フェニーチェ歌劇場日本公演を渋谷のオーチャードホールで観てきた。
この歌劇場はヴェネチアに拠点を置き、ヴェルディ生誕200年を祝う今年、演目の「オテロ」は十八番中の十八番であろう。それだけに歌手は厳選された粒ぞろい。どれも甲乙つけがたい。まずは安定感を見せつけた。オテロのグレゴリー・クンデ、デズデーモナのリア・クロチェットの歌唱力は素晴らしい。クロチェットの「柳の歌」は、出色の出来。ただ、ちょっとソプラノ・ドラマティカを歌うのには声の芯が弱いような気がする。
イァーゴ役のルーチョ・ガッロは3年前の新国立劇場のオテロ公演でもイァーゴを演じていた。前回もそうだが今回も好演していた。ただ、今回はもっとイァーゴを憎々しげに演じていればもっと劇が盛り上がったと思う。
指揮はチョン・ミョン・フン。ピットも頑張っていた。
大道具は最低限といったところで、衣装は18世紀のそれに合わせたもの。2010年の新国立劇場の「オテロ」公演では、水と火をふんだんに使った舞台設定だったので、今回のものが少々ひけて見える。合唱団も引き連れての公演なので予算も大変なのであろう。
フランチェスコ・ミケーリの演出はオーソドックス。オテロの枠から外れない安心してみていられる舞台だった。
ローカルな歌劇場の公演と侮っていたが、どうしてどうして、オペラ・セリエの大名演であった。
公演が終わって、渋谷でお食事。マーク・シティの「つばめ・グリル」に入った。ビールを痛飲して、アイス・バインなどを馬食し11時近く。バスで12時前にご帰館。
夏近し召す色淡く歌劇果つ 素閑