の舞台作家、小野彩加 中澤陽 スペースノットブランクが受けて立つ。戯曲『あなたの瞳の奥を見抜きたい。人間社会にありがちな目くらましの関係』は、ポレシュが初演の出演者ファビアン・ヒンリッヒスと親密な共同作業で書き下ろしたモノローグ台本だ。本リーディングでは、複数のポレシュ作品に出演し、日本語上演(2010年)の翻訳・演出も手がけた原サチコとともに、私たち観客自身が声に出して読む。その予言的な言葉は、混迷の世界に放り出された2025年の私たちに、どう突き刺さるのだろうか。

ルネ・ポレシュ
1962年、ドイツ、フリードベルク(ヘッセン州)生まれ。2001–07年、ベルリンのフォルクスビューネ付属プラーター劇場の芸術監督を務める。2001年に『WWW-SLUMS』、2006年に『CAPUCETTO ROSSO』でミュールハイム劇作家賞を受賞。フランクフルト市立劇場、ウィ-ン・ブルク劇場、ハンブルク・シャウシュピールハウス、ベルリンのフォルクスビューネなど多くの劇場で、自らの戯曲を演出。2021年にベルリン・フォルクスビューネの芸術監督に就任するも、2024年2月26日に急逝する。

小野彩加(おの・あやか) 中澤陽(なかざわ・あきら) スペースノットブランク
二人組の舞台作家・小野彩加と中澤陽が舞台芸術作品の創作を行うコレクティブとして2012年に設立。舞台芸術の既成概念と、独自に研究開発する新しい仕組み(メカニズム)を統合して用いることで、現代における舞台芸術の在り方を探究し、多様な価値創造を試み続けている。固有の環境、関係から生じるコミュニケーションを創造の根源として、クリエーションメンバーとの継続的な協働と、異なるアーティストとのコラボレーションのどちらにも積極的に取り組んでいる。

原サチコ(はら・さちこ)
1964年神奈川生まれ。日本人として唯一のドイツ語圏(ドイツ、オーストリア、スイス)公立劇場専属女優。上智大学ドイツ語学科卒。在学中より演劇舎螳螂にて演劇を始め、後にロマンチカにて活躍。1999年渡辺和子演出『楢山』でドイツ初舞台。2001年ドイツへ移住。2004年ウィーン・ブルク劇場専属になったのを機にハノーファー、ケルン、ハンブルク、チューリッヒと20年にわたり劇場専属俳優として活躍中。現在はハンブルク・シャウシュピールハウス専属女優として活躍する他、広島原爆伝承活動、パフォーマンス、舞踏、演出、翻訳、講演など日独間の活動も多岐にわたって行っている。

言語: 日本語
料金: 一般:2,500 円; 学生:1,500 円
050-5358-8561

ゲーテ・インスティトゥート東京 ホール
港区赤坂7-5-56
 


一年前のルネ・ポレシュの訃報を受けたブログ ↓

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